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22 風邪の見舞いに来た友人の爆弾発言! 中編

千鶴に睨まれて、何故か気分は蛇に睨まれた蛙な私。そうしたら、和彦が千鶴に説明してくれた。


「わざと黙っていたわけじゃないんだぞ」


と、前おいて話したのは、和彦の母の実家の事情。和彦の母とその兄とは異母兄妹になる。伯父の母は伯父が小さい時に離縁して、後妻に育てられた。実子の妹と同じように育てられたから、父親が亡くなる前に話すまで知らなかったそう。知ってすぐに実母を探したけど、わかったのは亡くなっていたこと。興信所を使って実母のことを調べてもらったら、亡くなるまで妹一家とよく交流していて、妹の孫を自分の孫のようにかわいがっていたこと。それが私の家だったと、報告を受けたそうだ。今更訪ねることもできずに数年が過ぎた。一昨年、和彦が友人と飲みに行った話をした時に、ポロッと私の名前を出して、そこから伯父さんと沢木一家の交流が始まったこと。だった。


私も補足として祖母の姉である大叔母さんは、離婚後両親が亡くなっていた実家を頼ることが出来ずに、長姉を頼ってしばらく身を寄せてから、働いて溜めたお金で家を買って独立した事。私の事をかわいがってくれたから、祖母以上に懐いていたことを話した。


「そんなことってあるんだね」


というのが、千鶴の感想だった。


「そっちはわかったけど、なんで見合い相手を探す話になっているの」


と、続けて訊かれた。


私は山本さんと付き合い始めてからの、両親とのやり取りを話した。ついでに千鶴に問い詰められて、話していなかった彼との交際についても話す破目になってしまった。


話を聞き終わった千鶴は深々と溜め息を吐きだした。


「私もおじさん達の意見に賛成。家に来れないような男とは別れなさい」


ピシリと言われてしまった。


「俺はどちらの気持ちもわかるけど」


私が千鶴に問い詰められている間、黙っていた和彦が静かにそう言った。千鶴がキッと和彦を睨む。


「あんたはなんでそんな男の味方をするのよ。その男、麻美のことを騙そうとしているかも知れないじゃない」

「千鶴、どこを聞いていたら、そんな考えになるんだよ」

「だって、麻美を虜にして言うことを聞かせようとしているじゃない」

「お前はもう少し冷静になれよ。どちらかというと山本さんは、沢木家に気後れしているだけだって。問題の先送りは褒められたもんじゃないけど、そうしたくなる気持ちはよくわかるってば」


和彦の言葉に目が据わる千鶴。


「はあ~? 意味わかんない。なんで気後れなんてするわけ。わかるように説明しなさいよ」


私も、和彦が何を言いたいのかわからない。もしかしたら和彦には私にはわからない彼の気持ちが見えているのだろうか。


「わかるようにってなぁ~。俺だって推測だぞ。自分に置き換えて考えてみただけだから。これが正解とは限らないからな」

「いいから! 和彦が考えたことを言いなさいよ!」

「じゃあ言うけど、俺が話し終わるまで口を挟むなよ」


和彦は足を崩して胡坐に組み直してから話し出した。


「まずさ、麻美に聞きたいけど、お前家のことをどういう風に話したんだ」

「家のこと? えーと、農家の家で何代か続いていておじおばからは本家って言われていると」

「やっぱり。まず、そこでハードルは一つ上がったんだよ」

「なんで、その言葉でハードルが上がるのよ」

「千鶴ん家って両親と子供って家だろ」

「そうだけど」

「俺の家もそうだよ。代々続いた家じゃない。多分山本さんの家もそうじゃないのか」


和彦の言葉に、今まで彼と会話したことを思い出す。


「確かにそう言っていたよ。お父さんは実家に顔を出すけど、自分はあまり行かないって」

「それなら、親戚から本家なんて言われているなんて聞いたらビビるだろ。それに家を見たらもっとビビる。農家の家って広い家が多いし、敷地も広いじゃないか」

「そういえばそうね」


千鶴の雰囲気が少し軟化した。実際に具体例をあげられているから納得するものがあるのだろう。


「でも、それって当たり前のことなのよ。農家の家ってこの敷地がないと出来ないことがあるのだもの」

「それは他の人には判らないだろ。目につくのは家の広さや敷地の広さだ。そこから思うのはお金持ちだろうな、だ」

「いや、農家の家ってお金持ちな家は少ないから。土地はあってもお金がない家がほとんどだもの」

「それでも土地を持っているだけでも金持ちだろ」


思っているのと違うことを言われて、私は感覚の違いに戸惑いが隠せなかった。


「それに麻美って見るからにいいところのお嬢さんだし。相手がビビった原因その2だな」

「どこが? ただの農家の娘だよ」

「いやいや。しっかり箱入り娘だろ。世間知らずだし」

「そんなことないんだけど」

「麻美、そんなことあるわよ。普通の家って門限なんてないわよ」

「えーと、千鶴。今は門限なんてないよ。それは高校生の時だもの」

「今はないっていうけど、私達と飲みに出かけても、日が変わるのは駄目ってよく言っているじゃない」

「それはあんまり遅くなると心配するから」

「あのね~、成人しているのよ、私達。たまになんだから羽目を外したっていいでしょうが。それをあんたは、親が心配するからっていつもいつも~」


なぜか、千鶴の怒りの導火線に火を点けてしまったみたいでした。


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