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21 風邪の見舞いに来た友人の爆弾発言! 前編

2月の一週目。私は風邪をひいて高熱を出し、寝込んでしまった。もともと喉が弱いので、風邪をひきやすかったけど、今回は珍しく39℃近い熱が3日も下がらなかった。医者にはインフルエンザではないと言われて、少しホッとしたけどね。


熱が下がっても体がだるくて、結局5日も布団から出られなかった。そんな時に千鶴がお見舞いに来てくれた。


「こんなに寝込むなんて、知り合ってから始めてじゃない?」

「確かにそう思う」


枕元のそばに座った千鶴に、私は千鶴と出会って以降のことを思い出してそう返した。布団に入って上体を起こして座る私の顔を、千鶴が心配そうに見ていた。


「千鶴、そんな顔をしないでよ。ただの風邪なんだから」


私が笑って言ったのに、千鶴は顔をしかめて私の事を見ている。しばらく口を引き結んでいたけど、ゆっくりと口を開いた。


「ねえ、麻美さあ~・・・痩せたよね」


私は表情を取り繕おうとして、出来なくて引きつった笑いを口元に浮かべた。その顔を見て千鶴の眉間にもっとしわが寄った。


「自覚があるんだ」

「・・・熱が高くて食べられなかったからね」

「そういうことに、いま(・・)はしておいてあげるわ」


千鶴が睨むように私を見ている。けど、何故かニヤリと笑った。


「でも、あまり痩せないで欲しいかな。抱き心地の良さが減るのは嫌だもの」


なんか聞き捨てならない言葉セリフが聞こえたような?


「・・・千鶴、レズだったの?」

「そんなわけあるかい!」


言葉と共に額をペチッと叩かれた。私はやり返そうと思い千鶴を捕まえて脇の下をくすぐった。千鶴は笑いながらやり返してきた。しばらく二人できゃあきゃあと騒いでいたら。


「な~にをしてんだよ」


という声が聞こえてきた。その声と共に扉が開いておぼんを持った和彦が入ってきた。その姿に呆気にとられて、私と千鶴は和彦のことを見つめた。。


「なんで、あんたがいるのよ、和彦」

「俺も麻美のお見舞いだよ」


そう言って和彦は千鶴の隣に座り、お盆から小鉢を私に渡してくれた。それを見て私はふふっと笑った。


「お主もやるのう~。これを用意するとはのう~」

「姫のお気に召しましたら幸いにございます」


私がお茶らけたら和彦も乗ってきた。そんな私達に千鶴は冷たい視線を向けてきた。その視線を無視して、私は「いただきます」と言いフォークに差してそれを食べ始めた。


「麻美って桃が好きだったの?」


私が嬉しそうに食べるからか、千鶴が訊いてきた。


「ウ~ん、これは特別かな?」

「そうそう。茗さんが食べていたのに感化されたんだよな」

「それを覚えてないでよ、和君」


私が桃缶を熱を出した時によく食べるようになったのは、確かにあの漫画の影響が大きいけど、もともとは小学校の時に祖母が同じことをしてくれたからだったの。


「意味がわかんない。二人で分かりあっていないでくれる。それにメイさんって誰よ」

「千鶴なら麻美に借りて読んだんじゃないのか。『月は東に日は西に』を。その主人公の高橋茗が熱を出した時に食べていたんだよ」

「漫画に影響されたの? まあ、麻美らしいけど」

「違うわよ。もともとは小学校の頃に熱を出した時に祖母が同じことをしてくれたのよ。それを漫画内で同じような場面があったと和君に話しただけなの」


そう言ったら、千鶴がまた顔をしかめた。


「ねえ、あんた達ってそんなに仲が良かったっけ?」

「小学校から一緒だったからこんなもんだろ」

「そうかしら。まあ、いいわ。それで、本当にお見舞いだけなの、和彦」

「そうだけど、ついでに麻美に聞きたいことがあってな」

「何かな、和君」


桃の柔らかさと甘さを楽しんでいた私は、次の和彦の言葉に口の中に入れたものを吹き出しそうになった。


「見合い相手を探しているって本当か」

「グッ・・・ゲホッ・・・ゴホゴホ」

「ちょっと、麻美。大丈夫?」


吹き出さないように慌てて飲みこもうとして、気管のほうに入れかけてむせた私の背中を、千鶴がさすってくれた。和彦は小鉢を受け取って邪魔にならないところに置いた。


「ゴホッ・・・ありが、とう。もう、大丈夫」


呼吸を整えてそう言ったら二人は座り直した。千鶴はキッと和彦を睨みつけると言った。


「突然何を言いだすのよ。麻美には彼氏がいるでしょう。それなのになんでお見合いをするのよ」

「そこだよ。別れたなんて聞いてないから、俺も不思議に思ってさ。だから訊きにきたんだ」


そう言って私の事を見てくる和彦。


「でも、その話どこで聞いたのよ。私だって聞いてないのよ」

「ああ、それな。伯父が麻美の親から相談されて、見合い相手を探しているんだよ。一応俺にもどうかって話がきたんでね」

「どうかって何が」

「麻美の見合い相手として」

「はあ~? なんで、あんたが。というより、なんであんたのおじさんが麻美の親のことを知っているのよ」

「それはおじさん同士が従兄弟だからだよ」

「はあぁ~? 訊いてない、そんなこと! ちょっと、わかるように説明しなさいよ!」


和彦とのやり取りで、知らないことだらけだと、憤慨した千鶴でした。


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