191 クリスマスデート
今年もクリスマスもクリスマスイブも平日だった。なので、前の週に当たる3週目の土曜日に浩二さんとデートです。なんか、毎週会っているなと思ったけど、恋人同士なら当たり前なのよね。たぶん・・・。
今日のデートはどこに行くとは聞かされてはいなかった。とりあえず街に行くと言われていたけどね。
着いたところは真珠のアクセサリーの専門店。驚いている私を連れて浩二さんはさっさとお店の中に入っていった。
クリスマスまであと数日ということもあり、店内はカップルで混み合っていた。人を避けながらゆっくりと奥に向かう浩二さん。その後をついて行きながらカップルが見ている物を、そっと見てみた。
どれも可愛らしいデザインのものばかり。20代も半ばになろうという私には、かわいすぎるデザインだなと思ったのよね。あと、最近はピアスが流行りみたいで、ピアスのところにも人だかりが出来ていた。ベビーパールといえる大きさのピアスはかわいいものね。
「麻美、こっち」
そんな感じにカップルたちを見ていたら、浩二さんに呼ばれてしまったの。そばに行くと、そこに並べられているものは、年若いカップル向きではないものが並んでいた。と、いうのも今までカップルが見ていたものはリーズナブルなお値段の物ばかりだったから。
そうかー、このお店も表には若い人向きの品物を置いて、奥のほうにはそれなりの物を置いていたんだと納得した。
浩二さんが居たのはイヤリングのコーナー。
「好きな物を選んでいいよ」
その言葉にうれしさが込み上げる。けど、少し困ってしまったの。
先週の日曜日、浩二さんの衣装が決まったところで、浩二さんは千鶴たちに追い返されてしまったのよ。私のウエディングドレス選びは女の特権だとか、千鶴たちからのサプライズだとか言われたら、残れるわけないよね。だから、夜に浩二さんと電話で話した時に、白いドレスの時に結納でもらった真珠のネックレスをつけようと思っている話をしたのよ。イヤリングは結婚式までに買うつもりだとも付け加えて。
だから、このお店に連れて来られて、浩二さんの意図が分かったから、尚更困ってしまったのよね。
「ねえ、浩二さん。イヤリングは自分で買うからプレゼントしてくれなくていいのよ」
私の言葉に心外そうな顔をする浩二さん。
「麻美、遠慮はいらないんだよ」
「遠慮してないけど」
真顔で言ったら、浩二さんにため息を吐かれてしまった。
「普通アクセサリーをプレゼントされるとなったら、大喜びしないか」
「他の女性はそうでしょうでしょうけど、私は意味のないプレゼントはいらないのだけど」
そう言ったら、途端に浩二さんは肩を落として項垂れてしまった。
「意味のないプレゼント・・・」
浩二さんのつぶやきに「あっ」となった。そういえば、これはクリスマスプレゼントになるのよね。忘れていたわ。
「あのね、浩二さん。あんまり高額なプレゼントは悪いなって思うのよ」
と、本心で言ったのに、浩二さんはチロリと私を見てまた呟いた。
「意味のないプレゼント」
「えっと、あの、ごめんなさい」
落ち込んでいる様子の浩二さんの腕に手を掛けて、謝罪の言葉を口にしたら、浩二さんはもう一度チロリと私を見てから、笑顔を見せてくれた。そして耳元に口を寄せると囁いてきた。
「嘘だよ、わかっているから。麻美が高額な宝飾品は喜ばないというのは。でも結婚してからも、こういう風にプレゼントできるとは限らないだろう。だから今だけ特別な」
・・・ちょっとこれは卑怯だと思うわ。前に言ったことを覚えていてくれただけでなく、私の好きな低い声で囁くだなんて。そうしたら素直にプレゼントされるしかないじゃない。
でも、癪だから少し意地悪しようかしら。
「ねえ、浩二さん。本当にどれを選んでもいいのね」
「・・・もちろん」
少し言い淀みましたよね、浩二さん。ということは、予算は高くても10万円までとみた。まあ、イヤリングならそんなにしないでしょう。
気を取り直してショーケースの中のイヤリングを見ていった。
・・・えっ? ちょっと待って。思っていたより高くない?
えーと・・・ああ、そうか。
イヤリングに使うやつは小細工が出来ないから、巻きがしっかりした傷がないものなのね。
店員さんに話して8ミリくらいのイヤリングを出してもらう。それを耳にあてて見たけど、なんだろう。小物感が半端ないのだけど。店員さんとのやり取りでわかったのだけど、イヤリングは一粒なので見た目以上に小さく見えるそうなの。なので、出来れば一回り大きいものを合わせた方がネックレスに負けないのですって。
ということで、9ミリのイヤリングに決定しました。お値段は・・・結局、浩二さんに意地悪することを忘れてしまって、ガチで選びました。だけど予算以内のお値段に収まったみたいです。だってね、浩二さんがもう少し高額なものでもいいと言ってくれたのよ。
私からのクリスマスプレゼントは、浩二さんに選んでもらいました。・・・って、靴でいいの?
まあ、浩二さんの希望だからいいのよね。うん。
この後、夕食を浩二さんが予約してくれていたステーキのお店で食べました。とても美味しかったけど、1人1万円のコースって・・・。
この後もう一軒、おしゃれなバーに寄ってから、うちに帰りました。




