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189 女だけのランチの席で その17

そうだった。菜穂子は私より腐の要素が強かったんだった。読むだけならSMもBLもどんとこい! と、公言(私にだけだけど)していたのよ。おかげでつき合わされた私は、その手の知識がありますとも。ええっ。

ただし、そういう性癖は持ち合わせていないけどな。


京香さんは菜穂子のことをしばらく見つめた後、ふう~と息を吐き出した。


「まあ、いいけど。確かその女って、痛くされると感じる真性のマゾヒストだったみたいよ。最初は目隠しや後ろ手に縛られるのを好んでいたようだけど、そのうちにもっとと要求が上がって、航平はつき合えないと別れたのですって」


えーと・・・。


千鶴と華子女史が目を見交わしあった。それに気がつかない菜穂子が嬉々として聞いた。


「ということは、彼は麻美に縛りプレイをしようとしたと」

「こら、なんでそうなるの。さすがに航平もそれをするのは、普通じゃないとわかっているから、そんなことはしようとも思っていなかったわよ」


もう一度千鶴と華子女史が見交わしあった。


「じゃあ、どういうことなんですか」


低い声で千鶴が聞いた。


「だ~か~ら~、航平は麻美に触れる時に細心の注意を払っただけよ。だいたいねえ、そういうことを何も知らない麻美よ。航平の愛撫だけでとろけていたのに、気持ちよくさせ過ぎて溺れさせるわけにもいかなかったでしょ」


お、溺れ・・・って・・・。


「ほお~。そういうってことは自信があったんだ」


千鶴の目が細まって薄笑いを浮かべて京香さんを見つめた。


「さあ~、そこは私に言われても困るわ。でも、麻美の感度はよかったみたいだし」


意味ありげに私に視線を向けるけど・・・みんなの視線も私に集中したけど・・・。


・・・知らない。そんなことは知りませんとも!

もう、やだ~。逃げ出したいよ~。


どこが話してないよ~! 

しっかり話しているじゃない~! 

山本さんのバカ~!


「でも、それならどうやって気持ちよくないセックスに、持っていったのかしら」


千鶴・・・もう疑問を声に出さないで・・・。


「だから、さっきも言ったでしょう。麻美の様子を見ながら加減していたみたいよ」


・・・そうか、だからだったのね。観察されているように感じたのは、本当に別の意味で観察されていたんだ。


・・・というかさあ~、今更、こんな情報いらないやい! 泣いていいですか?


「クスクス」という、笑い声が私の耳に聞こえてきた。あまりの内容に私は涙目になりながら俯いていたの。顔を上げたら笑っている京香さんと目が合った。


「ねっ、わかったでしょ、麻美。男なんてこんなものよ。航平も例にもれずにね」


私はコクンと頷いた。


男なんて・・・男なんて・・・結局それしか考えんのかい!


「ねえ、京香さん。その男、本当に麻美のことを大切にしていたんですか」

「そうよ。・・・そういえばさっき華子は、航平がまだ麻美に未練があるのじゃないかと疑っていたわね。それも嫌がる方向で」

「だって、そうでしょう。私達に会うのがわかっているのに、キスマークをつけるような奴ですよ。独占欲が強すぎでしょ」

「そうそう。あの時は恭介たちも気がついて、麻美がいないところで心配したんだよね」


華子女史だけでなく菜穂子の言葉にも、私は驚いて目を見張った。それって去年にみんなと会った時のことよね。みんなと会う約束をしていたのに、その前にホテルに行って・・・キスマークをいたるところにつけられた、あの時・・・。


・・・ん?


菜穂子のことばに引っかかりを感じて、恐る恐る口を開いた。


「ねえ、あの時に恭介たちも気がついていたの?」

「そうよ。麻美が和彦と部屋を出て、そのあと和彦が千鶴を呼びにきて出てった後にね、話したのよ。恭介だけじゃなくて、智樹も修二も、珍しく隼人まで心配していたんだから」

「へえ~、私がいないところでそんな話をしていたんだ」


千鶴も初耳らしく目を細めて菜穂子のことを見つめた。


「しかたがないでしょう。千鶴が戻ってきたときって、麻美も一緒だったじゃない。麻美の前で言えないでしょ。今だって私達に気付かれていたと知って、涙目になっているじゃない。かわいいからもっと言葉責めにしてイジメたいけど、マジ泣きだけは勘弁してよ」


・・・おい、華子女史?


「違うわよ。そうじゃなくて、なんでこっそり教えといてくれなかったのかということよ」

「あ~、そうね。ごめんなさい。でもね、翌日にはすっかり忘れていたのよ」

「まあ、仕方がないか。でも本当、珍しいわね。隼人まで心配したなんて」

「それはわたしも思ったわね。こっそり聞いてみたら、どうやら隼人にとって麻美って、目を離したら何をしでかすかわからない子だったのですって」

「隼人がそんなことを? どうしてかしら」


千鶴は顎に手を当てて少し考えるようにした。それに華子女史がさらりと問題発言をしてくれた。


「そりゃあね、私達に黙って東京に行ったくせに、遊ぶこともできないのに散々な体験をしてくるのだもの。それをわからせないようにすればいいものを、馬鹿正直というか、ねえ。そんな子を心配するなというほうが無理よね」


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