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153 思い出話という名の気持ちの吐き出し・・・

私はそこまで話して、ふう~と息を吐き出した。浩二さんの胸に凭れるようにぴったりとくっついているから、浩二さんの心臓の音が聞こえる。炬燵の中に潜ったのはいいけど、動くと足が布団から出てしまいそう。体も温まってきたから、なんか睡魔が忍び寄ってくるみたい。


だから私は眠る前にと、話の続きを続けたの。


みんなの目的がまだ兄なのかと思っていたのよ。会うと相変わらず兄のことを訊かれるのだもの。でも、この頃には違っていたみたい。私の手相占いが目的に変わっていたようなの。


ええっと、私が手相占いをし始めたのは中学に入ってからなの。もとは子供向け雑誌の付録についていた冊子に書いてあった、これを覚えれば手相占いが出来る、というページを見て線の名前を覚えたのよ。ただ、そこに書かれていた何とか丘というものは全く頭に入ってこなかったのね。まあ、そんなの物がなくても線だけで占えるみたいだったから、私は気にしないことにしたの。どうせ、余興にしかならないと思っていたし。それにね、たかだか12歳くらいで本格的な占いなんてできるわけないじゃない。ねえ。


自分の占いが普通と違うと思ったのは中3の時なの。その頃には数字が浮かぶようになってきていたのよ。それを指摘してきたのが恭介だったかな。いつものように新しく同じクラスになった子の占いをしていたのを、そばで聞いていたのね。それで恋愛のことを見ていて、初恋が何歳で、何歳頃に恋をして、結婚線が何歳くらいと言ったことで、私の占いが他と違うんじゃないかって。でも、みんなも手相占いをしてもらったことがあるわけじゃないから、その時はそんなものかなと終わったのよね。


だけど、高校2年の時だったかな。いつものみんなと集まって、その時にみんなに兄がどこの大学を受験するのか聞かれたのよ。そんな話を兄としたことがなかったから、答えようがなくて困っていたら、誰かが『それなら俺たちがどこの大学に進むか占えないか』と言い出したの。さすがに大学名をすべて知っているわけじゃないから、県名や地方名でいいのならと言って占ったのよ。それでいつものように少ししたらその占いのことは忘れてしまったのよ。


それが、みんなが大学に入った年の夏休み。私以外のみんなが集まったんだって。その時にどこの大学に入ったのか報告しあって・・・私の占いが当たったと知ったらしいのよ。千鶴は京都、華子女史は県内の私立大、恭介は三重のほうだったかしら。智樹は地元の国立大学で、隼人は関東の北よりで、和彦は東京の大学。菜穂子と修二は専門学校に進んだそうよ。


なんかね、私がいないところで盛り上がったようで、次は私が来られる時に絶対に集まろうと決まったんだって。



ため息を吐き出したら、浩二さんが聞いてきた。


「それが誤算なのかい。それなら集まりがある時に理由をつけて行かなければよかったんじゃないか」

「それはそうだけど・・・でも、やっぱりみんなとバカな会話をするのは楽しかったもの」


拗ね気味にそう言ったら、浩二さんは頭を撫でてきた。


「麻美は口ではめんどくさいと言いながらも、本当はそうじゃないんだろう。ちゃんとみんなのことを好きなんじゃないか。嫌いなやつと一緒にいたいと思わないだろう」

「そう・・・なんだろうけど・・・」


眠気にぼんやりとしてきた頭で返事をしたら、もう少し乱暴に撫でられた。


「大体彼らとのことはわかったけど、和彦君のことは別の話があるんだろう。おじさんがどうのとか言っていたし」

「そうなのよ。少しね、不思議な話なのよ。縁は異なものというかね」


私は目を閉じていたのを開けて、浩二さんのことを見つめた。




私はまずは和彦の伯父、克義さんとうちの関係を簡単に話したの。


祖母のすぐ上の姉が息子を産んだのに婚家を追い出され、その後お金を貯めてうちに近いところに家を買って住んだこと。妹一家のうちと親しくしていたこと。私がその大叔母に懐き、小さい時から泊まりに行っていたこと。私が小学校に入る前に、病気で亡くなったこと。

それから、和彦の伯父さんがその大叔母の息子で、父親が亡くなる少し前に実母のことを聞かされて、探してみたらもう亡くなっていたこと。実母が亡くなる前に私のうちと親しくしていたことは調べがついていたこと。今更会えないと思って数年が経ったところに、甥の和彦の友人に私の名前があることを知って私と会い、そこからうちと親戚つき合いが始まったこと。それでも、まだ4年ほどの付き合いだということ。あと、和彦の母親がおじさんの妹になるけど、母親が違うので異父妹になり、和彦とは義理のはとことなっていること、を話したの。


それから、和彦との付き合いについて。本当は幼稚園も一緒だったらしいけど、幼稚園の時は一緒の組にならなかったので、私は覚えていなかった。小学校の時も同じクラスになったことはあったけど、話をしたことは特にはなかったと思う。挨拶くらいはしたのだろうけど、一緒の班になったことはなかったから。

でも、和彦のことは小1の時から知ってはいたのよ。和彦って他の子とちょっと違っていたから。服装がね、いかにもいいところのお坊ちゃんっていう感じだったの。あと髪型も。坊主やスポーツ刈りじゃない髪型だったのよ。あと、顔だちもかわいかったし。


「かわいい? 和彦君が?」


浩二さんが驚いたのか声をあげた。まあねえ、今の男らしい顔立ちからしたら信じられないよね。私も彼の変化を間近で見ていたけど、詐欺だと思うくらいの変化だったもの。


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