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140 いたずらは後のことに要注意?

私の問い詰めに「あっ」と、言った浩二さんは気まずそうな顔をしたあと、渋々話してくれたのよね。


あの一番ひどいめまいを起こした日。和彦が私の様子を浩二さんに報告したそうだけど、その時にすごく簡単にしか言わなかったらしいの。ただ、私が浩二さんに会えなくて落ち込んでいるとだけね、言ったらしいのよ。


それで仕事帰りに私の様子を見に来て、その日は本当に具合が悪そうで、目を明けているのも辛そうだったから、目が合わないのも仕方がないと思ったそうなのね。


なのに、私の具合が良くなるまで毎日来ていたけど、そこで目が合わない。もしくは目が合っても、すぐに気まずそうに目を逸らされるから、もしかしたら和彦と何かあったのではないかと思ったそうなの。


和彦に聞こうにも仕事が忙しくなったのか、まともに話が出来なかったらしくて。そうしたら、父から私がおとなしく寝ていなかった話を聞いて、尚更誤解をしたみたいなのよね。私が和彦のいうことを聞いて布団に戻ったと思ったようだから。


そこで考えたのが、私が実は和彦のことを心の底では思っていて、今回のことでそのことに気がついたのではないかということ。だから、目を合わそうとしないし、目が合ってもすぐに視線を逸らすのからだと思ったそうなのよ。


「どうしてそうなるわけ? 私、愛しているとは言ってなかったけど、ちゃんと好きって言ったわよね」

「一応言われたけど、あの時は麻美は酔っていたし・・・」

「素面でなんか言えるわけないじゃない。ましてや他の人がいるところでだなんて」


ぷいっと横を向いたら、浩二さんが宥めるように抱きしめてきたの。その腕の中から抜け出そうと思ったけど、腹いせといたずら心が起こったの。浩二さんの腕を捕まえると胸に抱きこんで、体を密着させたのよ。それから上目遣い気味に浩二さんのことを見上げたのね。


「ねえ、浩二さん。もし浩二さんが言うように、私が和彦のことを本気で好きだったとしたら、浩二さんはどうしたの?」


私の問いかけに浩二さんの表情は曇ってしまったのよ。ここでやめておけばよかったのに、浩二さんがなんと答えるのか知りたくなって、重ねて聞いたのね。


「私が別れてくださいと言われたら別れてくれるの? それとも争ってでも手に入れたいと思ってくれるの? もしくは心は別の人を思っていても、体だけ手に入れたいとか?」


思いつくままに言っていたら、浩二さんの低い声が聞こえてきたわ。


「麻美、俺に嫉妬させて楽しいか」

「へっ? 嫉妬?」


目をぱちくりと瞬きをして浩二さんのことを見つめたら、浩二さんの顔から表情が消えていたの。真剣なまなざしに射抜かれたように動けなくなる。


「やっと体調が良くなったけど、まだ無理はさせられないと自重しようと思っていたのに。さっきからこっちの気も知らないで煽ってくれるし。止めに嫉妬までさせてくれやがって」


この言葉と共に床に押し倒された。


「煽った責任を取ってもらおうか」

「待って、こ・・・んんっ」


唇を唇で塞がれて、浩二さんの手が体を移動していく。浩二さんの手の動きに、教えられたとおりに快感として体が反応していく。快楽に流されそうになりながら、唇が離れたところで何とか言葉を紡ぎだす。


「浩二さん、まだ昼間だ・・」


からと、言う前にまた唇が塞がれる。情け容赦なく責められて、意識が飛びそうになる。唇がまた離れて、大きく息をしながら無駄だと思いながらも、また言ってみる。


「下に聞こえちゃうから・・・」

「お義父さんたちは作業場のほうだろ」

「あん・・・やっ・・・」


浩二さんの愛撫に堪えきれなくて、声が漏れて出た。与えられる快感に翻弄されながら、頭の片隅で考えていたの。



ごめんね、浩二さん。煽ったつもりはないのよ。ただね、やはりまだ信じられないのよ。浩二さんが私のことを本当に思ってくれていることが。だってね、23年間非モテできたのよ。そんな私が愛されるわけないって、思うじゃない。それにね、今までのツケとでもいうのかな。恋愛をしてこなかったから、どうしていいのかわからないのよ。


私にとって恋愛は自分に起こることだと思っていなかったわ。対岸の火事、もしくは読むものであり、観るものだったもの。小説や漫画の中のキラキラしたものやドラマで見るどろどろの世界。現実に起こるとは思わないじゃない。


あとね、浩二さんには言わなかったけど、元カレに対してもっと酷いことを考えたのよ。彼と、山本さんと先に出会わなければよかったって。


私ね、こう見えて古風な考え方を持っているほうだと思うの。遊びでつき合える性格をしていないのはわかっていたのよ。だからね、初めての人と結婚したいと思っていたの。すべてを教えてくれるのは一人でいいって。


だからごめんね、三人目で。


でも、うれしい。嫉妬してくれて。浩二さんに愛されて、私は私のことが好きだと思えるわ。



この日はまた浩二さんはお泊りしました。


・・・っていうかさ、煽ったつもりはないし泊まるんだったら、昼間にするなー。


もう、いたずらはしないと心に誓いましたよ。本当に!


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