魔楮狩りの報酬
役立たずを放置して魔楮を広場へ運んでいると今回のクエストのターゲットが罠にかかっていた。
「おぉ!!引っ掛かってる」
そこには宙に吊り下げられながらも脚をばたつかせるチキンランナーがいた。
しっかし、動いていないと生きられないってマグロか?
確かマグロは動く事で水を体内に取り入れてエラ呼吸してるみたいだけど。
こいつはあれか、多分空気中の魔力的なのを走って体内に取り込んで動き続けているのか?
だとしたらあのまま留めておくと死ぬよな、ブランコの容量で動かし続けられるかな?
蔦によって吊り下げられているチキンランナーをブランコを押すように引いて━━━━押す!!
「クエァァァ?!」
俺の押す力が強すぎてチキンランナーは蔦を括りつけてある枝を中心に回転し始めた、更に枝に括りつけてある方が緩んだのか枝に巻き付くことなくエンドレスに回り続ける。
「なんか、ごめん」
流石に可哀想なので回転を止めて蔦を外し丁寧に地面に下ろしてや、今回は見逃すことにしてやろうかな。
「俺が言うのもなんだけどこんな罠に引っ掛かってないで強く生きろよ」
そんな事を言っているとチキンランナーから冷ややかな目で見られた気がした。なんだよあの態度こちとら命の恩人だぞ?まぁ罠を仕掛けたのは俺達だけども、感謝くらいはして欲しいな!!
コク━━
ふとチキンランナーが頭を下げた気がした。
「ちょっとまて、こいつをやるよ」
奴隷館を探索している際にで拾った十字架の付いたチョーカーをチキンランナーにかけてやるとその場をあとにした。
〜〜〜
先程の広場に魔楮共を持って戻ると油?や木の実?で口を汚したファルと何のかは分からないが骨が転がっていた。
「あれ〜これはどういうことでしょうか?」
口元をピクピクとさせながら広場にいた奴らへ問いかける。
「ルアンさんの帰りが遅いんでえぇと、名前聞いてませんでしたね」
「ケトでいいです」
「ケトさんの時空間魔法にいたフォレストラビットを調理してみんなで食べてました」
ほう?人がせっかく狩りをしてきたってのに呑気に晩飯食ってたんですか?
「じゃあこの魔楮は俺が食うからいいよどうせもう食ったんだろ?」
「勝手にしやがれです」
「まぁ食べちゃったしねぇ……」
「ご、ごめんなさい」
「マスターわたしたべてないからくちうつしでたべさせてー」
「アスはそんな事どこで覚えたんだよ……」
「だいしぜんから」
「俺は親鳥じゃないぞ」
「わたしにとってマスターはおやどり〜」
なんか最近アスってアホになってきてないか?まぁ俺の影響かもしれないから黙っておくけど。
アスを放置し、俺はケトからナイフを貰い魔楮を刻んでゆく。
魔楮を一口サイズに切り分けると落ちている枝を軽く炙って熱消毒━本当に出来ているかは知らない━をして魔楮肉を突き刺していく。
「マスター、なんでいまえだをもやしてとちゅうでやめたの?」
「これは熱消毒と言って枝についてる菌を焼いて殺す方法だよ」
「ねつしょうどく?きん?どうあうこと?」
「まぁ簡単に言えばこれをすればコレを食べてお腹が痛くなったり体調が悪くなったりしないってこと」
「おー、わからない」
「まぁいきなり理解しろってのが無理か」
そんなこんなで魔楮肉が焼けてきた為肉を回収し、食べ始める。
隣でアスが興味深々で見ていたので口移し━━は流石に俺には無理なので口まで持っていって食べさせてやる。
「あーんむ、もきゅもきゅ………おいしい」
「そりゃ良かった」
アスが気に入ってくれただけでも良しとしておこう、これ以上は求めても無駄な気がする。




