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共闘イカズチ・クルーダ③

大男の荒い吐息と戦場の悲鳴やら轟音が場を支配する中、大男とクルーダは互いに殺気を包み隠さずに向き合っていた。




次の瞬間怒りにより血が完全に頭に回っている大男が飛び出してくる。

それを待ちわびていたクルーダは矛先を地面へ向けたまま力強く握り締め真上に跳躍する。

するとすかさず先程クルーダが立っていた背後からイカズチの二つの暗器が大男目掛け飛んでいく。


「ヴアァア!!」


しかし大男はイカズチの暗器など目もくれず一心にクルーダを殴ろうとその重い巨体をドタンズシンと音を立てながら跳ねさせる。

しかし、イカズチの投擲した暗夜によりアキレス腱を切られている為、先程見せた上を取るような超人的な跳躍ではなく見た目相応の惨めな跳躍だった。


━━ズグズグッ


血が全身に回っているお陰か、それとも守備に回していた力が全てのクルーダを殺す事回っているのか先程同様、イカズチの投げ付けた暗器はすんなりと大男の腹に突き立った。


「そんなに欲しいならくれてやらぁ!!」


脚を負傷しているにも関わらず大男の三倍の高度まで跳んだクルーダは下で無様に飛び跳ねる大男にそう吐き捨てると逆手に持った槍を身体をひねり、足先から脳天まで持ちうる限り全ての力を腕に伝えると眼下のただのデカいだけでしかない的に向け投げ付ける。

投げられた槍は位置エネルギーを徐々に運動エネルギーへと変えていき、血眼で上を向いて跳んでいる大男にきりもみ状に迫る。


「オマエダゲバ、オマエダゲバァア!!ゴロズグギャッ━━」


きりもみ状に落下した槍が大男に到着した時、大男の怒りの篭った叫びが断末魔に変わり果て俺の身体に槍が完全に入る。


「ア、グガッ」


槍が首から腰にかけ刺さっているため背すじを綺麗に伸ばした状態で膝を付き言葉にならない声を出す。


「ハッ、無様なこった」

「アァ、アグアァアグ」

「あ?なんてった?聞こえねぇな」

「アグアアグ!!」


クルーダが瀕死の大男を嗤いながら煽ると虚ろ気味だった大男の瞳に一瞬生気が戻り、クルーダに拳を振り上げる。

それにクルーダは瞬時に後ろへ飛び退くと大男が糸の切れた傀儡の様に力なく倒れ、それを確認したクルーダはほっと一息つくとイカズチの元へ歩き出し、決して遠くない場所で本能が全力で警鐘を鳴らすような気配を感じた。


「っ!なんだ!?」

「お前にも分かったか」

「分からないわけないだろ、こんな恐ろしいもんを」


大男が絶命したその後に感じた気配に気付いた二人は互いに目配せをし、大男から武器を取り出すとその場から離れることにした。

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