盲目の試練
目の見えぬ状況下で目の前から機械的な駆動音が聞こえてくる。
「えーっと、アテナさん?嘘ですよね?こんな状態で始めませんよね?!」
「さぁ、ルシファーちゃんマークⅣ殺ーっておしまい♪」
「おいふざけ━━ぐっ!」
アテナに対し文句を言っている最中にルシファーちゃんマークⅣとやらの攻撃が首に入る。
━━ビギッバギャッ
首に入った攻撃が不快な音を立てながらルアンの身体を吹き飛ばす。
「ぐヒュッ」
首の痛みに反射的に苦悶の声と声になりきれなかった空気の抜ける音が口から漏れる。
「流石にまだ死にはしませんか、ルシファーちゃんリミッター解除しときましょう」
━━ガシャン
アテナの発言のすぐ後何か重い物が外され地面に落ちる音が聞こえてくる。
「よーし、ついでに武器まで行きましょう!!」
「こ…の、ド……生めが、みがぁ!!」
アテナにツッコミを加えたその瞬間猛スピードで駆動音を発したルシファーちゃんが近づいて来る。
━━シャラン
駆動音のする所に意識を向けると駆動音と共に得物の鳴る音が聞こえてくる。
それに危機感を覚えた俺は即座にその場から離脱するが完全に避けきることが出来ず肩に得物が掠り、そこから熱い物がドロドロと溢れ出し腕を伝い指からポタポタと滴り落ちる。
カヒューカヒューと喉の鳴る音とドクドクと止まらない心音が相手の情報を収集する事を邪魔して来る。
相手は、相手はどこだ。自分の出す音がうるさい、肩も首も痛い。
━━トッ
そこか!!
やっとの思いで手に入れた情報に俺は音から計算して来るであろう場所に勢い付いた拳を置いておく、すると拳が相手を捉える感覚では無く拳から腕にかけて得物が貫き通していく感覚と心臓を一突きされた衝撃が襲って来た。
ぐっ、意識…………とお……く…………。
腕を串刺しにされ心臓を撃ち抜かれたルアンはその時絶命した。
「ご苦労さまです、ハデス」
「はいはいっ、目の見えないルアン君なんてちょちょいのちょーいよ」
「あ、そろそろ復活する頃なので後5桁ぐらいは殺してくださいね♪」
「あっちもこっちも辛い役回りだなぁ」




