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さらば冥界よ

「ああもう痛いなぁ、これでもハーデスさんは冥界の神様なんだよ?」

「知らんわ、殴られるようなことしたからだろ」


頬を抑え悪態をついてくるハーデスを一言で黙らせると水晶を覗き込む。


「うーん、そろそろ帰る?」

「そうさせてくれるとありがたい」

「寂しくなるねぇ、これでもハーデスさん楽しかったんだよ?」

「まぁ退屈はしなかったな」

「そこの水晶に触って戻ろうと念じれば戻れるよ」

「おう、わかった……ハーデスお前はウザかったが悪い奴ではなかったよ」


俺はそう残すと推奨に手を触れる、すると水晶が光だし元の場所へ━━


━━戻らなかった。


「ハーデス君、ふざけるのもいい加減にしようか」

「あっれぇ?おっかしいなぁ、戻れるはずなんだけどなぁ?もう1回やってみでぶば?!あばばば無言でビンタはやめてくれなぶべっ!!」


完全に煽っているハーデスに無言で往復ビンタをするとハーデスは観念して何らかのゲートを開いてくれた。


「これは?」

「うひーっ、痛い痛い…………あ、それ?それは地上に戻るゲートだよ」

「本当にこれに乗れば戻れるんだな?」

「そうそう、それは本当に本当だからその手の構えやめてね?」


俺はハーデスに言われた通り手の構えをやめると口角を上げニヤリと笑いながら「じゃあな」と一言残し冥界を去った。



~~~



「はぁ、ホーンと酷い目にあったよ」

「その割にはこの所やけに上機嫌でしたが」


ルアンが去った後ハーデスはアテナと話をしていた。


「まぁね、あーんなに面白い人間こっちにはなかなかいないょ?」

「まぁそれもそうですね」

「ところでアテナちゃん」

「何ですか?」

「例の件、本当にルアン君に任せていいのかい?」


ハーデスがそう質問するとアテナの顔が少し険しくなる。


「そうですね、あの件はルアンに任せるとします。本当は私が直々に手を下したいですが…………あの青年が本当の事を知った時仇をとれなかったと悔やまれても嫌ですし」

「アテナちゃんは優しいねぇ、()()()()()()()()()()()()()を譲るなんて」

「譲ってなんかいませんよ、ルアンにチャンスを与えた迄です。それでも駄目なら私が消し炭にします」


そう言ったアテナの手には一つの羽が握られていた。

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