本戦第二回戦①
タートールVSカエデ戦が終わり会場の修復が行われている中俺は一旦待機室から退出しファル達の元へと来ていた。
「さっきの戦い凄かったね」
「あぁ、本当にな。俺は次あたりで負けそうだな」
「なーに言ってるんすか、正直ご主人が負ける想像なんてつかないっすよ」
フィル、その発言を世の中ではフラグと言うのだぞ。
負けフラグが立ち胃がキリキリしてきた所でヤマトがこちらへ歩いてきていた。
その歩き姿は自信に満ち溢れ少しキラキラとした表情をしていた。
「好敵手よ!次は僕の出番だ!!絶対に見ていろよ?」
あぁそういう事か……
「おう、良い試合を期待してるぞ?」
「もちろんだ!!好敵手よ絶対に本戦で決着をつけようぞ!」
ヤマトは胸に手を当てフンスと鼻息をひとつすると気分上々に歩いて行った。
「愉快な人だね」
「そうっすね!」
「あんな顔されたらヤマトと当たるまで勝ち進むしかないか」
吐息を一つ吐くとウキウキと歩くヤマトを見送る。
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[さぁさぁさぁ!!先程は良い試合をありがとうカエデ&タートール!!さて、次は本戦第二回戦だ!!次の選手はー!前大会惜しくも四位、しかしその鮮やかな技には会場の誰もが魅了された!バイタ=フーラー!!対するは圧倒的火力!圧倒的物量でほぼ全ての選手を吹き飛ばしたヤマトーー!!]
「あら、可愛い坊や……坊や?まぁいいわ、私の技で華麗に倒してあげるわ」
「オカマに構ってる暇は無い、僕は早く好敵手と戦うんだ」
[さぁ!!準備はいいか?━━━試合開始だぁ!!]
「鉄砲隊、構え!!」
「おっと怖いわね」
ヤマトの号令を聞いたフーラはその男らしい筋肉モリモリの体を海藻のようにくねくねと動かし蝶の羽をはやすと空へ飛び立つと腰から二つの新体操で使うようなリボンを取り出す。
「ウフフ、この私にそんなチンケな玉当たるかしら?」
「放て!!」
フーラの挑発に乗るかのようにヤマトが鉄砲隊に発車指示を出すが火縄銃の命中率の低さとフーラのくねくねさ加減により一つも玉が当たらない。
「あらあら、随分と可愛い攻撃ね?」
「チッ」
ヤマトの舌打ちにニタニタと気持ちの悪い笑いを浮かべるフーラは手に持ったリボンで蝶のように舞うと光の鱗粉が試合場を覆い、リボンを上空に投げたフーラが指をパチンと鳴らすとその鱗粉達が連鎖するように燃え激しい爆破を起こす。
「フフ、フフフフフ!!この爆発じゃ逃げられないわね」
「主砲用意!!放て!!」
「嘘でしょ?!」
完全に仕留めたと確信していたフーラは爆破による砂煙が晴れるのを待っていたのだがその掛け声に耳を疑った。
なぜならその掛け声は上から聞こえたのだから。
嘘よ、あの試合を見ていて飛び上がって来るのは知っていたけれどあれは投げられた状態で砲撃に乗る事で少しだけ上がっていたに過ぎない。だからこそそれを警戒してここまで上空へ上がったのに!!
「グエァァアッ!!」
瞬間フーラの身体に脳震盪を起こしそうな程強烈な衝撃が走る。
そしてそのままフーラの身体は試合場へと叩きつけられ砂煙を上げる。
「ふぅ、やったか」
「フフ、少しは、やるじゃないの………………でも、私の顔に傷付けたことを後悔させてあげるわぁ!!」
安心していたヤマトの目に映ったのは元のサイズの三倍になったフーラだった。




