闘技場
何だかんだ脱線しつつもやっとの事で目的の闘技場まで着くことが出来たのだが。
「後一人で締め切りまーす!!」
「いやちょっ、待ってええぇぇ?!」
本当にギリギリだった…………。
何とか最後の一人にエントリーすると受付の人?に苦笑いされつつ大会のルール、注意事項なと色々な説明を受け待機室へと案内された。
ちなみにファル達は観客室へ上がって行った。
これから行われる予選はよくあるバトルロイヤル形式でA~Eのグループに別れ50人ずつで行われ、人を殺したら反則負け、殺さなければ武器は何を使ってもいいとの事、そして俺は一番最後だったのでEのグループへ入れられた。
この予選が終わると本戦が始まりトーナメント方式で進められていく。そして本戦で優勝した者には前大会優勝者との決勝戦が行われるという異世界ものにしてはあまり見ないタイプの大会だ。
「にしても……」
辺りを見回すと見た目がゴオルさんのような奴が多く見えるな。中にはヨガのファイアーとか口から吹いてきそうな奴や杖の手入れをしているダンディーなおじ様もいる。
「おい、小僧何見てやがんだ?」
「アッハイすいませんでした、こういうところ初めてなもんで」
「ガッハハハ!!そんならさっさと帰ってママのおっ━━」
「あ、そういうのいいんで、さっさと試合の準備でもしててください」
まさか自分の台詞が途中で遮られた挙句喧嘩を買いもしないのに動揺したのか少々挙動不審になりながらも男は元の場所へ戻って行った。
この時点で一人潰すと観客室の楽しみが一つ減っちゃうからね、ここは大人の対応で済ませた方がいいよね。
誰だ今変人とか言った奴、エンターテインメントに必要なのは観客への配慮だぞ?
心の中で一人漫才のようなものをしていると手元のこんから思念が送られてきた。
『主、少し子供』
失礼な、俺は立派な青年ですよ。
『そういう事にしておく、それとここ、凄い人いっぱい』
こんをこんな所に連れてきたくはなかったな…………こんなむさ苦しい野郎だらけの部屋なんかに。
『だめ、こんは主の盾で刃。だから必ず身につけてないとだめ』
そうだな、こんは頼もしいよ。
『ふふん、当然』
こんは得意げに笑うとカタカタと刀身を震わせる。
[試合開始!!]
こんと会話を楽しんでいると試合が映し出されたモニターから開戦の合図とゴングが鳴り響いてきた。
あのモニターどうやってんだろ、魔法かな?
俺は試合よりもモニターの方が気になって仕方がなかった。




