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海と猫とエルフと罪人

ザザンザブンと海の音と共に海独特の磯の香りが爽やかな風に運ばれて馬車を包む。


「ふふふっはーやっく着かないかな~♪」

「随分とご機嫌だね」


尻尾をメトロノームの様に左右に振るネスにルスが笑顔で問掛ける。


「それは夢に見た海だよ?それに第一にルアン達もいるし」

「確かに楽しみだね、でもあまりはしゃぎ過ぎるとルアンさん達に迷惑かけちゃうよ?」

「うぐぅ、確かにルスの言う通りだね……迷惑はかけないようにする」


ルスに注意され耳を垂れ、クルクルと回していた尻尾を力無くたらんと垂れ下げ答えるが次の瞬間には全て天を突くような勢いで突き上げる事になった。


「おい猫共、前を見てみろ目的地だ」


アガナの言葉に話をしていた二人はすぐさま馬車から身を乗り出して前方を見ると、そこには地平線の彼方まで続く蒼く宝石のように輝く海が視界いっぱいに広がっていた。


「「わああぁぁ!!」」


あまりの光景に歓喜の声が溢れ出る。


視界に入って来た太陽の光を乱反射し輝く海を見たネス達はその光に負けないくらいに目を輝かせ馬車から落ちるのではないかというくらい身を乗り出して海をマジマジと見て目に焼き付ける。


しかし、そんな空気も目前の海から立ち上がった大きな水柱によってぶち壊されることになった。


「なんじゃありゃ」

「と、とにかく行ってみようよ」

「あ、心配しないでいいですよ?あれファルさんとシファーさんとケトさんが水掛け合っているだけなので」


千里眼を使ってその様子を見たルスはやれやれといったように頬を掻きながら言った。


「あいつらの仕業か、なら心配なんざ要らんな」

「だね!!」

「あんた達本当にルアンの事となると楽しそうね?」


水柱の件を笑い飛ばしていると後ろからサツキの声が聞こえてくる。


「ん?アホエルフか、狭い馬車の中に敷居を作ってまでさっさと着替えて余程楽しみだったのか?」

「う、うっさい!!あんたこそもう既にカイパンを既に履いてるじゃない、あなたも楽しみだったのね?」

「俺は現地について直ぐに行動出来るようにだな!」

「あぁ、また始まったね」

「ルアンなら夫婦漫才って言い出すだろうね」

「「夫婦な訳あるか!!」」



いや仲良すぎでしょうと猫二匹は心の中で密かに思うのであった。

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