子供王様は転生者
目の前の光景に俺達が唖然としていると王様の方から口を開いた。
「汝らの活躍を評して名誉ある四種族大戦に行ってもらう!!」
ちょっと待った、この坊主今なんてった?
「反応が薄いな、もう一度言うぞ?汝らの活躍を評して名誉ある四種族大戦に行ってもらう!!」
「やなこった」
おお?!流石ジャック・ザ・リッパー、いとも容易く切り捨てた!
「俺達が相手するのは罪を犯したヤツらだけなんでな」
「な、何を言うか!!敵国の兵士など全て罪人であろう!!」
「ならてめぇは家族を守るために戦ってるやつを罪人だと言うのだな?無理矢理戦争に出されているやつを罪人と言うのだな?」
「ああ!!そうだ!!我々人類に牙を向いた穢れた獣など全て罪人であろう!!」
その様子にアガナはハッと鼻で笑うと「そんな奴の命令で動くのなんざ俺はゴメンだ」と残し部屋を去っていった。
「う、うぐあぁぁぁああ!!人が下手に出てやったのになんだあの態度は!!」
あれで下手にでたって言うあたり相当自惚れてるな…………。
「お前!お前だ!!」
子供王が八つ当たりのようにこちらへ叫び指をさしてきたそれに肩を竦め返事をすると
「お前は行くであろう?!」
「断ります」
「…………何故どいつもこいつもこうなんだ!!」
顔を真っ赤にした王が地団駄を踏みまるで犬のように吠える。
「あぁ!!これじゃあアテナ様に勝利を捧げることも出来やしない!!」
アテ、ナ……?
てことはこいつは神の勢力って訳か?!それなら何故人類の王に…………。
実は神の勢力と人の勢力は手を取り合っていたのか?
「クソ!アテナ様、転生させていただいた恩は必ず返します」
ひっきりなしに頭や顔を引っ掻き回し呟いたその発言を俺は聞き逃すこと無く全て聞いていた。
こいつが転生者だとしたらこの年で王様になるのもわからなくないな、王様ロールプレイをしながらアテナへの恩返しか。
こいつは将来面倒な敵になるな。
「もういい、お前、さっさと城から出ていけ」
「はい、そうさせてもらいます」
何より相手が敵と知らずとも敵地に居座るわけにはいかないからな。
〜〜〜
「なぁ、シファー」
『はいはい!お呼びでしょうか?』
「四種族大戦って何処でやってるんだ?」
『えぇとですね、それにはまず大陸の説明が必要なので説明をしますね?』
まず今いる大陸は四つの勢力の中の人間の大陸らしい。
それ以外にも悪魔達の大陸、竜達の大陸、神の大陸などがあるらしい。
『ですが』
「ですが?」
『あと一つの大陸が問題の大陸なんです』
「問題の大陸?」
『その大陸が現在大戦が行われている場所であり厄介な場所なんです』
「ほほぅ……」
魔物が大量にいる、とかか?それとも毒ガス的なものか━━
『魔王が封印されています』
「予想外!?い、いや魔王って悪魔達の王じゃないのか?」
『あ、それは悪魔王です』
何ともなさげに言うシファーに俺は青筋を浮かべながら魔王について聞くと
『魔王は魔王です』
とだけ返ってきた。
つまりシファーでも知らない事ってことだよな?
そんなことを考えながら俺はアガナ達とエメラルドグリーンの街へと帰って行った。




