無機物少女の記憶
私は……誰?ここはどこ?何を話しているの?
「ふふふ……地上では欠陥品しか作れなかったがここならば私の本当に作りたかったゴーレムができる!!お前は私の夢だ、お前さえ存在してくれればいい。お前が私の生きた証なのだから。少しの間眠っていてくれ」
その言葉を聞くと視界がフェードアウトされていく。
〜〜〜
意識が覚醒すると私は見知らぬ二人の前に立っていた。
「おぉやっと起動したか我が傑作アトラスよ!!」
アトラス……それが私の名前?
「起動したか、フンならばラビ・レーブにより作られしゴーレムアトラスよ、このマモンの名の元に命令を下す。あの憎き人間共の街へ潜入し、合図を受け取り次第この世界の屑を掃除してこい!!」
マモンと名乗る何者かが叫ぶとラビ・レーブと呼ばれる人がマモンへと寄っていく。
「お待ち下さいアトラスは起動したばかりです。いきなりの任務は無茶です!!」
「黙れ、こやつには我の指名を完璧にこなしてもらわねばな」
人の街に潜入して命令を受けたら人間を全て殺せという事?
なんで?人間って言うのは何もしてないんじゃないの?
私には拒否権は無いのだろうか…何故人間を殺すのだろう。
『はい、承りましたマスターマモン』
何故、と疑問を持ちつつも出された命令に従う事にした。
神々しいとも禍々しいとも取れる光に包まれた私は気が付くと人間の街に飛ばされた。
「嬢ちゃんどうしたんだい?」
「い、いえ、なんでもありません」
「そうかい、困った事があったら言っとくれ」
「は、はい」
何故あのおばさんはいきなり現れた私を怪しがらないのだろうか。
マモンの力なのだろうか、嗚呼この人達は私の手によって殺されてしまうのか。
罪も無い人達を殺すのか、人間が私達に何をしたというのか。
私には人に関する知識は無い。だが、人間は何もしていないと私のココロが否定している。
だが現実は無情なのだ。
合図を受け取った瞬間私の意識は飛んだ。
目覚めた時に目に入ったのは砕け散った肉片と血の海だけだった。
建物の壁には人が投げ付けられたのだろうそこには徒花が咲いている。
あぁ、私が殺した。この手で。この体で。私は醜い。
罪なきものをこの手にかけた。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌………。
意識が朦朧とする中二人の会話が聞こえてきた
「やめてください!!感情がなんだと言うのですか!!」
「感情とは純粋を汚す不純物。人の持つ最大の罪!!感情があるからこそ愚かな行動にでる!!感情とは大罪!!感情は消し去らねばならん!!」
「アトラスは!!アトラスだけは私の全てなのです!!」
「下らん!!この欠陥品にも貴様にも罰をくれてやる!!」
マモンはそう言うと私を魔法によってココロと体にわけ転移させた。




