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オル・グラド②

翼の羽ばたきが直立出来ないほどの強風を起こしオル・グラドの山のような巨体を宙に吊り上げていく。


「あぁ、あいつあんなナリで飛べるのか」


俺が苦笑いしているとオル・グラドの双眸がこちらに向いた気がした。


「ケト、ナイフの用意」

「言われなくてもわかってやがります」

「流石だ、撃ち落とすぞ!」


号令と共に次空間を開き音速に届きそうなほどの速度を付けたナイフがオル・グラドの羽目掛けて飛んでいく。


それを見てオル・グラドは危険な攻撃だと理解しそれと同時に避ける事が出来ないと悟り撃ち落とすために翼を振るい風の刃を起こす。


しかしその程度でほぼ全ての生物を地上に縛り付けている重力に勝てるはずも無くいとも容易く翼を貫いた。


「Gorrrrrrr!!」


オル・グラドが翼を貫かれた痛みと怒りにより咆哮をあげながら砂埃をあげ地面と衝突する。


『エアウォーク』


次に来る振動に備えて地面から少し浮いて移動する魔法を使いオル・グラドへと近づいて行く。


予想していた振動が魔法を唱えると同時に襲って来るが地面にたっていない俺たちからすればただ揺れているだけになる。


「ケト、俺らに当たらないようにナイフで援護よろしく!ファル、行くぞ!」



〜〜〜



ぬぐぅ、してやられた。まさかあのような攻撃手段を隠し持っているとはな。

しかし良い、良いぞ。この調子ならば我の呪縛も解けるであろう。

このまま我を瀕死に持って行ければこの呪縛は解除される。

慈悲のあるものなら我は生きながら得ることが出来るがそう出ないものでも別段良かろう。

呪縛から解かれルアン殿の元へ行けるのだから。


だが弱者に対しわざと負けるなど我は断じてしない、だからこそ本気で行かせてもらうぞ。


穴の空いた翼をはためかせ砂煙を追い払う、すると砂埃の中から数人我に近づいてくる者がいた。


『アースクエイク』


我がそう唱えると地面が揺れ地中から先の鋭い岩が次々と出てくる。


『クレイスターダスト』


それを避けた先程の若い男に向け弾丸の雨を浴びせる。


すると砂埃でよく見えないが男の影は横たわったピクリとも動かない。


フン、やはり人は人この程度か。

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