悪魔と命令
遅れました
俺は拳を振り抜くと飛んでいるメフィストフェレスから目を離さず注意深く見る。
━━スタッ
空中で錐揉み状に飛んでいたメフィストフェレスはその回転を急に止め、重力を無視したかのようにフワリと着地する。
「痛いですね」
「だろう?」
俺は殴られたところを押さえているメフィストフェレスに対し口角を吊り上げた顔で嗤いかけるともう一度メフィストフェレスを殴る為にスルースキルを発動する。
「まいりましたぁ、降参するのでお助けを〜」
嘘、では無いのか。
だとしたら何だ、なにか企みでもあるのか?
「という顔をしていますねぇ?別に企みなんてありませんよ?」
「ほう?なら一つ命令を聞いてもらおうか?」
「おやおや、悪魔に命令とはあなたも悪いですねぇ?」
「言っとくが人は悪魔なんかよりも汚ぇぞ?」
俺の言葉にメフィストフェレスは苦笑いを浮かべて肩を竦める。
「お前は人の命と引き換えに願いを叶える悪魔か?」
「はい、お察しの通りです」
「なら俺の寿命を一年だけやる、だから俺の仲間を治せ。変な事をしたらお前は俺にしばらく追われることになるぞ?」
ふふふふふ、と笑うとメフィストフェレスはその条件をのむと言った。
「なら今すぐ治せ」
俺は次空間魔法からファルを出してやるとメフィストフェレスに命令する。
「容易い御用で」
メフィストフェレスが腕を突き出すとファルの傷口がみるみると塞がり傷が感知した頃になんとも言えない喪失感が襲った。
「終わりました、それと条件ですので寿命を一年いただきました」
「ちゃんとに治っている………な、よしもう行け」
「また願いを叶えたい時はこのメフィストフェレスをお呼びくださいねぇ?」
「お前が俺の友達に手を出さなきゃな」
「おお、怖い怖い。気を付けますよ」
こうして、ファルは完治し、黒幕も去りこの大戦は終わりを迎えた。━━今のところは━━
ファルが治った後の小話
「ファル、大丈夫か?痛いところは?ごめんな、あんな事になって」
「ル、ルアン?どうしたの、そんな顔して」
「ファル、のことしんぱいでマスターすごくおこっ━━いたたたたマスターひさびさのぐりぐりやめてぇ」
「ふふふっ、あれ?ルアンその子達は?」
「お、おうこの二人か、この子はだな━━
またこんな風に話せてよかったと心底思う、誰一人としてかけないでよかった。




