月見うさぎと新雪祭
あけましておめでとうございます!今年も空気人間をよろしくお願いします!
それと新年で100話目なので少し番外編を!
これは人魔大戦を終えた少しあとの小話
この世界全域に雪が降る日がやってきた。
「おお!雪だ!」
「雪……です…か?」
「ふわっはー雪っ!雪だよー!」
「しろくて、ふわふわでつめたい、マスターなにこれ?」
俺達は今月見平原と言うこの日に俺、ファル、アス、メアとこの日を楽しむのに最適な場所に来ている。
他のメンバーはお留守番をしてもらっている。
ここは月見うさぎと言う癒し系モンスターに一面の銀世界と言う最高の場所なのだがここに来るまでに危険度の高いモンスターや命を落としかけない危険な道があるのでここには人一人いない。
「マスター、これなぁに?」
「ご主人……」
「はいはい、二人とも落ち着いてね。これは雪って言ってね?雨が降るでしょ?」
「「コクコク」」
「雪っていうのは雨が空で凍ったものの事を言うんだよ、それに雪には形があって一つ一つ綺麗な形をした雪の結晶なんだよ」
「「おおお」」
俺の説明を聞いた三人は降っている雪の形を見ようと頑張って雪を追っていく。
「三人とも、こうした方が見えるよ」
表面が冷えてかなり冷たくなった手袋で優しく雪を受け止めると三人に見せてあげる。
「綺麗だね!」
「おお、おもしろい」
「き…綺麗……ですね」
三人が三人とも目をキラキラさせ雪の結晶をまじまじと見る。
しかし、このために来た訳では無いのだ。
俺達はこの綺麗な月見平原を壊しかねないモンスターがここへ侵入してきたと言う情報を貰ったためここへ来たのだ。
『ルアンさん、そろそろ移動をお願いします。この進行具合だとそろそろ到達する頃です』
『了解だシファーナビよろしくな』
『このシファーちゃんに任せてください!』
『これが終わったらみんなで揃ってどっか行こうな』
『フラグですか?』
『そうならないことを祈るよ』
「みんな、そろそろ目標の奴が来るそうだ。お出迎えしてやろうじゃないか」
「嫌だーこの子達と遊ぶのー」
「ふわふわもふもふ、さいこう」
「可愛い……です……ご主人…もう……少しだけ……」
ぐうぅ、こいつらには勝てねぇ…
「本当に少しだけだからな!」
「「やったー!」」
〜〜〜
『ルアンさん流石に甘すぎませんか?』
『うぅん、そうかもねぇ』
俺は今月見うさぎと三人に囲まれ身動きひとつできない状況にある。
右のファルが腕をがっちりホールド、左のメアが袖をしっかりと掴みアスが俺を椅子にしてそれぞれ月見うさぎを抱いてリラックスしている。
「ちょ、ちょっといいか?お前らこれから侵入してきた奴を追い払わないといけないんだぞ?」
「もふもふいい」
「可愛い…です」
「ふふふ〜ん」
あ、こりゃダメだな。
[時の無視]
俺は時間を止めくっついている三人をそれぞれ右手左手で担ぎ残りのアスは羽を出し羽で抱えシファーの予測した地点まで移動する。
[解除]
「「?!」」
「お前ら遊びすぎだ、そろそろ本題に移らないと酷いことになるぞ」
三人から不満げな視線が刺さるが気にすることなくどんどん歩いていく。
しばらく歩いているとシファーの報告通り銀世界の中にぽつんと違う色の何かがたたずんでいる。
「んだあれ?」
「ルアン、行ってみよう」
「マスター、いこうこのきれいなけしきにあれはふよう」
「て…手伝い……ます!」
「そうだな、この綺麗な銀世界には不要だし行くか!」
と、みんな言いつつ俺から頑なに降りようとはしなかった。
ある程度近ずいて行くとどんどんその異色のものがはっきりと鮮明に見えるようになってきた。
それは黒く石油のような液体でできた一軒家などまるまると飲み込めそうなほどの身体に嗅いだ瞬間に鼻を通り過ぎ脳に直接揺さぶりをかけるような悪臭を放っている。
「うわ、さいあく」
「うぐっ、くっせぇ何だこいつ」
「っ……………臭い……です」
「ドラゴンの鼻には辛いよぉ…」
こちらが悪臭に苦しんでいると相手もこちらを見つけたようでボコボコッという音と共にこちらへ向け猛スピードで動いて来る。
「速い?!」
「みんな退避!」
メアは俺が抱え、アスとファルは自らで回避する。
その異色のものが通った跡を見ると雪どころか道まで溶かされておりさらにそこから悪臭を放っている。
形を持たぬ腐敗生物
ステータス
Error
スキル
Error
『シファー、これはどういう事だ?』
『えぇとね、こいつはアモンの所の天界での研究によって作り出された生物なんだ、だから私のデータには無くてErrorを起こしてしまったみたい』
『つまり、何も分からないから何かを起こす前に排除お願いってことだろ?』
『その通り、こんなこと頼んじゃってごめんね』
『世界を救えとかいう無茶振りよりはマシだね』
「みんな、コイツは何をしてくるかわからないでも一つだけわかるコイツは触れたら一発でアウトになりかねない、極力触れないように気をつけてくれ」
「りょうかい」
「わかりました!」
「は…はい!」
「Gobogoboo!」
「このユートピアは壊させねえぞ!覚悟しろ産業廃棄物!!」
奴が動き出すのと同時にこちらも動き出す。
━━━すぅーっ…………ボウッ!!
ファルが大きく息を吸い胸をふくらませきったと同時に一気に息を吹き出し業火を発生させスライムを焼き尽くそうと試みるがその巨体と謎のスキルにより表面の少しが乾くほどしか効果はなかった。
「ルアン、効かないよ!」
「他に試してみよう!アス!」
「おっけー[大地の鉄槌]……だめかー」
アスが地面から出した岩ででてきた巨大な拳で叩き潰すもスライムは無傷、と言うよりも先程よりも大きくなっている。
「アス!その技は今回封印で!俺も行くぞ![爆裂魔法!!]うお!危ね!」
「マスター、ばか!」
エクスプローラーを受けたスライムは四方八方に飛び散りそこらじゅうを溶かしていく。
その飛び散った際にスライムが足にはねてしまい少し溶け始めてしまった。
「うぐっ、やばいなこれ!」
「回復…します![高位回復魔法]」
メアが回復魔法を唱えると溶け始めてしまった足がみるみると元に戻り更に足についていたスライムが消えてゆく。
「助かる!………これだ!メア!回復魔法をそこらのスライムにかけまくるんだ!」
「え…えと、はい!」
「こうなりゃ俺もだ!」
[高位回復魔法!!]
「Gubobobo?!」
「よし!策通り!この調子でかけまくるぞ!」
「は、はい!」
それを相手がそれを許すわけもなく次々にスライムが飛びかかってくる。
「メア、あぶない」
「ルアン、大丈夫?」
飛びかかってくるスライムをファル、アスの二人が払い残りの俺とメアでファル達を回復しつつスライムを消していく。
〜〜〜
次々と順調にスライム達を消して数分、ようやく残り最後のスライムが消え去る。
「これで最後か…」
「そうみた……いです」
「終わったー!」
「やった!」
「やり……ました」
「終わったよ!」
こうして月見平原の騒動はひっそりと解決されたのであった。
「みんな〜!月見うさぎと戯れるぞ〜!」
「「おー!」」
その日は決して忘れることの無い一日になった。




