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禁気の刃使い  作者: 星長晶人
第三章

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会長と副会長

チートです、すみません

 三年SSSクラスVS三年Bクラスの試合はいよいよ四戦目に突入する。


『生徒会副会長にして生徒会長の右腕、“全知全能の女神”イリエラ様の登場です!』


 イリエラ先輩がフィールドに出るだけで、アリーナが震えるような大歓声が響いた。


「始め!」


 両者がフィールドに上がりレフェリーが開始の合図をする――と同時に落雷が相手に炸裂した。


 電撃が収まったそこには、気絶した相手の女子がいた。……一瞬だと?


「……無詠唱、魔方陣なしであの威力かよ」


 俺は半ば呆然として呟く。


「四戦目、勝者三年SSSクラス!」


 レフェリーはすぐ様勝者を告げる。それに再び空気が割れんばかりの大歓声が起こった。……あれに勝てるヤツがいるのか?


「……驚いているようだが、ルクス。お前のよく知る人物はあの人より強いぞ。あの人は魔法を主力とする女子の中では、二、三番目だ」


 呆然とする俺に、しかしチェイグはニヤリとして言った。……イリエラ先輩より強い女子?


「……まさか、この先輩と張り合えるのってシア先輩とアンナ先輩か?」


 俺は僅かに目を見開いて驚く。セフィア先輩の実力は知っているが、他二人の実力は知らない。


「ああ。アンナ先輩は攻防が長続きするが、シア先輩なら圧倒的な攻撃力ですぐに勝負が決まる」


 ……そんなに凄いのか。魔法の高等技術なのにな。やっぱ二年最強って言われるだけの実力は持ってるのか。


「きゃー! 頑張って会長ー!」


「可愛いー!」


 五戦目が始まろうという時、三年SSSクラスのベンチから姿を現した小さな背丈の男子に女子からの黄色い声援が送られる。……確かに可愛い顔はしているが、実際に戦う時はどうなんだろうか。シア先輩の自信をあそこまで削るヤツには見えない。本性は別にあると見た方がいいのか。


「……うぅ」


 緊張からか呻く生徒会長。


『来ました! 最強にして超可愛い、“天才”生徒会長、リーグ君の登場です!』


「「「わあああああぁぁぁぁぁぁ!!!」」」


 実況が言うと、アリーナ全体から大歓声が響いた。イリエラ先輩の時よりも大きい。


「始め!」


「オール・オーバーヒート!」


 さすがは三年で大将を任されているヤツだ。開始早々先手必勝とばかりに両手を前に突き出して虹色の巨大な魔方陣を描くと、虹色の巨大な光線が猛然と生徒会長に向けて放たれた。


「……うぅ。ふぁ、ファイアボール!」


 生徒会長が怯みながらも火系統魔法ではただ火を吹くファイアの次に弱い拳大の火の球を放つ魔法を使う。


「……は?」


 全属性の魔法攻撃と火系統最弱から二番目の魔法。勝敗は見え切っていた。だが俺はそのファイアボールが展開された時呆然とした。


 直径五メートルはあろうかという赤い魔方陣が生徒会長の前に壁のように無数に展開されていたからだ。


 それらから一斉に直径三メートル程の火の球が五つずつ放たれ、隣同士のファイアボールと結合し、まるで巨大な火の壁が迫ってくるようになった。


 その火の壁に虹色の光線は弾かれて消え、迫る火の壁に呑まれた相手は、気絶した。


「……な? 理不尽だろ? たかがファイアボール一回分で、数万個分が発動出来るんだ。普通のヤツの数万倍魔力の質がいいと思われるってことだな。魔法だけで言えばシア先輩の方が上だが。今もファイアボールを無詠唱、魔方陣なしで放たなかっただろ? そこら辺は魔法のスペシャリストに劣るが、気も超一流と来たもんだ」


 チェイグが失笑する。他のメンバーも、俺のクラスには魔法を使うヤツの方が多いので生徒会長の異常さが分かるんだろう。言葉を失っていた。


「五戦目、勝者三年SSSクラス! 五戦五勝、よって三年SSSクラスの勝利とする!」


 レフェリーは頬を引き攣らせながらも三年SSSクラスの勝利を告げる。アリーナに再び大歓声が響いた。……さすがに人気で強い。


 ……俺、今のままじゃ負けるな。


 多少の無茶を入れても絶対に負ける。唯一の勝機と言えば相手が黒気を使えないことだが、全ての気を融合させられたら終わりだ。おそらく魔導にも至っているだろうから、俺に勝機はなくなる。


 二回戦第二試合、二年GクラスVS二年Aクラスの試合は、七分程かかったが五戦五勝で二年Aクラスが三回戦へと駒を進めた。


 第三試合、一年SSクラスVS三年Sクラスの試合は、辛くも先手を取った一年SSクラスだったが、残り四戦が全て敗北となり敗れた。


 第四試合、二年EクラスVS二年SSSクラスの試合は、最初に出てきた女子の先輩が軽々と巨大なハンマーを振り回し、気も魔法もなしで一戦を勝利に収め、二番目に出てきた女子の先輩は鞭を使っていたが滅多打ちにして五分間も相手の男子を苛めていたら男子が自分から場外へ下りてちょっと残念そうだった。……Sだな。


 三番目にセフィア先輩、四番目にアンナ先輩、大将にシア先輩と出たが、いずれも一撃で瞬殺。三年SSSクラスに負けない大歓声を巻き起こした。


 第五試合、一年GクラスVS三年Gクラスの試合だが、今度は五戦五勝で一年Gクラスが勝利を収めた。……というか大将戦は相手が棄権したので戦っていない。おそらく一回戦でやられたヤツがまだ目を覚ましていないからだろう。


 第六試合、三年SSクラスVS二年Sクラスの試合は大将戦以外いい勝負だったものの三年SSクラスが全勝し一年Gクラスと戦うことになるだろう。チェイグの予想では大将戦を捨てて別のヤツを出し、三年SSクラス最強のレクサーヌ先輩を他で出して先に三勝しようとするとか。まあ妥当だろうな。


 第七試合、二年SSクラスVS三年Eクラスの試合は三戦目を落としたものの二年SSクラスが四勝した。


 第八試合、三年FクラスVS俺達一年SSSクラスの試合。


 メンバーはリリアナ、イルファ、サリス、アイリア、俺と三人を変えて迎える。


 ……だが俺は嫌な予感がしていた。勝てるとは思う、だが何か嫌な予感がする。


 俺がそんな予感に駆られている時、Gクラスの大将がこっちを見ていて、ニタリと嫌な笑みを見せた。


 ……俺がその予感が的中していたと知る頃には、もう遅かった。

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