オラトリウム
詰まらない祈りを積み上げて天国行きのチケットを買う
どうやったら行けるのか分からないままその紙切れを見つめる
そんな夜ならば月ですら星屑のような夢だろう
ちっぽけな視野で見るばかりじゃな
何かを変えたいって願っても 今日 明日じゃ駄目だし
そうは言っても元気の無い毛根 闘魂でどうにかならねえものか 禿げたくない
18歳の冬 旅の途中で立ち寄った無人オラトリウム
薪をくべれば暖かくて明るくて
まるであの娘の破顔みたいで笑い泣きしていたよ
ずっと流浪していつの間にか30年か
何か残せたかいってあの時の私は幸いな事に未来の自分に手紙を書いていた
その中に詩作の方法がビッシリ書いてあった
私はただそれをトレースしているだけ
何者でもありゃしない それをはみ出し者と言うんだよって
どうしてこうなった?
罫線で囲まれた心
四角く尖って他人を傷つける事しか出来なくていつまでも丸く成れない
誰もが抱えてそうな悩みだよね 陳腐かな でも十人十色
老いていく自分を恥じないで見せて
何も変えられなかったねって会社はファイア
バーでひたすらリバー痛めつけて肝硬変 当然のように食道静脈瘤付属
その世界線は禁酒で脱したんだけどリスクからは逃げられないってキツく叱られた人間ドック
オラトリウムに籠って朝 昼 夜
願い続ければ晴れてくれるかもね 気の迷いが
予想では悲報が飛んで来る可能性の方が高いよって
そう犬の散歩している体の不自由なお爺ちゃんが立ち話で教えてくれた
ありがとうございますと言ったけど 内心 ああはなりたくないなって
それでも1つの希望が道端にでも転がっているのならヒグマに喰われる前に拾わなきゃな 今年ろくなニュース無かったって風雪でマンションの壁に張り付いている聖教新聞に書いてあったよ
負けないように 勝たないように
心身喪失の痛みを堪えて祈るのを止められないんだ
お薬が効かなくてずっとずっと眠れないからさ




