第10話
「それで……レイラ嬢。何があったのかな」
ごほん、と咳払いをしたルシウス様はこちらを見て問いかけてきました。
「ルシウス様!デリカシーというものが――!」
「オフェリア公爵子息様。お気遣いありがとうございます。ですが、平気ですわ。実は――」
そう話を始めると、お二人は話に聞き入りました。
途中で涙がこぼれそうになることもありましたが、マリンが背中をさすってくれなんとかこらえていました。
「……そこまでとは……」
私の話を聞き終えルシウス様はそう呟きました。
「こちらの主観も入ってしまっていると思うので参考程度に耳にいれてくださると……」
「いや、彼女……ティアラ嬢は俺たちにも最近近づいてきているしな」
「はい。すり寄ってきていますね。」
「「……」」
それを聞いて思わず呆れてしまいました。
マリンは、はぁ?エクシア様に色目を?と怒りが再燃してきたようでした。
「きっと兄上が落ちたのを見て俺たちもいけると思われたのだろう」
「!第一王子様もですか!?」
初耳情報でした。
「ああ。もっと言えばブロントと兄上、宰相と騎士団長、大商人の息子の5人は完全におちていたりおちる寸前だったりするぞ」
……。その上での国外追放する発言だったのでしょうか。
権力者の息子たちの力を使って私を国外追放にする?夢を見すぎではないでしょうか。彼女の家は私の家より爵位が下ですし婚約者はまだいません。懇意にされているだけで国外追放にできるほどこの国は腐っていないと思います。
「私の耳にはそのような情報が入ってきていなくて……もしよければ明日も情報をお聞かせくださりませんか」
「ああ。もちろんだ!あと、俺たちはファーストネームで呼ぶから俺たちのこともファミリーネームで呼ぶのはやめてくれよ?」
ニカッっとまぶしい笑みを浮かべてルシウス様はおっしゃいました。
そうして少し雑談をして別れた時はあたりが薄暗くなり始めた時間でした。
それからしばらく情報をいただくために放課後は裏庭に集まりました。
年頃の男女達ということもあり、誰かに見られては誤解されてしまう。ということでルシウス様やエクシア様の護衛を数名おきながら。




