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37話 武闘会開幕!!

 街が一年で最も盛り上がりを見せる日がやってきた。冒険者はもちろん、冒険者以外もこのお祭り騒ぎに便乗する。

 街は人で溢れかえり露店が立ち並ぶ。食欲を誘う食べ物の香りがすると思えばその隣ではさまざまなアイテムを扱う雑貨屋、さらには武器や防具を並べる工房など所狭しと人、人、人。


 街の中央には巨大なスクリーンが浮いて映し出される。魔法によって作られたそれはこれから始まる武闘会の映像が流れる予定になっている。

 それよりも少し小さなスクリーンも街の各所に設置される。

 スクリーンの中で武闘会についてのルールなどを司会者、実況者、解説者らが分かりやすく説明を始める。


「予選は16ブロックに分かれて、各ブロック10名でのサバイバルを行い最後まで生き残った冒険者が本戦トーナメントに出場となります」

「それでは年に一度のお祭り、冒険者もそうでない方も全員で盛り上がっていきましょーーーー」

「武闘会の始まりだーーー!!」

 武闘会の開幕宣言に街のボルテージは一段と上がる。それに比例するように参加する選手らの緊張感も上がっていく。



§



「さぁ、始まりましたね、まずはAブロックから見ていきましょう。解説の井口さん、フィールドは森林ですがポイントをお願いします」

 Aブロックの10人が入った仮想世界の先は巨大な樹木が立ち並び緑が深々と生い茂る森林。時間は昼間で太陽は強く輝くがその光は緑に遮られ所々から少し木洩れ出ている程度で森の中は視界が悪く、少しの音も木々に吸収されて深い静寂が選手らを襲う。


「そうですね、遠距離魔法使いは不利ですね、これだけ木が生い茂ってると隠れる場所も豊富にあって近づかれるまで気付きにくいですからね」

「なるほどなるほど、姿を隠しての奇襲が有効ということですね」

「後は探知能力の有無ですね、先に見つけた方が圧倒的に有利になります」

「おっと、話している間に戦闘が開始されたようですね」


 対面した2人はたまたま歩いていると相手と出くわしてすぐに戦闘態勢を取る。

 先に仕掛けたのは槍使いの男。

「『雷の刃(ライトニングブレード)』」

 持っていた大剣は雷で刃を形成、大剣全体を雷の魔力が覆う。

 躱されはしたがその一振りは巨大な樹木を軽々と切り倒す。


「『|火炎双牙(かえんそうが』」

 大剣の一撃を避けた双剣使いの女は両手に握る刃に炎を灯す。


「キツそうだね、降参したら」

 腕、首、肩、足、腹と様々な箇所へのランダムな斬撃が大剣使いを襲う。双剣使いの女は優勢に立ち回る。


「うるさいぞ、これならどうだ!!」

 手数の多い双剣相手に押され気味の男は一歩引いて大剣にさらに魔力を込める。槍はさらに刃を伸ばし大きくなぎ払う。


 女は高くジャンプして前宙してそのまま男の胸に双剣を突き刺す。

 男は死亡判定を受け飛ばされる。

 今年で最初の脱落者となった。

 すぐに女は森へと溶け込んでいき姿を消した。


「決着が付きましたね、さらにAブロックは戦闘が行われていますね」

「これはどうやら1対3の構図ですかね」

「狙われているのは優勝候補とも言われている上渕選手のようです」


 槍にしては少し短い二本の槍を背中にクロスさせて携えている上渕に3人は同時に仕掛ける。

 片手盾に片手剣の男は飛びかかる。

 魔法使いは氷の弾丸を放つ。

 西洋剣を持った男は態勢を低く構えて足元へ斬りかかる。


 上渕は妙に連携の取れた3人の攻撃をジャンプして足元の西洋剣を躱し、空中で体を捻りながら弾丸避け、捻った遠心力を使い一本の槍で片手剣を弾いて、もう一本の槍で西洋剣を持った男の首を斬りつける。

 着地と同時に魔法使いへ近づき一太刀で仕留め、片手剣の男を見ると背中を見せて逃げている。

 逃げる男に槍を投擲すると背中から心臓を貫き、ものの数分で3人を片付けた。


「さすがは優勝候補、あっという間に3人を片付けて次の獲物を探しにいきますね」

「上渕選手の二本の槍は投擲ようなので距離があるとはいえ不用意に背を向けるとやられてしまいますね」



§



 武闘会が始まり数時間が経ち、皆月も戦場へと足を踏み入れていた。

 そして敵と対面している。

 フィールドは平地、多少の崖などの障害物はあるものの基本的に見晴らしがいい、遠距離攻撃タイプには戦いやすいフィールドとなっていた。


「後藤さん、久しぶりですね」

「あぁ、まさか君と戦うことになるとは思わなかったがな」

「後藤さんとの戦いは楽しみなんですけど、ここは手を組みませんか?」

「そうだな、悠長に喋っている暇もなさそうだな」


 皆月は後藤と対面していたがこの場だけは手を組むことを選択した。

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