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208/208

208.

【☆★おしらせ★☆】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。

 キキョウをティアたちに任せた俺は、一人でマテオの茶屋へと戻った。

 店の奥にあるいつもの指定席。

 俺は椅子にドカッと腰を下ろし、深く息を吐き出した。


「お疲れさん。……で、どうだったんだ?」


 マテオが手際よく淹れたコーヒーを差し出してくる。

 俺は一口啜り、苦味と共に事実を飲み込んだ。


「邪教徒、らしい」

「ほう。厄介な響きだな」


 マテオが眉をひそめる。

 俺は頷き、誰もいない店内で指を鳴らした。


「ミネルヴァ。出てきてくれ」


 空間が揺らぎ、俺のスキル『全知全能』の化身――ミネルヴァが姿を現す。

 銀色の髪をツインテールにした、愛らしい幼女の姿だ。

 彼女は現れるなり、俺の膝の上にちょこんと座った。


「パパ! 呼んだ?」

「ああ。あの『邪教』について詳細を知りたい。教団の規模、拠点、目的。全部だ」


 俺が命じると、ミネルヴァは「あい!」と元気よく返事をし、ふんふんと鼻歌交じりに検索を開始した。

 だが。

 数秒後、彼女は困ったように眉を八の字に下げた。


「……ごめんなさい、パパ。わかんないの」

「は?」


 俺とマテオの声が重なる。

 全知全能。この世の全ての知識を有し、あらゆる事象を解析する最強のスキルが「分からない」だと。


「そんなこと、あり得るのかい?」


 マテオが呆れたように肩をすくめる。


「なんで知らないんだよ、ベルさんよぉ。あんたのスキルは万能じゃなかったのか?」

「すまん……」


 俺は頭をかくしかない。

 ミネルヴァは悔しそうに涙目になり、俺の服をギュッと掴んだ。


「違うもん! 検索対象が『隠蔽』されてるの! 真っ黒なモヤモヤがかかってて、パパのスキルでも見えないようにされてるんだもん!」

「隠蔽、か……」


 俺は顎をさする。

 俺のスキルすら及ばない隠蔽工作。

 それはつまり、相手がそれだけの力を持った「ヤバい連中」だという証拠だ。


「となると、向こうがこっちに攻めてくる可能性は?」

「……あるのです」


 ミネルヴァが即答する。

 幼い瞳に、冷徹な演算の光が走った。


「キキョウお姉ちゃんを保護したことで、ここが見つかるリスクが高まってるの。悪い奴らが襲ってくる確率は……九十八パーセントって出たよ」

「ほぼ確定じゃないか」


 マテオが「やれやれ」と溜息をつき、布巾でカウンターを拭き始めた。


「そうかい。じゃあ、対策を取らないとな」

「ああ」


 俺たちの間に、短い沈黙が流れる。

 マテオは手を止めず、背中を向けたまま言った。


「『追い出せ』とは言わないんだな」

「当たり前だろ」


 俺はコーヒーを飲み干し、不敵に笑う。

 ミネルヴァの頭を撫でてやりながら答えた。


「助けを求めてきた女の子を、敵が怖いからって見捨てるような真似、俺の趣味じゃない」

「だろ? 分かってるっての」


 マテオが振り返り、ニカッと白い歯を見せた。


「あんたはそういうお人好しだ。……ま、乗りかかった船だ。とことん付き合ってやるよ」

「頼りにしてるぜ、相棒」


 俺たちは顔を見合わせ、ふふふ、と悪戯を企む子供のように笑い合った。

【おしらせ】

※2/11(水)


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