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第53話 朝食

  「ん・・・もう朝か・・・」


  「おはようアキラ、相変わらず早起きね」


  昨夜ララがダウンした後、俺とラフィは2人で見張りをする事にし、俺が夜中まで見張りをした後、ラフィに引き継いだ。

  ララはまだ気持ち良さそうに寝ている。


  「おはようラフィ、眠くない?なんなら俺が変わるから、ララさんが起きるまで寝ても良いよ」


  「ありがとう、大丈夫よ。それより、一応燻製の方も見てたけど、煙が消えないようにしとけば良かったのよね?何もしないのは心配になっちゃって・・・」


  俺達はララを起こさないように小声で話し合う。


  「大丈夫だよ。結構時間を掛けて燻したし、ちょっと確認してみようか?」


  俺は不安そうなラフィに微笑み、燻製器を覆っている葉っぱの隙間から中を確認した。


  「おっ!良い感じの色合いだし、そろそろ大丈夫そうだよ!」


  燻製が出来上がっているのを見て少し嬉しくなり、少し大きな声を出してしまった。


  「はっ!燻製が出来上がりましたか!!?」


  俺の言葉が聞こえたのか、ララが飛び起きる。


  「アキラの馬鹿・・・」


  「ごめん・・・つい嬉しくてさ・・・」


  俺は呆れた顔をしているラフィに謝った。


  「昨夜はすみませんでした・・・あの槍を使うのが、まさかあんなに疲れるなんて思いませんでしたよ・・・」


  目を覚ましたララは、昨夜の事を思い出して謝罪する。


  「気にしないでよララさん!昨日は祠を探して貰ったりで1番負担をしてたんだから、ゆっくり休んで貰えて良かったわ!ね、アキラ?」


  「そうだよ!ウサギも獲って来てくれたし、ララさんには感謝してるんだ。だから、気にしないでよ!」


  「お二人共優しいですね・・・ありがとうございます!ちょっと早いですけど、朝食にしませんか?道中何があるか分かりませんし、早めに出発しましょう!」


  ララは言ってる言葉はまともだが、目は燻製に釘付けだ。

  早く食べたくて仕方が無いのだろう。


  「そうね!このままじゃララさんが理性を失いそうだし、早く食べましょう!」


  「了解!じゃあ、肉を切り分けるから少し待っててね!」


  俺とラフィは呆れて笑い、朝食の準備を始める。

  ララは照れたように笑い、ラフィの手伝いをする。


  「ララさん、ゆっくりしてて良いわよ?」


  「そういう訳にはいきません!昨夜はゆっくりさせて貰いましたから、今日は頑張ります!それに・・・早く燻製を食べたくて!!」


  「あぁ、そうよね・・・」


  ラフィの顔が引きつっている。

  流石に俺も呆れて言葉が出なかった。


  「そりゃあそうですよ!お肉ですよ!?しかも、お酒に合うお肉なんですよ!!?嫌いな人なんていません!!」


  「あはは・・・ララさんはブレないね・・・」


  俺は苦笑しつつ出来上がった燻製を切り分け、2人に配った。

  

  「じゅるっ・・・もう食べちゃっても良いんでしょうか!?」


  「良いですよ・・・でも、量が限られてるから味わって食べてね?」


  ギラついた目で肉を見ているララに注意をしたが、彼女は聞こえていないようだ。


  「じゃあ、食べましょう!いただきます!」


  「いただきます!」


  俺達はまず、出来上がったばかりの燻製を口にする。


  「うん、しっかり味が付いてて美味しいわ!」


  「だね!しっかり燻されてるし、これならまた肉が手に入った時に作っても良いかもね!」


  「おいひいでふ!ごくっ・・・朝からお酒が欲しくなりますね!」


  俺達は口々に感想を言い、舌鼓をうつ。

  ララはあっと言う間に肉を食べ終わり、ヨダレを垂らしながら俺を見てくる。


  「はぁ・・・俺のを食べなよ・・・」


  「良いんですか!?ありがとうございます!!」


  「私のもあげるわ・・・」


  「おお!お二人共ありがとうござい!!このご恩は必ずお返しします!!」


  ララは俺達から肉を受け取り、一気に頬張った。

  彼女はとても幸せそうな顔をしている。


  「いくらなんでも好き過ぎでしょ・・・」


  「うん・・・」


  俺とラフィは、ララが幸せそうに食べるのを眺めながらゆっくりと食事を済ませた。

  



  

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