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第49話 エロいお姉さん

  「さて、今から祠に向かうことになるんだけど、ひとつ確認しときたい事があります・・・」


  祠の入り口の近くで野宿をし、日の出と共に起きた俺達は、改めて入り口まで戻って来た。

  俺は入る前に、2人に今まで疑問に思っていた事を聞いてみることにした。


  「何よ改まって・・・まさか行きたくないとか言うんじゃないでしょうね?」


  「違うよ!確認したい事があるって言っただろ!?いくら俺でも、ここまで来て帰りたいとか言わないよ!何もせずに帰ったら、それこそ時間の無駄だろ!?」


  「貴方なら言いそうだからよ!」


  俺とラフィが言い争いを始めると、ララはウンザリした様にため息をついた。


  「仲が良いのはわかりましたから、話しを進めませんか・・・?アキラさん、確認したい事って何ですか?」


  「あ、ごめんララさん・・・俺が聞きたかったのは、この世界にダンジョンがあるかどうかなんだけど・・・もしこの先がダンジョンになってるなら、今の装備で大丈夫なのかなって思ってさ・・・」


  呆れているララに謝り、本題に入る。


  「昔はあったみたいですが、今では存在しないって言われてます。アキラさんの居た世界でのダンジョンの定義がわからないので何とも言えませんが、この世界のダンジョンは、力のある魔族や魔物、竜達が住んでいる場所がダンジョンに成ると言われています。彼等の放つ魔素によって、その場所の地形が変わって地下に広がり、充満している魔素を目当てに他の魔物達が集まったり、そこから魔物が発生する事でダンジョンが広く深くなると言われてますね。まぁ、今となっては力のある魔族達が姿を現さなくなってしまいましたし、他の魔物も消えましたから、ダンジョンは無くなったみたいです」


  ララは丁寧にダンジョンの仕組みについて教えてくれた。

  彼女の話の通りなら、この祠はダンジョンでは無い事になる。


  「へぇ、そんな仕組みになってるんだね・・・じゃあ、力のある精霊や神々のいる場所はどうなってたの?」


  「あぁ、それはパレスって呼ばれてたらしいわよ?こう言った祠は別として、力のある精霊や神々とかは高い所が好きみたいで、空に向かって行くみたいよ!まぁ魔族は闇を好むし、神族は光を好むから当然ではあるわね!」


  ララの代わりに答えたラフィは得意気に胸を張っている。


  「じゃあ話をまとめると、ここはダンジョンでもパレスでも無いから今の装備のままでも大丈夫って事で良いかな?」


  「そうですね・・・まさか祠に罠があるなんて事は無いと思いますから、大丈夫だとおもいますよ!」


  「荒れてるだろうから、注意はしといた方が良いかもね・・・」


  「了解、じゃあ行きますかね!」


  俺達は、夜目が利くララに松明を持たせて先頭にし、祠のある洞窟に入った。






  「あのさ・・・松明要らなくない?」


  「そうですね・・・まさかこんなに明るいなんて思ってませんでしたよ・・・」


  俺達が洞窟に入りしばらく歩いていると、突然明るくなった。

  洞窟の壁に生えている苔が光を放っているのだ。


  「まぁ、無いよりは良いんじゃない?この光る苔がいつまで保つかわからないし、急に消えたら真っ暗よ?」


  「そうですね・・・念のため持っておきましょう!」


  「夜目の利くララさんは良いけど、俺とラフィは確実に見えなくなるよね・・・」


  俺とララは、ラフィの提案に頷き、そのまま先に進んだ。

  荒れていると想像していたが、この洞窟は意外にも綺麗で、虫一匹見当たらない。

  巨大な蜘蛛やムカデ、ゲジゲジなどがいたら発狂ものだったが、今のところその心配は無さそうだ。


  「結構長い洞窟だね・・・昔の人達はこんな所を往復してたんだね・・・」


  俺達が洞窟に入って30分程になるが、まだ祠は見えてこない。

  代わり映えしない景色が続くと、本当にここで合っているのか不安になる。


  「そうですね、流石に飽きて来ました・・・おっ!まだ続くかと思ってましたが、向こうに明かりが見えて来ましたよ!」


  俺の言葉に、ララもウンザリとして頷いていたが、奥に明かりを見つけて少しテンションが上がった。


  「本当?やっと着くのね・・・流石に疲れてきたから良かったわ・・・」


  ラフィも疲れているらしく、普段の元気が無い。


  「あと少しです!頑張りましょう!!」


  ララはそう言うと、歩くペースを上げた。






  「おぉ・・・凄いな!なんと言うか、荘厳な雰囲気だね!!」


  俺は洞窟を抜けるなり、周りの光景を見て感嘆の声を上げた。

  2人もその光景に見惚れているようで、息を飲んでいる。

  そこは天井の穴から入り込んだ陽の光によって、広い空間が全体が輝いていた。

  広間の中央に泉があり、その奥には大きな滝がある。

  結構な深さの泉だが、透き通るように綺麗な水により、水底まではっきりと見える。

  泉の水が陽の光を反射し、天井や壁をキラキラと輝かせる様は、荘厳と言ってもいい光景だ。


  「本当にここが廃れた祠なの?滝と泉以外見当たらないけど・・・」


  ラフィが我に返って周りを見渡す。

  確かに、彼女の言った通り他には見当たらない。


  「少し探してみようか?」


  「そうですね!広いとは言っても、3人ならすぐに見つかりますよ!」


  俺達は手分けして祠を探すことにしたが、いくら探しても祠は見当たらなかった。


  「無いわね・・・」


  「滝の裏側にも無かったです・・・」


  「あと探して無い所と言ったら・・・」


  俺はため息をつく2人に苦笑した後、泉の方を見た。

  2人もつられてそちらを見る。


  「あの泉の中しかないよな・・・」


  「ですよね・・・」


  「仕方ないわね・・・行ってみましょう?」


  ラフィはウンザリしたように呟いた。


  「誰が行く?正直、俺はあまり息が続かないよ?」


  「私が行って来ます!泳ぎは得意ですからね!」


  ララはそう言うと、俺とラフィの言葉を待たずに泉に飛び込んだ。


  「気持ち良い位に即断即決だね・・・」


  「えぇ呆れるくらい迷わなかったわね・・・」


  「しばらく待とうか・・・」


  俺達はやる事もないので、座ってララを待つ事にした。


  「アキラさん!ラフィさん!ありましたよ!!泉の奥に横穴があって、その先にありました!!」


  5分程待っていると、ララが嬉しそうに笑いながら戻って来た。

  俺は戻って来たララを見て中腰になってしまった。


  「アキラ・・・こんな時に何やってんのよ・・・」


  隣から殺気をはらんだ視線が降り注ぐ。

  ラフィが虫を見る目で俺を見ている。


  「だってさ・・・濡れた衣服が、女性の素肌に張り付いてるのは股間によろしくないんだよ・・・」


  「はぁ・・・そんなになるなら私達を抱けば良いじゃない?我慢は身体に毒よ?」


  「いぇ、我慢します・・・」


  俺は、呆れるラフィに照れながら答え、泉の中に入った。


  「では私が先に行きますから、お2人は離れないようについて来てくださいね!」


  ララが俺達に注意して先に潜り、俺は彼女の後を追った。







  「ぶはっ!ゲホッゲホッ!しんどかった・・・」


  「あははは!アキラの顔が面白すぎて、途中で溺れるかと思ったわ!!」


  俺が泉の奥の祠に着くと、先に着いていたラフィが爆笑していた。


  「笑い事じゃ無えよ!死ぬかと思ったわ!!」


  「ラフィさん、あまり笑うと悪いですよ・・・」


  怒る俺を見て、ララはラフィを注意したが、笑いを堪えているのがわかる。


  「2人して酷いよ・・・こっちは必死だったのにさ・・・」


  「ごめんごめん!もう笑わないから許してよ・・・悪かったわよ・・・」


  「私もすみません・・・」


  涙目で拗ねる俺に、彼女達が謝ってきた。

  本当に悪いと思ったのか、少し項垂れている。


  「もう良いよ・・・。で、それが祠だよね?なんか小さいね・・・」


  「そうね・・・向こうの広場に比べたらかなり狭いし、祠の造りも質素ね・・・」


  俺とラフィは意外な程に小さな祠を見て、少しテンションが下がった。

  まだ向こうの泉の方がいかにも精霊が居そうだったからだ。



  『小さい上に見すぼらしくて悪かったわね!!』



  何処からか、女性の声が響いた。

  かなり怒っているようだ。


  「えっ、ララさん何か言った!?」


  「私は何も・・・」


  ララは慌てて首を振る。



  『200年振りに誰か来たと思って見に来たら、いきなりdisってんじゃないわよ!失礼よあんた達!!』



  さらに声が響き、俺達が慌てて周りを見渡していると、祠の前に水柱が現れた。


  「えっ・・・どちらさん・・・?」


  水柱が消えると、そこには1人の女性が立っていた。

  髪は青く輝き、肌は白く滑らかで、顔立ちは美しく、スタイルの良い身体に羽衣の様な透けた衣服を身に付けた美女だった。

  

  (なんだこの人・・・痴女か?教えてエロい人!?)


  「誰が痴女よ!?あんたさっきから失礼にも程があるわよ!!」


  俺の心を読んだのか、目の前のか痴女は、腰に手を当てて憤慨している。

  ラフィとララは口を開けて呆然としている。

  

  「あっ、すんません・・・で、どちらさんで?」


  「人に名前を聞くときは、自分から名乗りなさいよ!まったく最近の奴等は礼儀も知らないの!?」


  「すんません・・・俺はアキラです。向こうのエルフはラフィエル、猫人族はララです・・・」


  俺は彼女に注意され、取り敢えず自己紹介をした。


  「私はウンディーネよ!リヴァイアサン様に仕えてるわ!それにしても、あんた変な名前ね・・・しかも、あんたの身体に流れてるマナ・・・この世界の物じゃ無いわね?」


  ウンディーネと名乗った女性は、そう言うなり宙に浮き、俺の周りをクルクルと回って観察してきた。

  透けた衣服からチラチラと見えてはいけない物が目に入り気が気じゃ無い。


  「あんた・・・精霊相手に何考えてんのよ・・・本当、呆れるほど無礼ね・・・」


  ウンディーネは自分の身体を隠す様に身をかがめ、俺を睨む。

  俺の背後では、ララとラフィが呆れてため息をついていた。


  「うるせえ!あんたの格好がいけないんだろ!?健全な男子ならこうなるわ!!」


  「まぁ、私の美貌を持ってすれば、異世界人だって欲情するわよね!!」


  彼女は俺をニヤけた表情で見下し、胸を張って自画自賛している。

  彼女の豊かな胸は、上下に勢い良く揺れてた。


  




  

  

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