表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/73

第47話 道程

  「はぁ・・・やっと目印の岩に着いたね・・・」


  俺達は半日掛けて目印の岩に辿り着き、少し休憩を入れた。


  「相変わらず体力無いわね・・・これから山を登るけど大丈夫なの?」


  「流石に山道を支えながら登るのは無理ですよ?」


  ラフィとララは、俺を見ながらため息をつく。


  「都会育ちの体力の無さをナメたらいけないよ君達!まぁ、迷惑にならない程度には頑張るよ・・・」


  俺はそんな彼女達に苦笑しながら言った。


  「自慢気に言わないでよ・・・さて、そろそろ行きましょう?今日の内に祠の入り口までは行きたいわ!」


  「そうですね!祠の近くなら野宿出来そうな場所もあるかも知れませんしね!」


  彼女達は立ち上がり、山に向かって歩き出す。


  「ちょっと待って!立ち上がれない・・・起こして・・・」


  「早速迷惑掛けてんじゃないのよ!?」


  ラフィはそう言いながらも、俺の手を引いて立たせてくれた。


  「すまないねぇ・・・。ラフィってさ、口では色々言うけど、なんだかんだ助けてくれるよね・・・ありがとう」


  「べ、別に良いわよお礼なんて・・・」


  ラフィは赤面して顔を背けた。

  ララはそれを見てニヤニヤと笑っている。


  「ほら、さっさと行くわよ!遅れたら置いて行くからね!?」


  「了解!ララさん、行こうか!」


  「はい!楽しんで行きましょう!」


  俺とララは、照れながら足早に歩いて行くラフィの後を追って山に入った。






  「あのさ・・・これ、道じゃ無くね?」


  俺は山に入ってしばらくして、俺の前を歩くラフィに言った。


  「そうね・・・ララさんには悪いわね・・・」


  「まぁ、長い事使われてなかったみたいですし、仕方ないですよ・・・」


  先頭を歩くララは、藪を払いながらため息まじりに答える。


  「いくら何でも酷すぎるよね・・・どんだけ放置してんだよ・・・」


  「愚痴言ってないで行くわよ!私達の前に道が無いから何だって言うのよ!私達が通った後に道が出来るのよ!!」


  「おぉ・・・ラフィさんカッコイイ!惚れちゃいそうです!!」


  「高村光太郎の道程だね!良い詩だよね!!」


  「タカムラコウタロウって誰よ?」


  ラフィが俺を振り向いて聞いて来た。


  「あ、ゴメン・・・高村光太郎は、向こうの世界に居た詩人だよ・・・。自分の道は自分で切り開かなきゃいけない、その道のりが人生という一本の道になるって詩だよ!俺の居た国の教科書にも載ってた有名な詩だけど、まさかこっちで聞くなんて思わなかったよ・・・」


  俺はラフィに謝り、高村光太郎の詩について説明した。

  ラフィとララは感心したように頷いている。


  「どこの世界にもすごい考えを持った人がいるのね・・・。私は、別に深い意味で言った訳じゃないけど、そんな人と同じ言葉が出て来た事は嬉しいわね!」


  ラフィは嬉しそうに笑っている。


  「深い言葉ですね・・・我が道を行くって感じがカッコイイです!私もそうありたいです!」


  「いや、ララさんは既に我が道を行ってますよね?国を飛び出してまで婿探しとか自由すぎますよ・・・」


  「そうね・・・」


  ララの言葉に、俺とラフィは呆れてしまった。


  「えーっ!何ですかその反応!?」


  ララは少しムッとしている。


  「あはは!ララさんゴメン!気を取り直して先に進みましょう!」


  「何か釈然としません・・・まぁ良いです!早く野宿出来そうな場所を探しましょう!」


  俺が謝ると、ララは気持ちを切り替えて先に進んだ。

  





  「地図にある場所ってここでしょうか?周辺の植物などの特徴は合ってますけど、自身が無いです・・・」


  「取り敢えず入り口を探しましょう?」


  「了解!まぁ、日が暮れるまでまだあるし、見落としの無いように探そうか・・・」


  俺達はしばらく歩き続け、地図に記してある場所らしき所まで辿り着いた。

  ダリウスが言うには、入り口は隠れていて分かりにくいらしい。

  俺達は手分けして入り口を探し始めた。


  「ラフィ、ララさん、そっちはどう?」


  「こっちには無いわ!」


  「私の方も見当たりません!」


  入り口を探し始めてから30分程経つが、いまだに見つからない。

  木々の合間から見える空は茜色に染まり始めている。


  「おかしいな・・・ここじゃ無いのかな?おっと・・・って、うわっ!!?」


  俺は中腰の姿勢がキツくなり、腰を伸ばして身体を逸らすと、バランスを崩して盛大にコケた。


  「アキラ、どうしたの!?」


  「痛え・・・頭打った・・・」


  俺はコケた勢いで藪を転がり落ち、身体に着いた葉っぱなどを払いながら起き上がった。


  「あ・・・見つけた・・・。ラフィ!ララさん!ここにあったよ!!」


  「アキラ大丈夫なの?入り口が見つかってよかったわ!」


  「いきなり叫んだから驚きましたよ・・・。おぉ、本当だ・・・アキラさん、お手柄ですね!」


  彼女達は俺を心配して駆け寄り、入り口を見て笑顔になった。


  「入り口も見つけたし、今日はこの辺で野宿しようか?」


  「そうね!祠の探索は明日にしましょ!」


  俺達は、来た道を少しだけ戻り、ひらけた場所で野宿の準備を始めた。

  

  

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ