【四十二】女子会
美鈴と電話で話してから、私の頭の中から消えない憂いがある。
彼に別れの真実を告げることはタブーなのか、ということ。
拓都のことも話さない方がいいのだろうか?
真実を告げないということになれば、私は心変わりをして別れを告げたことが真実になってしまう。そうすると、美鈴が言ったように、私は一度裏切った前科のある信用できない相手だということになる。
私は大きく溜息を吐いた。
このことを考え出すと、後悔という泥沼の中をスパイラルのように潜り込んでしまいそうで、思考をシャットダウンした。
「ママ、クリスマス、楽しみだね? クリスマスまであと何日?」
サンタへの手紙を書いてから、拓都はご機嫌で、「あと何日?」と毎日のように訊いてくる。
このことも、頭の痛い問題だった。
「あと八日だよ。良い子にしてないと、サンタさん来てくれないぞ」
こちらも笑顔でそう返しながら拓都を見ると、嬉しそうに「うん」と頷いた。
クリスマスまでの日にちも、自分で数えてごらんといっても、ママから聞きたいと言って、毎日訊いてくる。それが最近の朝の習慣になっていた。
「今日はね、翔也君のお家にお泊りするんだよ。陸君と陸君のお兄ちゃんとママも来るよ」
そう言った途端、拓都は破顔し「ホント!」と叫んだ。
「本当だよ。学校の帰りに直接翔也君のお家へ行くからね」
今日は十二月三週目の金曜日で、西森さんのご主人が忘年会のためお泊りらしい。それで、私たち母親も忘年会をしようと、子連れで西森家へお泊りすることになった。子供たちが寝てからが私たちの忘年会という名の女子会だ。
偶然にも由香里さんのご主人が出張中で、明日の午後まで帰らないということなので、丁度良かったらしい。もちろん私の家は、誰に気兼ねすることなくどこへでもお泊りできるのだが、拓都のパパ云々のせいで、何やら複雑な心境だ。
その日、仕事を終えて拓都を迎えに行き、そのまま西森家へ行くと、すでに由香里さん達は来ていて、夕食の用意を始めていた。夕食はお好み焼きということで、人数が多いのでリビングのこたつの上にホットプレートを置き、皆でワイワイ言いながらどんどんとお好み焼きを焼いていく。お好み焼きはそれぞれの家庭で微妙に作り方が違うので、新しい発見があって面白い。私達はせっかくだからと、もうビールを持ちだした。
子供達は食べ終わるとさっさとゲームをし始めた。私達は女子会の前哨戦とばかりに、気持ちよくビールを飲みながらお好み焼きをつつき、最近話題のドラマの話に花を咲かせる。
「ねぇねぇ、国営テレビの朝の連続テレビドラマ見ている? 主人公の旦那役の俳優さん、ちょっと守谷先生に似ているのよね」
西森さんの口から、また担任の名が出る。それだけで心臓がドキリと跳ねる。やっぱり重症だよねと心の中で自分に呆れる。
西森さんの言うドラマは見ていないけれど、最近話題らしく雑誌やテレビでもよく取り上げられ、その主人公夫婦の顔は見覚えがある。確かに私もその男優さんの笑った顔を見た時、似ているなと思っていた。
「ドラマは見てないけど、その俳優さんならちょっと似ているかも」
私が西森さんの言葉にそう返すと、由香里さんが「守谷先生ねぇ」と意味深な笑顔を私に向けた。
ちょっと、由香里さん、やめてよ! 千裕さんにばれるじゃない!
心の中で叫びながら由香里さんを睨んだ。それでも由香里さんは余裕の笑みを返してくる。
西森さんが子供とお風呂へ行っている間に、私は由香里さんに抗議した。
「由香里さん、千裕さんの前で守谷先生の名前が出た時に、意味深な表情で私を見るのを止めて! 勘の良い千裕さんにバレるでしょ」
「千裕ちゃんにならバレてもいいんじゃないの? いっそのこと、今日話してしまえば?」
「ダメよ! まだ役員を一緒にしなくちゃいけないのに、お互いに気を使うでしょう? それに、彼も関係することだから勝手に話せないと思うし……」
彼がどう思っているか分からないのに、彼に迷惑をかけることだけはしたくない。
「じゃあ、守谷先生だって言わなければ、美緒のこと、話題に出してもいい? 千裕ちゃんも心配しているみたいだから」
由香里さんの提案を聞いて、私の心の憂いを相談するためにも、少しぐらいは話してみようかなと思い始めていた。
*****
「それで、美緒ちゃんはクリスマスプレゼントどうするつもりなの?」
子供達が寝た後、私達女三人は飲み会モードに突入していた。そして、お酒のせいで軽くなった口が、拓都のサンタさんへの手紙のことを話していた。
「ん……とりあえず、グローブとボールにしようと思っているんだけど……、パパなんて言われてもねぇ」
拓都にとって本当の父親の記憶は、もうほとんど無いのだろう。
いつか……、拓都とパパとママなんていう家族を、築ける日が来るのだろうか?
頭の中で想像するパパと拓都がキャッチボールしている姿。
そのパパは、誰?
「美緒には申し訳ないと思っているのよ。ウチの陸がパパ自慢なんかするから。でも、ママに内緒でお願いするなんて、健気よねぇ。パパがどういう存在か分かっていないから、余計に叱れないし……。ねぇ、いっそのこと、彼にパパになってって、言っちゃえば?」
ニヤリと笑う由香里さんに、私は慌てた。
「な、な、なに言っているの! 由香里さん!」
「あら、美緒ちゃん、パパ候補がいるの?」
こういう話にすぐさま食付く西森さんは、嬉しそうに訊いた。
「パパ候補って……」
私が返事に窮している間に、由香里さんが嬉しそうに話し出した。
「そうなのよ。美緒ったら、初恋の元カレに三年ぶりに再会して、最近良い感じらしいのよ」
「なんだ美緒ちゃん、そういう人がいたんじゃないの。でも、元カレっていうことは、以前に付き合っていたってことでしょう? 三年ぶりに再会して焼け木杭に火が付いちゃったの?」
「そうじゃないのよ。美緒はずっと想い続けてきたの。本当はもう諦めていたんだと思うけど、忘れられなくて、もう誰も好きにならないとか誰とも結婚しないとか言っていたんだよ。まあ聞いてよ、美緒の悲恋の話」
由香里さんは、まるでありふれた恋愛小説の話でもするみたいに、西森さんに語っている。
「ゆ、由香里さん。勝手に人の話、しないでよ」
「まあまあ、千裕ちゃんだって美緒のこと、いつも気にかけてくれているのに、聞きたいわよねぇ。美緒は自分のことだから話しにくいだろうから、私が大まかに話してあげるから、任せておきなさい。千裕ちゃんに話したら、これからいろいろ相談にも乗ってくれるわよ」
「そうよぉ、美緒ちゃん。私、口硬いから、誰にも言わないわよ。恋愛相談も任せてね」
この二人にかかったら、私は太刀打ちできない。でも、いろいろ相談したいこともあったから、丁度いい機会かもしれない。でも、本当に彼の名前は言わないでしょうね?
由香里さんは、私が彼と別れたいきさつと三年ぶりに再会したことを話した。約束通り、私が彼と担任と保護者として再会したとは言わず、仕事の関係で再会したと話してくれた。
「美緒ちゃん、辛い思いして来たんだね。それなのに、拓都君の子育て、良く頑張ったよね」
西森さん……いえ、千裕さんは少し潤んだ目で私を見ると、労うように褒めてくれた。
彼と別れてからは、必死に生きていたような気がする。生活と仕事と子育てで、余裕の無い日々を送っていた。拓都にもずいぶん我慢をさせたと思う。だから、そんな風に褒められると何処かくすぐったい。
「ううん。由香里さんや周りの人たちに助けてもらったから、ここまでやってこられたの。由香里さんと知り合う前は、拓都と共倒れになりそうだったもの。だから、由香里さんにはとても感謝しています」
「なあに? いきなり持ち上げても何も出ないわよ。お互いさまでしょ? 私も美緒に助けられていたんだから」
由香里さんがお酒のせいか、目元を赤くしてフフッと笑った。私もそれに答えるように笑った。そんな私達を見て、千裕さんが「なんだか二人の関係、羨ましいなぁ」なんて言うから、私は慌てた。
「私、こっちへ帰ってきて、千裕さんに出会えたことが、一番幸運だったって思っているんだよ。いろいろ助けてもらって、本当に感謝しています」
「そうそう、私だって、千裕ちゃんと友達になれて嬉しかったし、感謝しているんだよ」
由香里さんまでがそう言うので、千裕さんは照れたような顔で「やーねぇ、二人しておだてないでよ」と言うと、慌てたように話を変えた。
「ねぇ、ねぇ、その彼って、どんな人なの? 別れた時学生だったっていうから、年下だよね? 携帯に写真とか保存してないの?」
「そう、二つ下なんだけど、私よりしっかりしているかな」
徐々に核心に迫ろうとしている千裕さんの問いかけに、私はどう答えていいか戸惑う。
「美緒ったらねぇ、別れた時に携帯に保存していた彼の写真や彼から送って来た写メールなんかの彼に関するデータの全てを消したんだよね。潔いというか、意地っ張りというか。あっ、一枚だけ残したんだっけ? 彼からの写メール。まだ待ち受けにしているの?」
由香里さんがボロボロとバラしていくことに、どこか不安を感じながら、その問いかけにも戸惑ってしまう。
「待ち受けって、あの虹の写真のこと?」
「そうそう、千裕ちゃんも見たの? なんでもね、童話に出てくる虹の真似して、お互いに虹の写真を送り合ったらしいよ。ねぇ、美緒?」
「童話って、もしかして『にじのおうこく』とか?」
千裕さんがいきなりそんなことを訊くから、心の中がざわつく。私はとりあえず頷きながら「知っているの?」と訊き返した。
「翔也がね、守谷先生が読んでくれた『にじのおうこく』の絵本が面白かったから、もう一度読んでほしいって珍しく言ったのよ。それで、図書館で借りて来たって訳。大切な人の元へ虹の橋を架ける魔法だっけ?」
私はまた、彼の名が出てきてドキリとする。由香里さんが私の方を見て、意味ありげに笑った。
「う、うん。そう」
「ふうん、何かロマンチックだねぇ。そういえば、守谷先生の携帯の待ち受けも虹の写真だって噂だよね」
千裕さんの言葉に、由香里さんは驚いたように目を見開いた。そして、私を一瞥すると、「へぇ、守谷先生もその童話の真似して、恋人と虹の写真を送り合ったのかなぁ?」とのんびりと言った。
由香里さんの言葉に、胸がきゅっと締め付けられた。やっぱり、そんな人がいるのだろうかと、頭の中で又嫌な考えが回りだす。
「そういえばさ、その彼は拓都君の存在を知っているの?」
千裕さんの問いかけに、私は固まった。なんて言えばいい? 私の職場で再会したことにしたことになっているのだから、拓都のことは知る訳ないよね。どう答えたらいいの?
「美緒はまだ言えてないんだよね」
由香里さんの突然のフォローに、私は縋るように頷いた。
彼が知っているとなれば、いろいろな疑問がわいてきて、誤魔化しきれないと由香里さんも思ったのだろうか。
私がチラリと由香里さんの方を見ると、彼女は安心のできる笑顔を返してきた。
「そっか、難しいよね。拓都君のことは別れた原因でもあるしね。でも、先に自分の気持ちは伝えた方がいいんじゃない? もしかしたら彼、美緒ちゃんはまだ、心変わりした相手のことを好きなのかもとか、付き合っているのかもって思っているかもよ」
あ、そうか。別の人を好きになったって言ったのだから、そう思うのが普通かもしれない。
千裕さんにそう言われて、初めてその可能性に気付いた。
そして、美鈴に言われた『一度心変わりした人を、心底信用することが出来ない』と言う言葉が、再び脳裏によみがえった。
「そうだよ。早く自分の気持ちを伝えないと、彼、誤解して、美緒のこと諦めちゃうかも」
「由香里さん、それって、彼が私のことを想っているって前提でしょう? まだわからないよ」
私は由香里さんにそう返しながらも、頭の中は美鈴に言われた言葉がグルグルと渦巻いていた。
「美緒ちゃん、私もね、旦那と付き合う前、お互いに別の人が好きなんだと誤解していたのよ。私は結婚するまで旦那と同じ会社で同期だったの。私達の同期は十数人いて結構同期同士仲が良くって、皆で飲みに行ったり遊びに行ったりしていたのよ。そんな中でも彼は同期で一番美人の子と仲が良くてね、二人は付き合っているんじゃないかって噂になっていたから、私は自分の気持ちは伝えるつもりはなかったの。そんな時に彼が転勤することになって、もう諦めなきゃなって思っていたら、たまたま彼と二人きりで話す機会があって、ちょうどいい機会だったし、最後だから今まで仲よくしてくれたお礼と、向うへ行っても頑張ってって、ただそれだけを言うつもりだったの。だから彼が、同じように笑顔でお礼を返してくれて、それで満足だったのよ。……だけど、その後で『梶川と仲良くな! 結婚する時は呼んでくれよ』って言われて、とてもショックだった。確かに同期の男性の中では梶川君と仲良かったけれど、このまま誤解されたまま別れてしまうなんて辛すぎるって、思わず『私の好きなのはあなたです』って言ってしまったの。そんなこと言ってしまった自分が信じられなくて、彼女がいるだろう彼に申し訳なくて、すぐに謝ったんだけど、そうしたら彼も私を好きだって言ってくれて、本当に信じられなかった。だからあの時、自分の気持ちを言って無かったら、彼とは結婚できなかっただろうなと思う。本当に人生ってちょっとしたタイミングで、どう変わるか分からないよね。だから、自分の気持ちに素直になって、気持ちを伝えることって大事だなって思うの。美緒ちゃんも、彼が誤解しているかもわからないんだから、早く自分の気持ちを伝えた方がいいよ」
千裕さんはいつにない真剣な表情で話すと、私の背中を押すような眼差しで見つめた。
彼も私が他の人を好きだと思っているのだろうか?
誤解されても仕方の無い別れ方をしたのだと思い直すと、又美鈴の言葉が脳裏によみがえった。
『一度心変わりした人を、心底信用することが出来ない』
誤解しているなら、解かなければ。
解くためには、どうしたらいい?
「私の場合、自分の気持ちを伝えようと思ったら、まず誤解を解かないといけないと思うの。心変わりしたんじゃないってことを。でも、そのためには別れの真実を話さないと、分かってもらえないと思うんだけど、話してもいいと思う? 別れの真実について」
私の頭の中で、もう一つの美鈴の言葉が彷徨いだす。
真実を告げることは、『それこそ今更だし、余計に傷つけるだけだよ』
「良いも悪いも、本当のことを正直に話さないと、誤解が解けないんじゃないの?」
「でも、高校・大学と一緒だった友達に言われたの。私にとって一番大変な時に彼を頼らなかった上に、嘘までついて別れを告げたことが分かったら、彼を余計に傷つけるだけだって」
そして私は、彼女が十年近く付き合ってきた恋人に心変わりをされて振られたこと、一度心変わりした相手を、心底信用することが出来ないと言われたこと、今更真実を言っても彼を傷つけるだけだから、もうすっぱりと諦めた方がいいと言われたことを話した。
「確かに、そのお友達の言うことも理解できる部分もあるけど。でもね、美緒、二人が再会したことに意味がある気がするの。チャンスだとも思うし、千裕ちゃんのような人生のタイミングが今なんじゃないかなって思うのよ。もう一度、あの別れた時からやり直すつもりで、すべてを正直に話せば、彼なら分かってくれるんじゃないかな?」
由香里さんは何を根拠に彼なら分かってくれるっていうのだろうか?
でも、今の彼なら、もしかして?
「美緒ちゃん、私もそう思う。彼のことが好きなのなら、自分の気持ちと本当のことを正直に話した方がいいと思うよ。その方がたとえどんな結果になろうとも、悔いは残らないと思うの。そのお友達は今が一番つらい時だから、彼の辛い時の気持ちにリンクしてしまうんだと思うけど、実際のところ二人は三年以上の時間を経て、今なら別れた時のことも落ち着いて向きあえるんじゃないかな? 美緒ちゃんはこれを乗り越えないと、前に進めないと思うから、今が頑張り時じゃないのかな?」
そうだ、あれから時間が経って、私達は再会した。
お互いに落ち着いて向きあえるだけの時間が必要だったのかもしれない。
だから今になって再会したのかも。
由香里さんの言うように、この再会には意味があるのかもしれない。
もしかしたら空の上から両親や姉夫婦が私の気持ちに同情して再会させてくれたのかもしれない。
でも、彼にしたらどうなのだろう?
期待させるような態度を取るかと思えば、もう三週間近く、彼からの写メールは来ていない。
今彼は、何を思っているの?
「美緒、何考えているの? どうせ美緒のことだから、自分から告白するなんてできないって思っているでしょう?」
由香里さんはいつも私の気持ちを読んでしまう。敵わないな、本当に。
「今はまだ怖いよ。彼の気持ちも分からないし、こっちが勝手に期待して思い込んでいるだけかもしれない」
「美緒ちゃんの気持ち分かるよ。私も本当は自分の気持ちを言うつもりなんて無かったんだから。旦那が土壇場であんなことを言わなければ、きっと告白できなかったと思う。結局追い詰められないと、人間って動けないものなのかもね」
「まあ、これが美緒だものね。私達はいつでも応援しているから、聞いてほしいことや協力してほしいことなんかがあったら、何でもいいから私達を頼ってね。絶対一人で抱え込んで自己完結しちゃダメだよ。それで、彼に告白する勇気が心に一杯になったら、私達が背中を押しまくってあげるからね」
由香里さんは、いつまでたっても臆病な私に呆れながらも、笑顔で言ってくれた。
美鈴の言葉も、由香里さんと千裕さんの言葉も、たとえ相反していても、皆私の幸せを願っているからこその言葉。
この三人に出会えたことは、不幸だと思っていた運命も、案外幸運だったのかもしれないと思った。
そして、この三人の友情に恥じないように、今度こそ私はこの恋にけじめをつけようと決意した。
まあ、今すぐに行動に移せる訳じゃないけど。
でも、彼からの写メールを待っているだけじゃなく、こちらから送ってみようと思い直した。
私は車検から返って来たばかりの愛車ミニクーペを携帯で撮ると、メッセージを添えて彼に送った。
彼と一緒に選んだこの小さな車、ミニ。
『私の大切な相棒は、あの頃と同じように今も現役でがんばってくれています。頼もしい奴です』
私達が中距離恋愛をしていた時、彼と私の間を幾度となく往復したこの車は、まるであの虹の架け橋のようだったと、今更ながら思った。
「いっそ、七色に塗り替えちゃお、かな?」
私はひとりごちてクスリと笑った。




