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名前だけの人生相談部に学年1の美少女が人生相談に来てしまった。  作者: 時雨白
第4章 必要なのは広い視野と冒険させられること
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睡眠不足

 桜木と一緒に帰ってから1週間が経った。


 あれから、人生相談部の方で変わったことは特になかった。


 しかしながら、日常生活の方では変化があった。


「麦野、起きた方がいいぞ」


 僕は隣で眠っている麦野を声を掛ける。


 ここ最近の麦野は休憩時間中は睡眠をとるようになった。次の授業までにしっかり起きることができれば特に問題はないのだが、昨日ぐらいからは起きれずに授業が始まっても起きないことが度々あった。


 そのたびに僕は麦野を起こしている。


 麦野は声を掛けても起きる様子は見えない。仕方ないので肩を揺らして起こさせる。


「もうこんな時間?」


「もうそんな時間ですよ」


「ありがとう」


 そういって、腕を伸ばしながら起きる麦野、ここ最近、winwinな関係から麦野のお世話係にジョブチェンジを遂げようとしている。


「ここ最近何をしているんだ?授業にも悪影響を及ぼしているだろ」


「勉強をしていただけ、あなたには関係ない」


「さようですか」


 麦野は全く関係ないと言わんばかりの態度をした後、次の授業の準備をする。


 この問題が悪化するなら普通に見捨てるという選択肢もあるが、流石にそんな選択肢をするほど、冷酷になれないので、何だかんだお世話をしてしまうのだが、過去の経験上、受け身のままではいけないことは理解している。


 しかしながら、麦野態度はあんな感じで、特に詳しいことを教えようとしてはくれない。


 相手から頼まれたことなら、ある程度の介入はするのだが、今回は完全に自分のエゴなのであり、今は桜木の件もあるので、強引に介入出来ないし、その責任を持つことも出来ない。


 責任という言葉は大切にするべきであり、それを蔑ろにすることはしないと決めている。


 しかしながら、何もしないであれば現状が悪化する可能性が高い。


 一番の理想は麦野自身がどうにか改善することだが、その可能性は低そうだ。先程の麦野の言葉からには、他の人の意見を聞く気がない人物特有の雰囲気みたいのを醸し出していた。


 情報も少ないことからも下手な手は打てない。


 ほぼ詰みのような状況だ。


 いつも同じような状況に陥る。逆に感心するものだ。どう考えたらここまで不利な環境が勝手に出来上がるのか知りたい。


 さて、どうするか。今回は幸いのことに時間だけは少しだけ余裕がある。僕は授業を聞きながらどのように説得するか考える。


 経験上、ああいうタイプは感情的に訴えてもダメであり、本人の健康といった面でも訴えても本人の本人の中で自分の健康は価値が低いと考えているので、これも聞いては貰えないだろう。


 なら、どのように言えば説得できるか。それは麦野が最も優先していることにメリットがあるような形で交渉すれば聞いてくれる。


 つまり、今最も麦野が重要視しているものを考えつき、それにメリットがあるように言わなければいけない。


 麦野が今最も重要視していることか、先程の言葉が真実であれば、勉強と言うことになる。もし違うのであれば、僕には分からない。


 なので、勉強をすることが最も大切なことだという仮定で進める。


 そうなると、意見を言える所として効率の面が大切になってくるだろう。


 一度この線で攻めてみるか。


 そのように考えをまとめた僕は授業が終わった後、もう一度寝ようとする麦野に話しかける。


「また寝るのか?」


「あなたには関係ないでしょ」


「そんなに眠いならしっかり寝たら?しっかりと集中出来ていない状態なら勉強は捗れないだろう」


「それで何がいいたいの?」


 その言葉を聞いた麦野はこちらの方を向いて、少々きつめの声で話しかける。


 もしかして、本当に勉強の事だった可能性が浮上してきた。正直言っていい感じにスルーする為に適当なことを言ったと考えていたので少し驚く。


 取り敢えず、先程考えていたことを冷静に話す。


「別に、ただ勉強の効率を考えるなら無理にするよりもしっかりと休んで取り組んだ方が効率が高いと思ってね」


「・・・・・・確かにそうかもしれない」


 もっと何か言われるかと思っていたが、麦野は僕の言い分を素直に認める。


「だろう、睡眠時間をギリギリまで削るよりも5~6時間ぐらいしっかり睡眠時間を作って勉強するほうが総合的にプラスになるし、そんな体を酷使するよう使い方をしているならどっかで体力の限界がきて、倒れることになる。もしもそれがテストのときだったりしたら、本末転倒だし、そうでなかったとしても数日何も出来なくなるから結果的に大幅なロスになるよ」


 それを聞いた麦野は少し感が込んだ後、頭の中で答えが出せたのか、何を決めたようにこちらを見てくる。


「少し焦っていたのかな、ありがとう。冷静になれた」


「それはよかった。一人で考えていても分からないことはあるからね、あまり力になれないけど、話し相手ぐらいにはなるから、困ったら言ってね」


「あなた暇そうだしね」


「あはははは」


 麦野からそこそこ鋭い言葉のパンチが飛んでくる。僕は苦笑いするしかなかった。


 もっと苦戦するかと思ったが、想定以上にすんなりと受け入れてくれた。


 これでしっかりと健康的な生活をしてくれるなら、僕にとってはうれしいことだ。そこばかりは強制は出来ないのでこれで変わらないなら、僕がもっと困る感じになるだけなので、上手くやってくれるように祈るしかないだろうな。


 そんな出来事がありながら、次の授業を受けるのであった。

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