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名前だけの人生相談部に学年1の美少女が人生相談に来てしまった。  作者: 時雨白
第4章 必要なのは広い視野と冒険させられること
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変化

 対策会議が始まって1週間がたった。


 僕はこれまで一回も部室の方に行ってはないので、うまくいっているのか全く知らない。


 ただ、住吉の授業の様子を見る限りうまく進んでいるように感じる。


 最近の住吉は各授業に対して余裕を感じる。そこまで真剣に聞いていない状態で、先生に当てられても余裕で答えることができており、たまに出る小テストでは満点を取り、自慢されるなど、桜木の授業の効力を感じることができる。


 これほどまで目に見える成果が出始めてあることに嬉しさを感じる。


 ちなみに今日は僕が考えてきた確認テストを実施する日なので、1週間振りに部活に参加する。


 ちなみに難易度はこの学校のテストより少し難しいぐらいにしているが誤差の範囲ぐらいだろう。


 先生の作る傾向などをしっかりと考えられた対策テストなのでそこそこの自慢作でもある。


 そんなことを考えているとそろそろ当てられそうなところの内容に授業が入る。


「麦野、そろそろ当てられるかもしれない、授業を聞いた方がいいかもしれない」


「もうそんなところなの?わかった。」


 僕の言葉を聞いて先程まで開いていた参考書を閉じて授業の方に集中する麦野。


 ここ1週間で僕と麦野関係はある程度作られていった。まず、授業に関してだが、僕は真面目に授業を聞くタイプなので、その中で麦野や僕が当てられそうになったら、さっきほどみたいに教えるようなことをしている。


 そして、麦野は僕が分からないところを教えてくれると言うwin-winの関係を築くことに成功している。


 授業は僕の予想通り生徒に当たるような場面になり、麦野が当てられる。しかしながら、事前に僕から警告されていた麦野は一切の迷いなく答えることができている。


「ありがとう」


「どういたしまして」


 麦野からは特にこれといったことはなくごく普通な感じで感謝の言葉を述べられ、返事をする。


 今の僕と麦野の距離感はいい感じだと言えよう、別のもので言い表すなら、ビジネスパートナーよりは少しだけ親しい関係みたいなものだ。


 互いに必要以上に詮索することはせずに、必要な時に必要な分だけ協力するといった感じだ。


 そんな感じで麦野とはいい感じに付き合えているのだが、最近、気になる変化がある。


 ここ最近は忙しいのか、授業中に目を閉じたりと麦野があまり授業に集中できていない場面がチラホラと見え始めている。


 僕にとってはそこまで大きなことではないが、授業中に眠ること自体は先生から注目させれるし、二人組で何かをする授業もあるので、悪影響が意外と大きいのだ。


 ちらりと隣を見るが、麦野は参考書を開いて勉強するが、度々欠伸などをしている。


 今は授業中に寝るまではいってないので、大丈夫だか授業への集中力は確実に落ちている。


 余計なお節介かもしれないが、理由ぐらい聞いてもいいだろう。


 そのように考えて、授業が終わった後僕はさりげなく麦野に聞く。


「ここ最近は眠そうだが、何かあった?」


「いや、ちょっとやることがあってね」


 麦野はいい感じにはぐらかすような言い方をしてくる。これについては今は追求するべきではないと今までの経験から学んでいる。


「そうか、あまり授業に影響しない程度にしてくれよ」


「余計なお世話」


「はいはい」


 麦野はぶっきらぼうに答える。


 まあ、今の関係的にはこれぐらいだろう。それに悪影響が表面化しているわけでもない。今のところは傍観でいいだろう。


 そんなこんなで、今日もしっかりと授業を乗り越え、僕は住吉と共に部活に向かう。


「今日は駿人がいるのか」


「確認テストをしないといけないからね」


「その確認テストは駿人が作成したんだろ?正直言って駿人レベルなら満点取れる自信があるぞ?」


「その様子だと、授業は順調そうだね。それと今回のテストは僕レベルではなくて学校のレベルになってるから、油断しすぎるなよ」


 テストのことで住吉がこんなことを言うことは一切なかったのだ、よほど桜木の勉強会が住吉に大きな影響を与えているのだろう。


 後は、桜木がそこからどれほど学び、成長しているかになってくる。


 授業を教えるだけうまくなっても困るのだ。本来の目的は桜木の実力を上げること。うまくやっているといいなと思う。


 まあ、保険として堀川先生達の助っ人を用意していたので問題はないだろう。


「まあ、任せろよ。色々といい感じに仕上がっているからな!」


「何か含みがあるような言い方だね」


「そうか?」


「そうだよ、君がそんなことを言う時は決まって僕にはいいことが起きていない」


「それはご愁傷様だな」


「よく言うよ」


 長年付き合っているからこそ、住吉が何を考えているかある程度わかる。


 住吉は簡潔に物事を言うタイプだ。だからこそ、色々といい感じに仕上げたなどは言わずに、しっかりと仕上げているぐらいしか言わない。


 全く、僕がいない1週間で住吉は何を仕掛けたんだ。


 早くも、これから起きるであろう災難に頭を悩ます。


 たまにはこう言うことがなくてもいいのにと思うが、そう上手くはいかない。


 とりあえず、部室に着くまでの少ない時間で起きそうな問題を考えたか、特にこれといったものが思い浮かばない。


 そのまま部室の前まで着く。僕は部室の扉を開ける。


 そして、僕は1週間振りに桜木達に会うのであった。

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