表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名前だけの人生相談部に学年1の美少女が人生相談に来てしまった。  作者: 時雨白
第4章 必要なのは広い視野と冒険させられること
42/72

授業の本質

「授業のアドバイスをしていく」


 堀川先生はそう言って、前へと立つ。


「俺から見た桜木の授業は、ある意味で完璧だった。授業した内容のところの問題ならば、高い正解率を出せるだろう。逆に言えばそれしかできないものということだ。」


「それしかできない」


「桜木の授業において意識していたのは、分かりやすく正確に伝えることじゃないか?」


「はい、そうです」


 堀川先生が言った通り、今回意識していたのは分かりやすく教えることだった。


「分かりやすく伝える。それ自体は見事に出来ていた。しかし、どのように考えればいいのか、解き方については全く教えてはいなかった。言い換えるなら、桜木の授業は答えだけを教えないと言っていい。」


「ああー」


「確かにそう言われるとそうかもな」


 堀川先生の言葉に鮎莉たちは納得する。


「別に答えだけを教えることが悪いことではない。時間的なことを考えるなら、それをする時もあるからな、ただ教師としての考え方なんだが、教えるなら短期的なものではなく長期的なものを教える必要があると考えている。」


「短期的なものではなく、長期的なもの」


「そうだ、より簡単に言い換えると、テストにだけ役に立つものではなく、今後社会人として生きていく上で役に立つ知識を教えると言うことだ。」


「そうなんだー」


「ほー」


 堀川先生はしっかりと納得した表情をしなかった、鮎莉達に向けて、分かりやすく言い直した。


 言い直したことで、伝わったのか、二人は感動したような声を上げる。


「お前達な、もう少し態度を隠す努力をしろ」


 二人のあからさまな態度に、堀川先生はため息をつき、私は苦笑いする。


「まあ、気を取り直して言うが、テスト対策だけに主軸が置かれていた。確かにそれだけなら9割は取れるかもしれないが、本当に欲しいのは残り1割だろう。違うか?」


「違いません」


「ならいい。これから残り1割について少し休憩した後に授業をしてやる。それでいいか?」


「私はいいですよ」


「俺も同意見」


「よろしくお願いします」


「よし、15分後に始まるからそれまで休んでいろよー」


 そうして残りの時間は、堀川先生から、今後に役立つ知識の教え方や考え方を教えてもらった。


「これでおしまいだ」


「「「ありがとうございました」」」


 それから1時間程度たった後、堀川先生の授業は無事に終わった。


「それじゃあ、俺は仕事に戻るからしっかりと戸締まりするんだぞー」


「分かりました」


 そう言って気だるそうに部室から堀川先生は出て行った。


「いやー、とても参考になる授業だったね」


「そうだね」


「この調子でやれば、最高順位取れるかもな」


「私もそう思う、葵ちゃんは?」


 鮎莉からそう尋ねられて一瞬考える。確実に成長はしているが、一番になれるかと言うと断言はできない。それほどまでに他の人も努力しているのだ。


「分かんないけど、一番になれるように頑張るよ」


「はは、真面目だね。だけど、休む時はしっかり休んでね。葵ちゃんは無理することあるから」


「心配してくれてありがとう」


 鮎莉は私のことをしっかり見て、心配してくれる。そのことに私は感謝しかない。


「それでこの後はどうする?」


「本当は対策勉強をする予定だったけど、堀川先生が代わりにやってくれたし、時間も時間だから今日はお開きかな」


「わかった」


 そういうことで私たちは帰りの準備をして、部室の戸締りをしっかりした後に部屋から出て行く。


「部室の鍵はどうする?」


「私が返してくるよ」


「そうか、ならよろしく」


「校門で待ってるよー」


「うん」


 私は、部室の鍵を返しに職員室へ向かう。その道中、向かい側の棟にある図書室で勉強している生徒を見かける。現在の時間は6時であり、帰宅の時間がギリギリである。


 その時間まだ学校で勉強している生徒は中々いない。


 少々距離があるので、どこの学年の子かわからないが、小さくて可愛らしい女子生徒だと言うことはわかった。


 一人で残って勉強をしているのできっと物凄い努力家なのだろう。そんな彼女にも負けないように勉強しないと、そう思いながら私は職員室に向かった。


 そして、鍵を返して、鮎莉達と帰る。


 こうして、初日の活動は無事に終わったのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ