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名前だけの人生相談部に学年1の美少女が人生相談に来てしまった。  作者: 時雨白
第4章 必要なのは広い視野と冒険させられること
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体育

 あれから、何やかんやありながらも4限目までの授業も乗り越え、昼放課になるが、次が体育の授業ということもあって、いつものようにのんびり食べる時間は少なく、また、早めに準備すれば軽い練習ができることから、選択した競技によってはやる気に満ち溢れた人たちが早々に食べ終わる為、それに釣られてみんな早めに準備をする。



「駿人、早くいくぞ」


「わかってるて」


 ちなみに住吉は現在のスポーツが好きらしく、早めに準備する派になっている。


 僕は、いつもよりも早く準備をして住吉の後を追うように向かう。


 体育は2クラス合同でするのだが、残念ながら桜木たちのクラスではない。それに競技は基本的に3つからなる為、人数はいい感じに散らばる。


 今回ならば、バスケ、テニス、ソフトボールだ。


 一番人気はバスケであり、2番人気はテニス、一番人気がないのが、僕たちが選択しているソフトボールだ。


 その人数は男女合わせて18人しかおらず、人数が足りない為、6人1チームとして、3チームがローテーションのようにして試合を行なっている。


 人数が少ないことと、体育大会あまり成績には重要じゃない教科ということもあり、かなり気楽に過ごせている。


 それに、僕にとっては2番目ぐらいに得意なスポーツもあってできないということに悩まされることがない。


 因みに、うまい順で表すなら一位二位はソフトボール部に所属しているやつで、3位は住吉、4位は別のやつで、5位に僕といった感じだ。


 また、意外なことに麦野さんもここを選択しており、美味さから見ると僕の次ぐらいに上手く、女子の中では一番うまい。


 そんな感じで行われる体育の授業、早めに準備していたこともあり、スムーズにことが進み、早めに試合に入ることができた。


 チームは毎回変更され、くじ引きで決める。あまりにもパワーバランが崩れるとダメなので、やり直しをするがそんな事はあまりない。


 くじ引きの結果はどうなったかというと。


「麦野さん、今回はよろしく」


「よろしく」


 僕は麦野さんと組むことになった。


 他のチームでいうと、1位と4位が、2位と住吉が同じチームとなっており、客観的な情報だけ考えるなら、間違いなく最弱だ。


 ちなみにここ数回やっても僕のチームが毎回最弱になっており、泣きたくなってくる。


「それじゃ、試合を始めるぞ」


 その言葉を合図に試合の準備に取り掛かる。


 最初は僕たちの攻めであり、守りは1位4位チームである。


 打つ順番は公正なるじゃんけんの結果、僕は一番最後で、麦野は4番目になっている。


 そして、試合が始まった。ちなみにボールを投げるのは先生で、人によっていい感じのボールを投げてくれるので、割と打てる。


 そうして、僕たちの攻撃は始まったのだが。


「スリーアウト、チェンジだ」


 順当に前の3人は、進めることが出来ずに、最小限の攻撃で終わってしまう。


 3人が悪いわけではなく、相手が強すぎる。一位のカバー範囲の広さと割と何でもできる4位の守備は固く、生半可な攻撃では通らない。


 そして、攻めを行ったチームが次の守りなので、僕たちはグラウンドの方に移動する。


「麦野さん、配置はどうする?」


「隅風くんが一塁にいて、私が一塁二塁の間にいる」


「三塁方面は諦めるのか?」


「あっち方面によく打つのは2番目に上手い人だから、対応が出来ないし、後ろまで飛んでいくことが多いから、捨てたほうがいい。それに後ろまで飛ぶという事は、私達で対処ができる」


「なるほどね、了解」


 麦野さんは三塁間は諦めて、一塁で止める作戦のようだ。そして、そのように僕たちが配置をする。


 ちなみに二塁の中央は先生がおり、動く事はないが、先生の方面に飛んでくるならとってくれるので、そこまで脅威ではない。


 僕たちは言われた通りの配置につく、相手の最初のバッターは住吉だった。


 住吉はやる気満々に、バットを振るう。


 住吉の打球は大きく分けて二つ。ホームランか低めの鋭いゴロのことが多い。


 「ふん!」


 住吉の振るったバットはボールの少し上にあたり、後者である、低めの鋭いゴロがこちらにくる。


 咄嗟に反応がするが、あった一歩足りない、ボールにグローブが少しだけ当たって、僕から離れていく。


 だが、これでいい。


 僕から離れていくボールはカバーのために詰めてきた麦野さんの元へと吸い込まれる。


 そして、麦野は流れるような綺麗な動きでこちらにボールを投げてくる。


 その速度は見た目からは想像があまりつかないほど早い。


 僕はそれを受け止める。


「アウト!」


 僕と麦野の連携プレイで見事に住吉を討ち取る。


「くそー!駿人が触れなければ抜けてたのに!」


「いやいや、あれは麦野さんのカバーがあってこそだよ」


「隅風くんがこちらに誘導してくれたからです」


 僕の言葉に麦野さんは素早く訂正をする。


 その後も、2位のホームラン以外は、僕と麦野さんの連携プレイでカバーした失点は1で抑える。


 そして、僕たちは一旦休憩をした後、2回目の攻撃をする。


 現在は1対1対0で僕たちのチームだけ負けている。


 そしてバッターは麦野だった。


 麦野は綺麗なフォームでバットを振るう。綺麗に当たったボールは先生の上を通り抜け、相手の守備を貫通する。


 人数が6人のため、そこそこ後ろまで打たれると、後ろの方に守備を置いていないと守り抜けない。


 麦野は悠々とホームまで戻ってくる。


「ナイスー!」


「うん」


 これで全チーム同点といった形になる。


 そして、次のバッターはアウトになり僕の出番がやってくる。


「駿人が打つぞ、後ろに下がれー」


「あからさまに対策やめてもらいますー?」


「だってお前が一番危険人物だし」


 相手は無情にも、後ろに下がり、どのように打ってもホームランにならないようになり、また前はうまいやつが固めているので、突破するのは至難の業だ。


 ちなみに僕はある程度打球のコントロールが可能であり、住吉たちのように確実にホームランを打てるほどのパワーはないが、警戒されていない防衛を突破できるものは打てる。


 だからこそ、早々に警戒されたわけなのだが。


 ワンチャンに賭けるか。


 僕は大きく中央に抜けるように打つ。あとは取る側がミスってくれるのを期待したのだが、普通に取られて、アウトになった。


 その後も僕たちは互いに攻防を続ける。今回は、上位陣の調子が良くないのと、僕と麦野の連携がうまくいったこともあり、どのチームも点が足らないまま、最後の攻撃になる。


 麦野さんは一回目のホームランから警戒され、僕と同じように警戒され、やっとのことで二塁まで進めている。


 そして、僕の番が来る。


 時間的にも僕が最後ということもあり、相手は最後の気力振り絞り、守りに来る。


 僕はホームに立つ。


 今回は、運もあり初めての勝利が手に入れることが出来るかもしれない。


 だが、相手の守備は硬い。だが、人数の関係上完璧な守備はできない。そして、脆いところをあえて打たなかった。


 それもこの時のために、打つこと自体は簡単なので、うまく狙ったところに打てるように練習をしていた。


 僕は三塁方面に打ち込む。


 だが、相手は冷静だ。なぜなら後ろには一位のやつが控えており、素早いカバーできるからだ。


 そう、ファールギリギリの打球が来ない限り、僕の打球はファールギリギリのところを通り、後ろに控えていた奴から最も遠い場所へ向かっていく。


 それを取りに行くまでに麦野はホームまで辿り着き。今回のゲームは僕たちの勝利になった。


「ナイスプレイ」


「そっちこそナイスプレイ」


 勝利した僕に麦野さんは、褒めてくれる。


 スポーツはこんな感じで男女の壁を乗り越えて過ごせるので好きだ。


「そういえば、麦野さんはどうしてそんなにうまいの?」


「昔、友達に付き合ってしていたことがあったから」


「なるほど、経験者だというわけか」


「それほどというわけではないけどね」


「十分すごいと思うよ」


「そう?ならありがとう」


 今回、互いに協力したお陰もあり、麦野さんとはかなり気楽に話せるようになった。

 

 

 

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