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凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ 【書籍6巻作業進行中、書いてて凄いたのしかったです、読者の皆にはごめんね】  作者: しば犬部隊
凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ、最後の日常

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ライアン・フロディの日記 その3

 






 昔、祖母に聞かされた話をふと思い出した。




 夜には不思議な力がある。良いことも悪いこともみんなが寝静まっている夜に、起きる。




 昨夜の出来事がまさにそれだ。




 やあ、みんな。ライアン・フロディだ。思考を纏めるためにこうして日記を書いている。




 おばあちゃん、貴女の言葉は真実だ。厄介事、悪いことはいつも夜に起きる。





 昨夜、アレタ・アシュフィールドの監視システムが、98秒間、完全にダウンした。





 原因はわからない。




 全ての監視システム端末を回収し、点検を施したが今のところどこにも不具合は見つかっていない。




 技術班は首を捻っている。現状は科学的説明ができないと言う点だ。






 まあ、それよりもっと不可解なのは僕たち研究班の背筋をぞっとさせたのがあの音声データ。



 98秒間、アレタ・アシュフィールドと同じ声紋で繰り返された謎の言語。




 あれは、なんだ? 翌日の定期検査でカウンセラーが質問したところ、本人は何も覚えていないという。




 1人で繰り返されたその言葉(正確には言葉がどうかすらも分からない)は、どの地域、どの文化においても類似するものの見当たらないものだ。




 睡眠中の不審な行動、夢遊病などが思いつく例だが精密検査の結果、彼女に臨床上では夢遊病と確定することは出来なかった。




 そもそも夢遊病で言葉を話す例はごく稀だ。ならば、彼女には何が起きていたと言うのだろう?




 不可解な言語、アレタ・アシュフィールド1人で繰り返される声紋。




 いや、アレはまるで誰かと会話していたかのような…… いや、よそう。感覚や勘で謎に挑むべきではない。





 僕が頭を悩ますべきものはもう一つの案件だ。







 アレタ・アシュフィールドの監視システムの不自然なダウン。時間にして98秒間。




 その98秒間と同時刻、太平洋、メキシコ湾の海底基地にある號級遺物"ストーム・ルーラー"のエネルギー反応が変化。




 これまでまったく確認されていないエネルギー反応に変化。



 その数値、周波数にして14ヘルツ。





 14Hz。



 この数値を見て、ゾッとする人間もいるだろう。



 そう、その通り、この周波数とまったく同じ律動を持つエネルギーの動きが存在する。






 人間。



 人間の脳波、覚醒時に確認されるベータ波だ。




 ストーム・ルーラーがこの反応をした時間帯に起きたアレタ・アシュフィールドの異変。



 いや、アレタ・アシュフイールドに異変が起きたからこそ起きたストーム・ルーラーの反応か?




 何か、何かがおかしい。



 何か、ぼくたちは決定的なミスをしているのではないか?



 人類の進化、それに科学的にはっきりとした結果をもたらすであろうこの計画。プロジェクト・レベル・アップ。



 このプランは本当に、ぼくが把握している情報が全てなのか?




 決定的な見落とし、いや、意図されてなんらかの情報が隠されている?  アレタ・アシュフイールドのデータも、深度Ⅲという概念の事前情報も何か手入れされている?




 いや、そもそも。




 ぼくらに開示されているデータ、知識はおそらくこれが全てではない。






 これはホラーじみた話だ。でも、書き残しておこうと思う。




 化学、科学。



 ぼくが、そして世界が、この世界の法則を判断するために用いる試金石。




 その試金石の前提が揺るがされる、オペレーション・レベル・アップにはそんな危険を孕んでいる可能性がある。



 だめだな、仕事のことばかりだ。


 息抜きのための日記なのについこうした話題ばかりになってしまう。





 妙なタイミングだが、先日昔の友人からメールがあった。




 彼とは専攻、いやそもそも人間としての方向性から全て違うのだが不思議と馬が合う男だ。




 小さい頃から家が近く、昔のは互いの家を行き来していたほどの仲だ。大人になってからも交友は絶えず、たまにこうして互いの近況を報告しあっている。





 ただ、彼の仕事に対して未だに僕は懐疑的だ。




 彼はフリーのライターをしている。その内容はなんのエビデンスもないオカルトめいたことばかり。



 まあ、口が廻り、頭の回転の速い彼にはぴったりかもしれないが、友人として少し心配だ。





 ああ、そうだ、メール。この内容が僕の興味を引いた。



 バベルの大穴、ひいてはこのバベル島にもオカルトめいた噂やデマは多い。この前日記で書いた公文書館の噂も実は彼がネタの出所だ。











 L計画。



 彼からのメールでこんな話題が出た。



 曰く、そもそも今僕が関わっているこのオペレーションはこのL計画とやらのアプローチの1つらしい。




 ふふ、作り話にしては中々に筋が通っているじゃないか。




 他にも、今バベル島には死んだ筈の人間が路地裏を歩いているやら、伝説の存在である仙人が働いている遊郭モドキかあるとか。





 彼は変わらない。うん、やはり友人はいいものだ。文字に起こすだけでも幾ばくか、気が紛れる。





 また連絡でも取ってみるか。




 そういえば、近く探索者たちの表彰会でこの島はお祭り騒ぎになるらしい。




 チームのみんなと街に繰り出すのも悪くない。




 ライアン・フロディ、オーバー。



 この島の夕焼けは美しい。









〜委員会実働部隊、シエラチームより報告〜



対象Sの抹殺を確認。現場の洗浄、証拠抹消を委託部隊に移行済み。



シエラ4による本人の筆跡を再現した遺書を自宅に用意、遺体の欠損も再生した上で首吊り自殺のシチュエーション再現完了。



カバーストーリーの流布準備完了、生活苦、架空の借金データの用意完了。



対象Sの収集した検閲データの送信完了。



*ダンジョン酔い


*各国指定探索者の詳細


*L計画、アプローチ詳細


*壁画の魔物(こちらについては核心情報なし)


*アレタ・アシュフィールド



以上のデータを確認。




メールリストの中には検閲データを第三者へと送った形跡はなし。追って、クラウドデータの解析を行う。




追記、対象Sの交友関係の中に、現在バベル島でアプローチ2の研究に携わる研究員、ライアン・フロディの存在を確認。






対応の是非を問う。




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― 新着の感想 ―
[気になる点] アプローチ2の研究に携わる アプローチ2 は伝承再生では? アプローチ3 レベルアップの書き間違い?
[一言] この記者さんと主人公が出会う世界線とかあったんかな… そしたらなんかもう探索者とかそっちのけになりそうだけど
[一言] 死んだはずの人間は動いてるし 仙人の居る遊郭モドキもある 記者さん優秀だったんだろうなぁ 踏み込みすぎるって言う1番の死亡フラグさえ立てなきゃ
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