副都市到着
村で一泊した後に、私とカンベルは早々に村を後にした。
村長に引き留められたけども、本来よりも行程が遅れているので朝早くに旅立つ事にした。
「依頼ついでに受けていたなんて聞いてない」
「言わなかったか?」
私一人なら寄り道しながら力を着けていく予定だったのに、カンベルも同伴したことで寄り道が食事以外に出来ていない。
しかも、こっそり依頼を受けていたようで期日までに副都市『フガル』まで配達しないといけないらしい。ちゃっかり小遣い稼ぎに巻き込むのもな。
「そう不貞腐れるな。ほら、甘い木の実だぞ」
「もらう」
私が文句を言えば、毎回食べ物くれるけど騙されないからね。旨々。
足を速めて、道中に何も問題はなく、雨で一日村で足留めをくらったくらいで十日目には『フガル』に到着した。
「人がいっぱい」
ハンストの街よりも人が沢山いる。
私の様な人間種以外にも、王都に多い人間種もいる。
さらに、魚人や狗人に蜥蜴人などの種族も多種多様に見られる。
この副都市には湖はないが、生活に必要な水源として街を横断するように川が流れているから、水源が必要なアブガルもいるみたい。
こここは川によって分断されており、中央に領主館や領主軍の駐屯地などがあり、それを囲む様に農地がある。
さらに農地を囲むように北に富裕層の住宅街、西にその他の住宅街。東には職人街で南に協会や教会、宿屋や市場などが軒を連ねている。いずれも、カンベル情報。
「俺はちょい協会に行って依頼を達成してくる。金やるから、これで何か買って待ってろ。終わったら、行きつけの宿屋に行くから」
カンベルは幾らか私にお金を渡して、さっさと協会に入っていった。
「……少ない」
貰ったお金をみると、串焼き五本買えるくらいしかなかった。
仕方なく、近場の屋体にいって鳥の串焼きを買ったら四本しか買えなかった。高くない?
一本に一口サイズの肉が四つ。味付けもハンストの街と同じ。なのに、なんで高いの? しかも、オマケもくれなかった。もう、この屋体では買ってあげない!
「物足りない」
自分のお金を使ってもいいけど、カンベルによって待たされてるんだから、カンベルに文句を言って追加で買ってもらわなきゃ、この怒りは収まらない。
「とりあえず、来たら蹴って文句言ってやる」
普段より量が少なく、食べたことで余計にお腹が減った。
カンベルを待つ間に屋体を見て回った事でさらにお腹が減り、結局我慢出来ずに色々と買い食いしてしまった。無念。
「あれ、ここ……えっと、あっちから来たよね」
買い食いをしていて、かなり協会から離れたみたい。だけど、位置はだいたい把握しているので迷うことはなさそうと、カンベルが戻って来ている可能性もあるので戻ろうとした。
「あっ」
した所で、それが目に入った。




