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村人帰還、報酬

 私が小屋にある物資を全て収納して村に戻る最中に、まだ元気そうな村人数人とすれ違った。その中にカンベルもおり、無事に三人を村に送り届け、村に明るさが戻った。

 ただ全てを信用できないので、こうしてまだ元気な村人と共に拠点の確認に行くらしい。死体を確認すれば安心するよね。ちなみに、見張りの三人も既に死んで、こちらは村人に確認されている。


「エーは戻っていいぞ」

「うん」


 こうして、私は先に村に戻ると村人に感謝される。でも、殆んどはカンベルの手柄になっている。ムー。

 村人たちは家から出て、楽しそうに話している。だけど、みんな痩せぎみだね。食料を採るにも警戒していたなら、量はそんなに確保出来なかっただろうし。私みたいに何でも食べれば良いのにね。

 村のおばちゃんから萎れた野菜を貰い、それを食べているとカンベル達が戻ってきた。手には鳥を中心に豚も二頭。

 拠点の帰り道で総出で食料の確保もしてきたらしい。動物以外にも山菜もあり、これから宴になるらしい。やった。

 村人たちにも盗賊の壊滅が確実だと伝わり、さらに明るい声が上がる。村の外の畑は盗賊に粗方盗まれたけど、全部ではないようで、その収穫に向かった人達や家々から干し肉や野菜を持ってくる人達が村の広場に集まってくる。ここで、料理を作りそのまま宴になるらしい。早く早く。


「この度は有難う御座いました」


 料理の準備中に、私とカンベルは腰痛が引いた村長と報酬について話している。

 村の様子を見る限り期待はできない。そもそも悪者退治は私が言ったことなので、カンベルとも話して宴に参加させて貰うことと一泊させてもらうことで話を通した。村長はもっと報酬をと言ったが、報酬になりそうなものがない。家宝とか言っているけど、逆に受け取りづらい。

 村長は渋々、宴と一泊だけでのんでくれた。普通は立場と報酬が逆みたいだけど、苦しむ村人にこれ以上の苦しみは与えたくない。私だって自分の村でそれを体験したからね。

 村長と報酬以外にも話していると、外から宴が始まったと報せがきた。

 沢山食べるぞー! と意気込んだらカンベルに程ほどにって言われた。村人の食事が優先なのは知ってるよ。

 豚の丸焼きに豚と野菜の炒め物、鳥に山菜を入れて蒸した物に鳥の串焼きと鳥ガラスープ。スープには干し肉が入っていた。

 

「だから、そんながっつくなよ」

「報酬だよ」


 お腹が減ったまま盗賊退治をしたんだよ。だから、宴の参加を報酬にしたんだ。まだ全料理をたった三周しかしてない、せめて五周か十周くらいしないと。カンベル、追加で狩ってきて。


「はあー、まあ俺よりはお手柄だったんだろうが」


 結局ぶつくさ言いながらも狩りに行ってくれたお陰で宴は夜まで続いた。村人たちもお腹いっぱいに食べれたみたいでめでたしめでたし。

 あ、拠点で回収したものは村に返したよ。持ち主不明や、死亡で家族が受け取り拒否、盗賊の所持金は貰ったけどね。


「俺、あんま食ってねー! エー以上に働いたはずだろ」


 夜までに追加の狩りを数回行ったカンベルめま村に貢献できたみたいで良かったね。

 この鳥と野菜の串焼きをあげるよ。私、偉い!

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