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35.重要でないことばかりですけど何か?

お互い魔法を仕込み、放ち、銃の引き金を引く。実弾や魔法やレーザーが飛び交い、周囲はかなりめちゃくちゃな状況になっていた。

ティアも襲撃を受けるのは初めてではないのですぐに逃げたし、そこへの心配は必要ない。民間人もすでにほとんどいないからな。


まあ野次馬はいるし逆に増えてきているが、そこは守るべき市民としてカウントする必要なんてないから。邪魔だしどうぞ流れ弾で死んでくださいというところだ。

………あっ。もちろん俺は流れ弾を当てないように気をつけているぞ?さすがに正当防衛で反撃中とはいえ、関係ない野次馬に当てたら罪になる。


「お前は周囲の被害とか考えなくてすんでいいな!」


「………………」


俺の嫌味にも敵は大した反応を見せず、沈黙と魔法と銃弾が返ってくる。

もちろんすべて俺の風の防壁で防ぐが、はっきり言ってお互い決め手に欠けている状態だ。決め手というか、きっかけすらないからな。お互い攻撃は効かないし、とはいっても、相手に何かできるわけでもないし。

虫眼鏡で日光を集めるように、空気の密度やらを変化させて恒星の光をを集めたりはしている。が、もちろんこれも敵の闇だけで防がれているな。

俺が言えたことではないが、魔法使えるってずるいよな。


「気圧の変化もどうやってるのかは知らんないが耐えるし、空気がなくなっても10分以上耐えている……持久戦でも難しいものがあるな」


本当に手詰まりでやめにしたいところなのだが、敵は殺意バリバリなためそういうわけにもいかない。

もしかしたらもう少し待つと敵側に援軍が来るのかもしれないななんて考えていたのだが、そんなことを考え始めてから5分程度経過した。本当に何故敵がこれだけ粘るのかが謎だ。

このまま俺が棒立ちで直立していたって十数時間はどうしようもできないというのに。


「本当に困ったものだな」


俺はいらだつ気持ちを抑え込みつつ、レーザーガンをしまう。いくら光のレーザーガンが敵の闇の魔法と対極にあるものだからって、効果がないのではどうしようもない。

それよりも、


「少し趣向を変えてみたぞ」


もし敵が完璧に自分へ対応してきた場合にできることの1つ。

それは、自分の戦い方をガラッと変えてしまうことだ。例えば今回の場合はレーザーガンではなく手榴弾を投げ、


ドォォォォンッ!!!

「うぅん。良い爆発だ」


爆風やらなんやらで攻撃するという新しい方式に変えるわけだ。

叩き方を変えれば相手は当然警戒するため、様子をうかがってくる場合が多い。そういう時こそ隙ができるため攻め時なのだが、


「ちっ。こっちも効果なしかよ」


残念ながら隙ができても効果的な攻撃ができなければ意味がない。

手榴弾も効果は一切ないようだった。こういうことされると普段俺がどれだけ面倒くさいのかがはっきりと実感できるな。


「面倒なのにもほどがある、っと」


俺は足元の影から飛び出てきた闇の槍を回避し、お返しに敵へ空気の刃をお見舞いする。もちろんそれに効果はないのだが。

敵はさらに奥の手を切ってくるようで、全身に纏った闇を纏いそこからいくつもの虫の脚のようなものを出してくる。先端は非常に鋭利で、あれで突かれたものならひとたまりもないだろう。

まあもちろん俺の場合、話は別だが。


「1,2,3,4,っと。コンビネーションはたいしたことないな」


「………………」


迫りくる脚のようなものを避けつつ、俺は何となく考える。

敵が撤退しないのって、俺が無駄に避けてるからじゃね?と。


むろん無駄とはいっても回避したほうが魔法で防御するよりも魔力の消費量は小さかったりするのだが、そんなのほぼ誤差に近い。何十時間も戦い続けるつもりなのであればまた変わってくるのだが、そんなに時間をかけていたら軍なり敵なりが何かしら行動を起こすはずだ。

となると回避することは何の意味もない。体力の無駄と言えるかもしれない。


「体力は体力で有り余ってるから、どっちを確保しておくのかってのも重要ではないけどな」


重要でないことばかりだ。

せいぜい俺としては、良い回避の練習になる程度しか思うくらいだし。逆に敵にとっては、良い魔法を当てる練習程度かもしれない。

まあどちらにせよ、


「いい加減諦めたらどうだ?俺を殺すのは無理だとわかっただろ?」


「………………」


俺は接近し、手榴弾を周囲にばらまきながら尋ねる。

敵は相変わらず無言だが、接近してきた俺に攻撃のチャンスだと言わんばかりに脚を突き立てようとしてきた。相変わらず効果がないため手榴弾は無視だ。

無数の闇が俺へと迫り、


「……いやぁ~。お前が馬鹿で助かった」


「っ!?」


敵が息をのむのが分かる。だがもう遅かった。

俺たちの体が、光に包まれる。一瞬だが、俺たちの周囲から闇というものが消え去ったのだ。

こうなればもう、こいつの舞台ではなくなる。


「俺の勝ち、だな」

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