【書籍化記念番外編】プリムラの賭け
※時間軸:入学式の直後です。
入学式の帰り、馬車に乗り込んだジュリエッタを見送ってからカリーナはプリムラに話しかけた。
「プリムラはアマデウス様をどうお思い?」
「ジュリエッタ様の伴侶としてこれ以上ない方のように見えますわ」
「そうですわよね? 親切で態度も好意的ですし、ジュリエッタ様のお顔も平気ですし……」
「彼はジュリエッタ様から視線を逸らさず会話していました」
「……ん? それが何か?」
「こう言うと自慢に聞こえるかもしれませんが、わたくしが他の女子と一緒にいる時、大抵の男子はわたくしをじっと、もしくはチラチラと見てきます。そういう浮ついたところが無い。その一点だけでもわたくしにとって天を貫く高評価です」
「な、なるほど……!?」
「ジュリエッタ様の側近になりたいわたくしからしてみれば、軽率にわたくしに目移りするような男が彼女の夫になるのは困りますもの」
プリムラは光の加減で金色に見えなくもない髪を持っており、学院全体でも上位に食い込む美少女である。視線が吸い寄せられるのも無理もない。アマデウスの友人の貴公子達も視線を無駄に散らしたりはしなかったが、彼らはジュリエッタと心理的に距離があることがわかるので婿候補には数えられなかった。
カリーナはシレンツィオ家のお茶会の後、友人の中から学院で力になってくれそうな人を選抜してジュリエッタに紹介することにした。アマデウスを巡って争うことになってしまったら目も当てられないので、第一条件がアマデウスに男性としての魅力を感じていないこと、第二条件が成績優秀であること。その条件に合う人はほとんどいなかった。プリムラはその中の貴重な一人だ。
進路が婚約者に左右されることを嫌い、仕事を確保してから婚約者を決めたいと考えていたプリムラは女性の爵位継承者の側近になることを狙っていた。しかしジュリエッタに侍るというのは大きな賭けだった。まだ爵位を得られるか定かでなく、人が卒倒するほどの醜女と呼ばれる彼女に仕えたいと思っている者は少ない。ある意味狙い目でもあったが、不美人が美人を傍に置くことをよしとするかという懸念もあった。
「思慮深い方です、理不尽なことは強いないと思いますわ」というカリーナの言葉を信じ、プリムラはジュリエッタに侍ることを決心した。
実際に接してみてジュリエッタの聡明さと誠実な人柄をプリムラは好ましく思った。次期公爵の腹心になれるかもしれないというこの好機を逃す手はない。
アマデウスとジュリエッタの恋の行方には、プリムラの人生が懸かっている。
「……アマデウス様がプリムラや他の方に惹かれてしまったら、どうします?」
「その時は……栄達を断念するしかありませんかしらね。腹いせに彼を一発殴ってから……」
「ぼ、暴力はよくありませんわよ」
幸いその後アマデウスがプリムラに色目を使うことはなく、彼女から殴られることはなかった。
書く時間が取れなくてお茶を濁すターン、書籍の宣伝も兼ねて……
活動報告に書籍の特典についてなど書きましたので、よろしかったらご覧ください。
また発売日になったら何か番外編を上げてリマインドしたいです。よろしくお願いします!




