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【書籍発売中】美形インフレ世界で化物令嬢と恋がしたい!  作者: 菊月ランララン


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寵愛


【Side:コンスタンツェ】



「ーーー勿論、お顔が良いだけで好きになったという訳ではないですよ。そもそもこの世の全員顔は良く見えるし。…体を張って私を守ってくれた時の、心からの笑顔に…なんか…射貫かれてしまって… 努力家で、思いやりがあって、知れば知るほどジュリ様は素敵な人なので周囲の容姿の評価には甚だ遺憾なのですがその評価だったからこそ私の手に届くところにいたと考えると、複雑だけど私にとっては有り難かったのかなぁなんて思いますが…いや、全然納得はいかないけど…ジュリ様は可愛いんで…黒髪だって珍しいってことは希少価値が、」

「それはともかく」


アマデウス様が滔々とジュリエッタ様のことについて話し始めて暫し聞いていたが、これ止めないとなかなか止まらないやつか?と気付いたらしきネレウス様が雑に遮った。


続・ネレウス様が予知で見たことの説明。

彼ではない『アマデウス様』に振られたジュリエッタ様が、『アマデウス様』の恋人を暗殺し―――聖女の務めを拒否して自害したことを聞いた彼は案の定ショックを受けたようだった。

「…自殺………」

青ざめてるところ申し訳ないが、ネレウス様の話はガンガン続く。

「勿論、君がジュリエッタを振らない限りはそんなことは起きまい。だが、我々は今まで君が本心からジュリエッタを好いているとは知り得なかったからな。対策として―――…」


私がここにいる理由。第二聖女として進めている計画の説明に移った。

ネレウス様が私と初対面の時にした説明をほぼそのまま(男子たちそれぞれの性格は今とは多少異なるとは前置きして)。簡易似顔絵付きのあの紙はここにはなかったが、メモ紙を取り出してネレウス様が名前を書き出しながら話した。


「はぁ~~~~~~~~~…恋人と魔力を合わせて封印…それはまた難儀な使命を…乙女ゲーのヒロインか???乙女ゲーしたことないからイメージだけど… アルフレド様攻略難易度高そー…ハイライン様も攻略対象だったんだ…割とちょろいって言われててウケてしまう…まさかのジークも攻略キャラだった…え、ここ乙女ゲームの世界じゃないよな?まさかね…」

アマデウス様は紙を見ながら情報を整理してるのかぶつぶつと何か言っていた。よくわからない単語が混ざっている。異界の言葉かな。


「…私の魔力耐性についてネレウス殿下がご存知だったのは、なるほど、予知で…というか、私がジュリ様の素顔を見ても気分が悪くならないのはそのおかげ…そうなると本当に神の介入ってあるんだなぁ、なんて思っちゃいますね…」

「…神の介入?ですか?」

アマデウス様は、今は無き予知の世界、もう一人のアマデウス様に思いを馳せているような、遠い目をした。

「私は演奏の腕と前世の記憶で、音楽神の愛し子とか神童とか大袈裟な異名をつけてもらったりしてますが…きっと私じゃないんです。私じゃなくて、ジュリ様が神の愛し子で。ジュリ様を救う為に私が異世界から呼ばれたんじゃないか…って思ったんです。ジュリ様が恋をする、ジュリ様と恋が出来る、“アマデウス”の器に入れて。…そうやって神様が聖女であるジュリ様を、そして芋づる式にこの国の人間を救おうとしたのかなって…」


神の思惑というものは私たちには計り知れない。

でも、もしアマデウス様の言う通りだったとしたら…神様も私たち人間と同じように、なんやかんや策を弄して頑張っているのかもしれない、なんて、ちょっと愉快に感じた。



※※※



「…で。結局コンスタンツェ嬢はユリウス殿下と恋仲になったん…ですよね?」

「まぁ…でも、それなんですが。アマデウス様がジュリエッタ様と真実愛し合っていらっしゃるなら、私が聖女の務めを果たす必要はなくなりました、よね…?」


そもそもは背負う筈じゃなかった使命から解放されるなら…肩の荷が下りる気持ちだ。

頑張ってきたのに肩透かしだなと思う気持ちもあるが、失敗した時のことを考えるとやはり本物の聖女に封印をしてもらいたい。


「確かに、今のジュリ様は拒否しないと思いますが…でも、それだと王家には『ジュリ様が聖女である』と知られるんでしょう?」

「…そうだな。封印のことは記録に残す。黒い箱が現れる場所は規則性が無い為、再び我が国に現れないとは限らない。もしもの未来の為に極秘文書にしたためておく。我が国では神殿が管理している。神殿は王家よりも聖女に忠実だ。聖女が出た家はおのずと大きな影響力を手にする」

「聖女だと知られたらジュリ様を王家に嫁がせるように王命が出たりしませんか…?聖女が出ることによってシレンツィオ公爵家の力が大きくなりすぎるのを嫌う勢力もあるんでしょう?聖女を王家に取り込んでしまいたいから私との破談を何度も狙ってきたんでしょうし」

「うむ…面倒なことだが、その可能性は無いとは言えん。ジュリエッタが王家に入らなければ、王家や宰相はシレンツィオ公爵家を警戒して力を削ごうと画策するかもな」

「それも嫌なんですけど…」

ジュリエッタ様がユリウス殿下に嫁げば収まる話だが、もうそういう訳にはいかないしなぁ。

「それなら、やっぱりこのままコンスタンツェ嬢に頑張ってもらう方が私としては助かるんですが」

「えっ」

「それに、聖女として箔が付けば王妃になることは可能では?今のままでは身分的に側室ってお話でしたが」

「いや…聖女となったとしても王妃になるには政治的な面で足りない。上位貴族の承認が得られないだろう」

「まあ、私絶対王妃になりたい訳ではないですから。そりゃ、王妃になれたら…いいですけど」

ユリウス様の一番の妻になれたらそりゃ嬉しい。二番目でもいいなんて本音ではやっぱり思えない。一番に愛されていたとしても、格上の妻がいる状態が嬉しい訳がない。義務的な夫婦ならともかく、恋人だもの。

王妃なら命を狙われる頻度も減るだろうし…いや、減らないか?でも側室よりはしっかり守ってもらえそうだしマシだろう。多分。


なんでも彼のいた世界の母国では、貴族階級は廃止されて王家だけ存続しているらしい。世襲ではなく民が選んだ代表が領地を治めているとか。貧富の差や先祖の遺産がものをいうことはあれど、王家以外基本的には全員平民。そんな形で国が治まるものなのかと思ってしまうが、チキュウではその国家体制が主流になっているそうだ。

アマデウス様は容姿や身分など分け隔てなくやさしいという評判だったが、単純に最初は身分差というものが身に染みてなかっただけだと言う。容姿の美醜もわからなかっただけだし、幼い頃から人間が出来ていたという訳ではないです、と謙遜して苦笑していた。

将来の高い身分が約束された今でも誰にでもやさしいという評価は続いているのだから、そこは充分美点だと思うけども。



「……貴族って、平民を見下してはいますけど、平民の評判は気にしますよね」

何か考える素振りをしていたアマデウス様がぽつりと溢した。

「そう…ですね」

『土地を立派に治める領主(の血筋)』という矜持は貴族の支柱。

尊敬や信用は仕事に直結するし。それは平民も貴族も同じところ。平民の末端は取るに足りないと思ってそうだけど、富裕層や地元の名士なんかにはちゃんと気を遣うのよね。



「やってみないとわからないけど…何とかなるんじゃないか…?」


そう呟いたアマデウス様が、考えを話し始めた。

それは夢物語というか…机上の空論のような響きで私の耳に入ったけれど、ネレウス様はじっと耳を傾け考え込んでいた。

「……試してみる価値はある」

「ええっ…上手くいくと思うんですか?」

「全てが思い通りにはいかずとも、名を上げておくことは損にはなるまい。君にとっても有り難い話だ。シレンツィオ公爵家の後援が目に見えるようになる」

ネレウス様におかれましてはまた他人事だと思ってこの野郎~~~~…。

「それはそうかもしれないですけど…恥ずかしいというか…私にそんなこと出来るかしら…」

気が引けてるところに「ジュリ様とティーレ様と父上に相談してからにはなりますが…了承がもらえたら早速取りかからないと。大丈夫大丈夫、黒い箱の封印よりは気が楽でしょう?」とアマデウス様がそこはかとなくウキウキした様子で笑う。

それと比べたら確かにどんなことも大抵気が楽ではあるけども!?




――――――そんなこんなで、私は再び歌手になることが決まってしまったのである。



どうしてこうなった……… という気持ちが舞台に立つ私の胸からなくなることはついぞなかった。





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