領域内支配 7
俺達はスーパー入り口の黒い渦を眺めていた。
だが中の様子は見えず、確認するためにはこの渦の中に入るしか無いようだ。
「儂が先へ行こう」
そう言って爺さんが歩を進める。
「その方が良いか。俺もすぐに行くから後ろだけ気をつけてくれ」
爺さんは俺の言葉に頷くと、躊躇せずに渦の中へと入っていく。中に入った体は渦によってかき消され、そして何も見えなくなった。
「……俺も行くか」
未知の物に触れようとしているのに、爺さんの潔さには呆れてしまう。だが俺も尻込んでいる場合じゃない、俺もそれに倣うとしよう。
俺は意を決して、渦の中へと足を踏み入れていった。
——中に入ると、そこは赤と黒の空間だった。
作り自体はスーパーと同じだが、薄暗く明かりも赤い光のみで視界が良いとは言えない。
俺が来た時、爺さんは刀を構えて周囲を伺っていたが、そこに戦いの跡はなく入り口には敵は居なかったようだ。
「中の作りは前と同じだ。……だが、何か違和感が有るな」
「儂も肌がピリピリと痺れるのう……どうも危険な空気が漂っておる」
俺は入り口に有った商品棚にあるお菓子を掴もうとしてみる。だがお菓子を掴む事は出来ず、積まれた商品棚ごと一つの塊になり、コンクリートのように固まっているような状態だった。
「食糧も期待してたんだが……これは駄目そうだな」
まるでゲームの触れられないオブジェクトのようだ。だがそれらは荒らされた跡もなく、普段通りに営業しているままの形で残っていた。
「もしかしたら、ここを攻略したらダンジョン化する前の状況で戻るかもしれないな。そうなれば……肉や魚が食えるかもな」
ここ最近、缶詰やカップ麺、お菓子等しかまともに食べていない。そろそろちゃんとした料理が恋しくなってきた頃だった。
「ほっほ。なら、ここを攻略した時が楽しみだのう。灰間の小僧、儂は牛丼が食べたいぞ」
「俺は刺身とか寿司が食べたいな。……まあ、どうなるか分からないし、まずは攻略だな」
俺と爺さんは刀を構えながらスーパーを歩く。すると、遠目に青いゴブリンが歩いて来るのが見え、しかもそれは二匹一緒だった。
「小僧、一匹やれ」
「おう」
青いゴブリン達が俺達を見つけ、走って近づいて来る。その手には刃渡りの短いナイフを持っているのが分かる。
俺と爺さんは横に並び、それぞれ青いゴブリンを迎え討つ。爺さんは瞬く間に一刀両断し、俺は安全面を考えてナイフを受け流してから袈裟斬りにする。
二匹の青いゴブリンは倒れ、消失する。
だがそれに安堵している暇も無く、その物音を聞きつけたのか青いゴブリンの姿が見え始める。
「青いゴブリンがわらわらと出て来るのかよ……」
「こりゃ、油断してると危ないのう。小僧、死ぬなよ」
「……分かってるよ」
俺と爺さんはそう言って——次々と集まる青いゴブリン達へと立ち向かっていった。




