撮影
長いです。1話で文字数5700字を超えた暴挙をしました。
写真撮影当日、俺達はもう待ち合わせ場所に来ていた。
服装に関してはどちらでも構わないと言っていたのでいつも通りの格好をしている。というか朝起きたら鈴葉に問答無用で着替えさせられた。
胸元をリボンで結んでいる白シャツの袖は手首にいくほど広がり、裾はベージュのチェック模様のスカンツに入れられ、ウエストをブラウンの細身のベルトでスマートに見せている。髪は結うこともなく今日は下ろしている。...........そうだよ。いつも通りの格好だよ。まどかの服装じゃなくて、まーちゃんの服装だよ。
クラスメイトにこんな格好してるなんて知られるのは今更だからこんな格好になったんだろうな。
一方鈴葉も白シャツを着ているがこれは前と後ろの裾の長さが違っているもので、上から羽織っている黄色の薄手のコートから後ろの裾だけでている。下はデニムを履いておりシンプルだが可愛くまとまっていると思う。
さて待ち合わせの時間まではまだあるのだが今日は休日。駅前で待ち合わせているため人が多い。
この人の中で見つけられるのかさっぱりだな。
「まーちゃんちょっと緊張してる?私は緊張してるなぁ」
「私もだよ。こうやって写真撮られることなんてなかったからね。それに服装だってリンちゃんが用意してくれたけど、これほんとに似合ってる?それにね、さっきからビシビシ視線を感じるんだけどこれって私が変だから?」
「そんなことない!!まーちゃんの可愛いイメージそのまんまだよ!!それに!視線を感じるのはまーちゃんが可愛いからだよ!!そんなまーちゃん大好き!!!」
「わっ........!もうリンちゃんったら........。しょうがないな。私も大好きだよ」
いきなり抱き着いてきたリンちゃんを抱きしめ返す。
「おはようお2人さん!今日も朝からお熱いね~」
パシャリと音がしたから音がした方を見るとそこにカメラを首から下げた清水さんがいた。
「「おはようございます」」
「それじゃ今日1日よろしくお願いします。予定はこの前説明した通りなんだけどそれで大丈夫?」
「もちろんです」
「オッケー!じゃあそういうことで行きましょうか!.......そうそう今日は私はいないものとして扱ってね。2人の自然な姿を写真に収めたいから私に遠慮せず2人の世界に入って下さいな」
「........良いのですか?」
「そうじゃないと撮影の意味がないでしょ?何かあった時とか、目線が欲しかったり、場所移動したりする時は声かけるけど基本私無視でよろしく!」
「分かりました。........それじゃまーちゃん行こっか?」
「そうだね。行こっか」
―――――
『公園』
まだまだ暑さが残るけどそれでも夏本番と比べたらすごく涼しくなったわけで、こうして歩いていても汗をかかなくてすむのは嬉しい。
時折吹く風が私の降ろしている髪を揺らすけどそれも気持ちいいもので、リンちゃんも気持ちよさそうに目を細めている。
「気持ちいいねリンちゃん」
「そうだねまーちゃん。もう秋なんだって実感しちゃうね」
そうなんだよね。もう夏も終わって、夏休みも終わってるからね。
考えてみれば長いようで短い時間だったんだなって思う。リンちゃんと再会してからの時間はまだまだ短いけど、それでもすぐに忘れることができないくらい充実した日々で、とっても楽しかった。ううんとっても楽しい日々を過ごしてるよ。
「どうしたのまーちゃんそんな顔して?何かあったの?」
「ううんなんでもない。ただ平和だな。楽しいなって思っただけ」
「まーちゃんがそう思うなら私も楽しいよ!」
..........それでいいのかなって思っちゃったけど私がリンちゃんだったら同じこと言うと思うから、しょうがないか。これが私達なんだから。誰に何と言われようと私達は私達の道を行くんだから。
「それじゃもうそろそろ次の所に行こっか」
「そうだね。次は..........ゲームセンターだね。何するんだろう?私ゲームセンターって行ったことがないからよく分かんない」
「私もだよまーちゃん。でも行ってみたら分かるんじゃない?とりあえず行こうよ」
「うん」
いつも通り手をつないで歩きだす。
さっきから無視はしていたけど結構パシャリって音がしたりしていたからいっぱい撮られたっぽいね。
今だって後ろから撮られてるけど不思議と嫌悪感なんてない。なんでだろう?
――――――
『ゲームセンター』
なにあれ!?すっごい可愛い!!あのつぶらな瞳とか手触りがよさそうな外見に、それに抱きやすそうな大きさ!!もうあれは反則級だよね!?
「ねねリンちゃん!!見てあの子!あの子すっごい可愛い!!あの猫ちゃんほしい!!!どうやってとればいいの!?」
テンション爆上げになってるけど仕方ないよね!?あんな可愛いぬいぐるみ見たら欲しくなるよね!?
「んー、私も初めて来たからよく分かんないけどあのクレーン?で取ればいいんじゃない?」
「そうなのかな!?じゃあやってみるね!!」
100円を入れてちょうど猫ちゃんを掴めるように移動させて掴む。........え?なんで??ちゃんと掴んだのになんで離すの!?
むーー!もう1回!!さっきのは間違えだったかもだから今度こそは絶対取る!!!
......................なんで!?なんで取れないの!?これって私達に取らす気絶対ないよね!?
悔しい!!悔しいけど止めない。だって猫ちゃん欲しいもん!!
「ねねまーちゃん。ここはゲームセンターで遊んでそうな清水さんなら取ってくれるんじゃない?」
はっ!?そうだった!!ここには清水さんもいたんだ!だったら頼むしかないよね。
「清水さん!!あの猫ちゃん取れる!?お金なら出すから取ってくれない??」
「..............え?私?そりゃ何回かやったことはあるけど確実に取れるとは言えないよ?」
「それでも私よりかは取れるはずだからお願い!!」
「.........いいけど取れたらすぐ平塩さん撮る準備するけどいい?」
「もちろん!!猫ちゃん取ってくれるならいくらでも写真撮ってもいいよ!!」
そう言って私はさっそく100円を入れて隣でワクワクしながら待ってる!!
そしたら清水さんは猫ちゃんの真上にクレーンを持ってくるんじゃなくて少しだけずらしてる。そんなところ掴んでも取れないよ?
あれ?ちょっとずれた?それだけ??
「平塩さんごめん。まだかかるけどお金大丈夫?」
「大丈夫!でもそんなんで取れるの?」
「多分?私も上手くできるか不安だから次からは私もお金出すね」
そう言うとまた猫ちゃんをずらしていく清水さん。回数重ねていくごとに穴に近づいて行って、4回目には猫ちゃんが取れちゃった。
「やった!ありがとう清水さん!!大切にするね!!!」
「...................はっ!?その笑顔もらいます!!」
思わず清水さんの手を取っちゃったけど大丈夫かな?すごい勢いで振り払われて写真に収められたけどもしかして、私と触れ合いたくなかったのかな?
「えへへ、いい写真が撮れた..........あっ!平塩さん大丈夫?シャッターチャンスを逃したくなくて思いっきり手払っちゃったけど痛くなかった?」
「うん大丈夫だよ。痛くもないし」
「良かった~。じゃあ次はアレやってもらえないかな?」
それはピアノに似た大きなゲーム機だった。何するんだろう?
「まずはあそこの音ゲーして、その後プリ撮って、それからそれから.........」
あはは、なんか清水さんが暴走してる。
どうするリンちゃん?なんか大変そうなことになりそうだよ。
「それじゃゲームしに行きますよ!」
――――――
『ケーキバイキング』
ほわぁ............なんだろここ。天国かなのかな?こんなにおいしそうなケーキがたくさんあるなんて幸せだよ!!しかも全部一口で食べられるような小さなサイズだからいっぱいの種類のケーキが食べれるなんてもう幸せだよ!!
それに口直しなのかな?パスタとかスープとかコーヒーとかあるから多分私は限界まで食べられる気がする!さすがに甘いものだけをお腹いっぱい食べるのはきついからね。
「ねねリンちゃん!あそこにイチゴのタルトがあるよ!!あっちには抹茶のケーキも!!いっぱいありすぎてどれ食べるか迷っちゃうよね!?」
「そうだねまーちゃん。とりあえず食べられる分だけ取ってこよっか?」
「うん!!」
とりあえず定番のイチゴのショートケーキは絶対!チーズケーキにチョコケーキも!
あそこにあるのはプチシューなのかな?とりあえず取ってみよっと。
「わぁ......リンちゃんが取ってきたのもすっごい美味しそう!!後で取ってこよっと!」
リンちゃんのお皿を見ればケーキの隣にチョコがかかったバナナとイチゴとマシュマロがあった。
これってあれだよね。チョコフォンデュってやつだよね?美味しくないわけがないから絶対食べる!
「ふふふ、まーちゃんいっぱい食べて動けなくなっても知らないよ?」
意地悪そうに言うリンちゃん。
いいもん動けなくなっても幸せな気持ちになってるからいいもん。それにお腹いっぱいになってきたらリンちゃんと半分こずつにすればまだ食べれるでしょ?
「いいもん。いざとなったらリンちゃんと半分こずつにして食べるもん」
「あれー?私が食べないって言ったらどうするの?」
「そしたら清水さんと幸せを半分こにするだけだもん。リンちゃんに幸せのおすそ分けなんてしないもん」
「それはダメ!!まーちゃんは私のなの!!まーちゃんと幸せを共有するのは私だけなんだから!!」
憤慨したようにいうリンちゃん。リンちゃんが意地悪なこというからこうなるんだからね。
もう少しリンちゃんとお話していたいけど時間制限もあるし、食べたいものいっぱいだからもう食べ始めないと。
「んーーー!美味しい!!幸せってきっとこういうことを言うんだろうね!!!」
「そうだね!甘くて美味しいねまーちゃん!」
そう!!ちゃんと甘いんだけど全然しつこくなくて何個でも食べられちゃいそうなくらい食べやすいの!!
ヒョイヒョイっとケーキを口にいれて次のを取りに行く。今度はチョコフォンデュを中心にしようかな?それに合わせて桃のケーキも一緒に取って、モンブランも取って.........とりあえずこんな感じかな?
今日のケーキバイキングだけで一年分の幸せを堪能した気がする!!
............そういえば清水さんはって?清水さんはさっきから一心不乱に私とリンちゃんを撮ってるよ?主に私が多い気がするのは気のせいなのかな?
あと綺麗に盛り付けてケーキの写真を撮ってたりもしてたり、ケーキを食べたりしてるけど写真を撮る合間に食べてるって感じがする。
せっかくの天国なのに.........楽しまないと損だよ??
ということで!私はまたケーキを取りに行ってきます!!
――――――
『猫カフェ』
もふもふが..............もふもふがいっぱいだよぉ。
白も黒もグレーも三毛もそれ以外もたくさんの可愛いもふもふがいるよぉ。
すり寄ってきた黒のもふもふをなでる。グルグルと喉を鳴らして気持ちよさそうにしてる。私の方は柔らかくて肌触りが良い毛並みだからずっとなでていられる。
店員さんから聞いたオススメのおもちゃを持って黒のもふもふと遊ぶ。
右に左に上に下に素早く移動させると黒のもふもふの顔も一緒に動くから可愛い!ちょっと止めてあげるとそこに飛びついてくる姿も可愛い!!
「リンちゃんこの子可愛い!!」
「そうだねまーちゃん。猫と遊ぶ機会なんてなかったからね」
リンちゃんは茶色と白の2色の毛を持つもふもふと遊んでいた。
リンちゃんが猫と遊ぶ姿..........なんか尊い。可愛くて、綺麗で、美しくて、ずっと見ていたい。
そうやってリンちゃんともふもふを見てたらカプって指を優しく噛まれた。
何かなって思って見ると黒のもふもふがかまって欲しそうに私を見るんだから思いっきりかまいたおす!!
私が寝転べば鼻にすり寄ってきたり、胸に乗ってきたりする。おもちゃを持てば俊敏な動きでおもちゃを追っかける。私が座れば膝の上に乗ってきたり、遊んでとせがむように優しく噛まれたり、撫でてほしかったら手にすり寄ってくる。
そうやって私達は時間いっぱいまで遊びつくした。
「うぅぅぅ~」
「まーちゃんしょげないの。寂しいのは分かるけどもう帰らなきゃ」
私はまだ遊びたいもん。
「.....................。」
「もう........仕方ないな」
もふもふ達と離れるのが嫌でしょげてる私を正面からリンちゃんがのぞき込んでくる。
「帰るよまーちゃん」
「...........うん」
おでことおでことをくっつけて、私の目を間近でまっすぐ見て言ってくるから頷くしかないじゃない。
「..............バイバイ猫ちゃん達」
――――――
最初の待ち合わせ場所に帰ってきて今日はもうお開きだね。
初めての経験ばかりでテンション爆上げしちゃったけど仕方ないよね?猫ちゃんのぬいぐるみも、スイーツバイキングも猫カフェも楽しかったんだから!!
「お疲れ様、今日1日ありがとね。おかげで良い写真ばっかり撮れて正直どれを応募しようか迷っちゃうくらいだよ」
「こちらこそです。それで今日撮った写真については..........」
「もちろん後日写真はプリントして渡すよ。データは.........そうだね4日後で良い?」
「ええ」
「じゃあ応募する写真が決まったらまた聞くからよろしくね」
「分かりました」
「清水さん今日はありがとう」
「平塩さん私も楽しかったから全然良いよ!それじゃまた学校でね!!」
そう言って手を振りながら走り去っていく清水さん。
でも本当に楽しかったのかな?全然影がなかった気がするけど............。
「それじゃ私達も帰ろうか?」
「そうだねリンちゃん。今日のご飯何がいいかある?」
「んーー、ちょっとしょっぱいのが良いかな?甘いものたくさん食べたからね」
たしかにお昼にいっぱい食べたもんね。
しょっぱいものかぁ..............和風パスタにしようかな??
それにしても今日は本当に楽しかった!!今度はリンちゃんと2人でゆっくり行きたいな。
それで朝から夜までずーーっと遊んでいたいな。




