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終幕

 番外編スタートです。これは私がこのお話を書く際に一番最初に考えてた終わり方です。ただ書いていくにつれてまどかと鈴葉には生きて幸せになってほしいと思ったので没となりました。しかしもったいないので番外編としてあげます。

 次のはまだ書いていないので更新は未定です。

 鈴葉の手を引いて森を駆ける。たしかこの先ににあるはずだ。


 むき出しとなっている木の根に引っかかってこけないように注意しながら走る。後ろを振り返ればアイツがいる。


 俺たちをこんなにした張本人がすぐ後ろで俺たちを追いかけている。


 いや、追いかけさせているって言った方がいいよな。わざと俺達を追わせている。そのために痕跡とかも残してきた。


 ここ最近の俺達の周りでは変なことが起きている。


 ポストにはあの頃の写真が入れられ、外に出ればわざと俺達に姿を見せるように後をつける。クラスメイトには俺達の秘密であるあの時の数々をバラされた。そのせいで俺と鈴葉はクラスメイトからもイジメの対象として狙われている。


 そして昨日俺達はアイツに殺されかけた。


 アイツの願い。それは俺を自分の手で殺すことらしい。心臓が止まる瞬間まで自分の腕の中に俺をおさめ、ゆっくり死ぬ姿が見たいらしい。少しずつ下がっていく体温を感じたいらしい。


 正直どうかしてるし純粋に気持ち悪い。


 それにこれは俺だけではなく鈴葉も同じようにしたいらしい。


 自分で作った作品を永遠に自分だけのものにするのがアイツの理想らしい。だから俺達は狙われている。


 どれだけ逃げてもアイツは俺達を追ってくる。たとえ県外でも国外でも同じでアイツは絶対追いかけてくる。


 だから俺はいっそのこと自殺してやろうと思った。それもアイツの目の前で。


 別に生きることに執着はない。むしろ生きていても何をすればいいか分からない。何ができるのか分からない。こんな人間として終わっている俺にできることなんてあるのか?


 そう思ったからこそおれは自殺を決意した。それもアイツの目の前でするっていう最上級の嫌がらせをな。


 だから俺はこのことを鈴葉に伝えると鈴葉は笑顔で頷いて「まーちゃんを独りで死なせるわけにはいかないよ。私も一緒に逝くから」と言った。


 そして今日それを実行するために崖に向かっている。


 電車とバス、そして徒歩とダッシュで向かった。


 向かう最中に鈴葉の顔を見ればそこには不安そうな顔はしていなくむしろ嬉しそうにも見える。だってこの状況でも笑顔でいるからな。


 ついに目的地に着いた。ここから身を投げれば確実に死ねる。


 乱れた息を整える。


 つないでいた手をキュッと強く握る。すると同じくらいの力で握り返してくれて安心できる。


「もう追いかけっこは終わり?」


 森から出てきたのは年齢を感じさせない、あの時と全く変わっていない若そうな美女が話しかけてきた。見た目だけはいいのだが人間としてコイツは歪んでいる。だって俺達を壊したのはコイツなんだから。


 だから俺は復讐してやる。俺達の人生を狂わせたコイツに復讐する。


「ああ、ここで終わりだ」


「もう、そんな汚い言葉使っちゃダメでしょ?またお仕置きしないとね」


 条件反射で身体がガタガタ震えてしまう。心の底から俺はコイツに恐怖している。だが隣にいる鈴葉が俺の前に出て抱きしめてくれた。ガタガタ震える俺の身体を抑えるように強く抱きしめてくれた。


「あれ?いつも守られてばかりだった鈴葉ちゃんが何かしてるわね。私嬉しいわ!鈴葉ちゃんがそんなに成長してくれてるなんて!!これはご褒美をあげないといけないわね!お薬でも初体験でもなんでもいいのよ!!」


「.................私はもう弱くはありません。今度こそは私がまどかさんを守ってみせます」


「ふぅん、どうやって守るの?鈴葉ちゃんならまどかちゃんを守れるっていうの?クラスのイジメからも守れない鈴葉ちゃんなのに??」


「それは.......!」


「まぁどうでもいいわよ。ほら?こっちに来なさい?めいいっぱい愛してあげるから。誰にも負けない愛をあなた達2人にあげるわ」


 両手を広げて言ってくるがそんなの関係ない。もう俺達の意志は決まっている。


「..........それだけはごめんだ。そういえばお前は俺達を愛したいんだったよな?」


「そうよ。私はあなた達を愛したいの。切って刻んで抉って潰して焼いて、薬漬けにして私に依存させて私なしでは生きていけないように愛してあげる。もちろんあなた達2人で愛し合ってもらってもいいのよ?あなた達の子どもなら私が愛するにあたう存在になるからね。赤ん坊のころから愛してもらえるなんて、なんて幸運な子どもなのかしら!!」


「そうか.........だがその妄想は叶わない。お前の願いも叶わない!」


「それはどういうことかしら?」


「なぜなら...........」


 おれは鈴葉に抱きしめらたままキスをする。


 唇を合わせ、舌を絡める。俺は鈴葉の頭を両手で支えるようにして、鈴葉の両手は俺の頭の後ろで組まれている。


 時間にしては短かったが、体感ではそれはずっと長く感じた。永遠とも思えるような時間だった。


 唇を離して笑顔で見つめあってまた続ける。これが最後になるからな。


 いい加減にしないとアイツが乱入してくるから程々にしておく。..............名残おしいがそれはこんな状況だからこそだろう。いつもの生活でキスをしても今のような気持ちを抱かないだろう。最後だと分かっているからこそまだしたい。だがこれから俺達が生きていくことを選択すればそれはもう俺達は人間でなくなる。アイツの好きにできる玩具となってしまうのが分かっているからこそ俺達は死を選んだんだ。


 唇をはなすと息が上がり、赤く上気した頬した鈴葉の目を見ながらキュッと手をつなぐ。


 俺の隣に来るように鈴葉来てくれて寄り添ってくれる。


 やり残したこともない。アイツの目の前で見せつけるようにキスをしたのは油断を誘うためだ........俺がキスをしたかったってのもあるにはあるがもういいだろう。


 だってもう死ぬんだから。それに鈴葉と一緒に死ねるから文句なんてものはない。むしろ嬉しいとさえ思う。やっぱり俺達は生きるも死ぬも2人一緒じゃないとな。


「なぜならここでお別れだからだ!!」


 握った鈴葉の手を引いて走り出す。お互いの顔を見ながら走る。


 自然と笑顔がこぼれる。それは鈴葉も同じで2人一緒に死ぬというのに笑顔でいる。やっぱり俺達は似た者どうしで、どうしようもない人間らしい。


 飛び降りるまでの少しの距離を笑顔で見つめあいながら走る。


「リンちゃん大好きだよ!。愛してる!!」


「私も!まーちゃんのことが大好き!!愛してる!!!」


 そして2人一緒に最後の陸地を思いっきり踏み切る。


 浮遊感を感じながら俺は鈴葉を抱きしめる。どこにもいかないよう、いかせないように強く抱きしめる。


 この短い人生良いことがあまりにも少なかったがあの日鈴葉と会えたこと、そして高校生最初の日に鈴葉と再会できて、それから一緒に過ごせたことは嬉しかった。


 再会したあの日から今日まではたしかに幸せな日々だったよ。


 ありがとう鈴葉。お前がいてくれたからこそこんなに充実した日々を送れたんだ。


 全く信じていないが、もし生まれ変わりがあるとするなら今度もまた一緒に生きような。


 それも誰にも邪魔されずにずっと2人でな。


 最後の瞬間まで鈴葉を見ていたいから目を開けると同じ事を考えていたのか鈴葉と目が合う。


 俺の大切で、大好きで、この世でたった一人愛している人を見ながら死ねるなんて幸運にもほどがあるだろう。


 じゃあまたな鈴葉。またいつか会おう。


 その時は泣いて喜んでやるから。






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