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「リンちゃん、もうそろそろしたらリンちゃんの実家に顔を出しに行こうかなって思ってるんだけど連絡お願いしてもいい?」


「え?いいけど、別に行かなくてもいいんだよ?」


「でも私のお姉ちゃんに会ったでしょ?だから私も会わないとなって思ったの」


「そう.............分かった」


 少し不機嫌になってしまった。なぜだ?一応一般常識と呼ばれるものに照らし合わせると子供をを、しかも年頃の娘を預かってるんだから挨拶くらいはしないとな。


「リンちゃんって1人っこだっけ?」


「ううん妹が1人いるよ」


「そっか。どんな妹?」


「人の痛みが分かる妹、かな。こんな私にも積極的に話しかけてくれたよ。ただ私みたいなのと関わって、普通な妹が普通じゃなくなるのが嫌だったから相手にしなかったけどね。でも多分普通にいい妹だよ。お義姉ちゃんみたいにね」


「そうなんだ」


 多分優しい子なんだろうな。鈴葉もあのことがなければ仲の良い姉妹として過ごせたんだろうな。


 鈴葉はもともとは世話焼きで面倒見がよくて、優しい性格をしていた。


 でもあの監禁生活をしていくうちに性格が歪み今のようになってしまった。


 そして鈴葉は俺以外の人を信用しなくなった。口ではあんな風に言ってるけど、実際は姉さんのことそんなに信用していないと思う。


 俺の家族は俺を受け入れてくれようとした。大きな愛を持って包み込んでくれようとした。


 でも俺はそれを拒んだ。なぜなら俺はあの人達が育てた息子ではないから。あの日両親が育てた「俺」は死に、代わりに「まどか」が生まれた。だから俺は「まどか」という異分子をあの家族の中に入れたくなかった。家族は家族であるべき。違うものになった俺はあそこにいても良い存在ではない。だから俺は家族から離れた。


 でも鈴葉は違う。鈴葉も自分から離れていったのは俺と一緒だが理由が違う。


 鈴葉は両親のことが嫌いになった。理由は助けに来てくれなかった、という理由だけど違う理由もあると思う。


 それは人を信用できなくなったから嫌いになったんだと思う。鈴葉の判断基準は俺。もちろん俺の判断基準も鈴葉。まぁそんなことは置いといて、鈴葉は俺以外を敵と判断することが多い。俺が信頼している人に対しては警戒する、というか反応をしている。この反応は両親に対するものと同じ。俺は鈴葉の両親には会ったことがないから、鈴葉の話を聞いてそう思っただけだけどな。それを踏まえて見ると、鈴葉は両親を敵と判断している。その上で自分は捨てられたと思っているから嫌いになったんだと思う。


 でもあれを嫌い、という言葉で済ませていいのか?どちらかといえば「嫌い」ではなく「嫌いだし軽蔑している」といったほうが合っている気がする。


 そう思うからこそ鈴葉の両親に会いたい。どうにかして鈴葉のあの感情をなくすはできないと思うが、軽減させたいと思っている。


 だって家族なんだから。俺も鈴葉もたしかに変わった。でも鈴葉は俺みたいに根本的には変わっていない。あいつはあいつのままでいる。


 あっちが歩み寄ってくれるなら、こっちは心を開けば良い。それがなくても妹さんだけでも鈴葉と良い関係を結んでほしい。


 なぜかって?それは俺が姉さんに救われたから。俺を救ってくれた姉さんに似ている妹さんならきっと、鈴葉を救ってくれるから。

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