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寄贈

「まどかさんこれどうぞ」


 学校で見せびらかすように渡してきたのは綺麗にラッピングされた袋だった。


 そういえば昨日珍しく実家に帰ったと思ったらこれを作ってたのかよ。


「ありがとう。でもなんだこれ?」


「今日はバレンタインですよ。女の子が好きな人やお世話になってる人にチョコをあげる日ですよ。もちろんこれは本命であり、私はまどかさん以外には渡しません」


「そっか..........ありがとうな」


「いえいえ、これからも私の隣にいてくださいね?」


 ハァ、思いっきり俺は鈴葉のもの。鈴葉は俺のものって言ってきたな。


 別に俺の所有権を主張しなくても..........。俺はお前以外の人は興味がない。それどころかお前しか俺は選ばない。


 お前を選ばない時はお前が俺を残して死んでいくときか、お前が誰かの人質になったときくらいだろう。


 もちろん真っ先に俺は自分を切り捨てる。俺が死んで鈴葉が生きるならそれでいい。どうせ鈴葉は後を追ってくるからな。


「じゃあほい鈴葉。ハッピーバレンタイン」


「え?........だって今まどかさんバレンタインって何?って聞いてきましたよね?」


「おう、たしかに聞いた。だかそれはそれ。これはこれだ」


「え?よく意味が分からないんですが...........」


「ようは「まどか」としては知らない。だが「まーちゃん」としてなら知ってる。だから俺は知っていて知らない」


「なるほど..........」


「別にいらないならそれでいいんだぞ?俺が後で食うしな」


「いえ!そんなことありません!!ちゃんといただきます!!」


「おう」


 身長はあまり変わらないが優しく鈴葉の頭を撫でる。鈴葉は俺を抱きしめる。ここが教室にも関わらず俺達はそうしている。


 教室内からは男子からはもはや嫌悪よりも羨望の視線がやってくる。女子からも羨望の視線と黄色い声がやってくる。


 もう慣れたがな。事あるごとに鈴葉は俺を抱きしめたり、腕を組んだり、手を繋いだりする。


 その度にこれだったからもうクラスの連中も少しは慣れてきたんだろう。


 まぁ関係ないがな。俺と鈴葉に害を与えなければそれでいい。


「まどかさん可愛い彼女からにチョコをもらって嬉しいですか?」


「当たり前だろ。鈴葉が作ってくれたなら味なんて関係ない。もらえただけ嬉しいんだから」


「やった♪」


 今日も俺は嘘をつく。別にチョコをもらったところで、あげたところで俺に「嬉しい」という感情は生まれない。


 ただした、された程度にしか思っていない。


 でもこうやって周りを言葉で納得させないといけない。


 だからバレンタインである今日も俺は嘘をつく。



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