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魔王に転生したけど人間に嫌われ過ぎて辛い  作者: へたまろ
第二章:中央世界編

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突然ですが…閑話です(○○ビル、本社会議前編)

…すいません、ノープランで走り出した閑話です。


「そうか…田中さんが…」

「ええ、これで中野を押さえられる存在が居なくなりましたね」


中央世界の中央大陸と東の大陸の間に浮かぶ孤島。

この島の中心に、認識阻害が施された結界を張った8階立ての大きなビルがある。

そして、そのビルの6階にある大会議室で6人の人物が集まっている。

その中には、田中も見知った顔がある。


東野十五ひがしのとうご、東の世界の魔王となった男だ。

そして、その横に座るのはケビン…さっきまで弁慶としてヨシツネの部下のふりをしてスパイ活動を行っていた男だ。


「うん、タナカと別れた後に、中野が来て連れてっちゃっタヨ!ケビンの【GPS】でも、見つからナイヨ」


ケビンが困ったように漏らす。

田中が料理をするたびに現れ、中央世界まで追ってきたのはこのスキルのお陰だ。

ケビンが魔人化した時に覚えた魔法だ。

対象に寄生し、対象の持つ魔力を真似た微弱な信号を送りだすマーカーを、この世界の宇宙と呼べる場所に作り出した【衛星】が常に追い続けるといった魔法だ。

マーカーは質量を持たない薄く小さな円形の膜になっており、また対象と同様の魔力を纏って居るためほぼ気付く事は不可能というチート級の追跡魔法である。

使い道は、ストーカー以外には無い。

また、映像を送る事は出来ない為、単純に位置を把握できるといった意味があるのやら、無いのやらよく分からない魔法だ。

本人は気に入っている様子だが。


「はあ…折角田中さんがこの世界に来てくれたのに…噂に聞く【三分調理(キューピー)】で色々な調味料を作ってもらう事が出来たら、もっと事業の拡大につなげることが出来たのですけどね」


ケビンとトウゴの正面に座るオールバックの男が大きく溜息を吐く。


「自分としても、まさかこんなにあっさりと田中さんが中野の手に落ちるなんて思っていませんでしたし」


トウゴ自身、田中であれば中野を一方的に追い詰めて、倒す事など問題無いと思っていた。

いや、確信に近いものがあっただけに、この想定外の事態に慌てざるをえない。

結果としての緊急集会である。


「まあまあ、私も田中さんに会えるのを楽しみにはしてましたが、現状で中野はもう最終調整に入ってましたからね。創造主が彼の手に落ちた事で大幅な戦力の補強も行った事でしょうし、ちょっと私達の想定の上を行っただけです」

「そうだね!ヨシリンの言う通りだよ。もうちょっとで、中野を追い詰められる予定だっただけに残念だけどね」


その横に座る、ヨシリンと呼ばれたスーツ姿の女性が少しがっかりしつつも漏らした言葉を、高校生ぐらいの女の子が肯定する。

20歳半ばだろうか、髪を後ろで一本にくくり、ちょっとキツそうな印象を与える眼鏡をしている。

肌は白く透き通っているが、キリッとした目つきが近寄り難い雰囲気を醸し出している。

逆に、隣の高校生くらいの女の子は、健康的な肌色と、真っ赤なほっぺが印象的だ。

ツインテを指でくるくると弄りながら、何が面白いのか人懐っこい笑みを浮かべている。


「渡野さんは、現状で田中さんの救出は可能だと思いますか?」


さらに残されたもう一人の男、がっしりとした体形をしており、日に焼けた肌と短く切りそろえられた髪の毛が特徴的な、唯一武装した男性が中心に座るオールバックの男に質問を投げかける。

騎士系なのだろうか、首から下をフルプレートの鎧で包みこんでいる。

ただ、持っている武器は騎士には似合わず左の腰には長剣、右の腰にショートソード、そして背中にはツヴァイハンダーと呼ばれる大剣を背負っている。

二刀流という訳でも、ましてやどこかの海賊の一味にいる三刀流とかというわけではなさそうだ。

状況によって、使い分けるのだろう。


男性用のスーツを着たオールバックの渡野、女性用スーツに身を包んだヨシリン、学校の制服っぽいものを来た女の子、シックで落ち着いた執事のような服を着たトウゴ、そしてTシャツジーパンのケビンというメンバーの中にあっては異質だが、この世界ではごく普通の恰好だ。


「折角、思い描いていた日本料理のお店が開けると思ったのですがね」


渡野が両手を組んで額を乗せると、大きく溜息を吐く。

ここに居るメンバーは、ケビンを除いた全員が黒い髪と、黒い瞳をしておりそれなり以上の魔力を有している。

だが、そのうちの3人は目立って表舞台に出る事は無い。

このビルで、約100人の現地の人間を雇い、世界にワタシノチェーンを展開しているのだ。

主に現地での調整や、フランチャイズの勧誘、説明は現地人を使っており、ここのトップである渡野大地、ヨシリンこと吉田晧子、そして女子高生風の浅田梅子の3人の姿を見た事がある人間は殆ど居ない。

3人とも転生者であり、人ならざる能力を有して居るが、渡野大地は地属性魔法に特化した才能を秘めており、自我に目覚めてすぐに魔族や魔物から身を隠してこの島に結界を施した自宅を作り出した。

吉田と渡野の出会いは単純だ。

食料の買い付けに、東の大陸に行ったときに、たまたま街を歩く黒髪の女性を見掛けたので声を掛けた。

そこからお互いに、異世界である日本の産まれであること、そして転生者だということを知り、行動を共にするようになった。

元々料理が得意だった渡野と、大学で経営学を専門に学び、MBAを取る為に自身が卒業した大学のMBA取得セミナーに通っていた吉田はお互いに協力し合い、ワタシノグループを立ち上げたのだ。

ちなみに梅子は、ワタシノグループが経営するお店のアルバイトだった。

ミステリーショッパーとして渡野が、梅子の働くワタシノ麺屋に行ったのは、彼女が働き出して二年が過ぎた頃だった。

すぐに、本社への採用を決め保護したのだ。

梅子は植物操作系の魔法に長けており、主に食材となる野菜の管理を行っている。

こうしてそれぞれが得意な事を活かし、会社を育てていったのだ。

まあ、このビルは渡野が文字通り、魔力を注ぎ住んでいた家を成長させ育てていったのだが…

利益による改築ではなく、魔力による増築だ。

一年魔力を注いだ結果、平屋が4階建てに成長し、そこから二年で現在の8階建てのビルになったのだ。



年末進行であまり時間が取れないのでメインのストーリーはジックリ考えながら、ちょっとずつ書いてます。

その間に、ちょっと書きたかったワタシノグループ編を書こうかと。

このままワタシノグループに触れずに物語が終わりそうだったので。

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(仮)邪神の左手 善神の右手
宜しくお願いしますm(__)m
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