⑨4.どうしてこうなった!?(SIDE:アインズ) ※ 1度目の害虫貴族駆除回(その2)
逆に聞きたい。どうしてそうなったw
「き、貴様……王国民のくせに国賊の肩を持つ気か!!」
無碍な扱いに激怒したツヴァインは担当した神官に感情のまま胸倉を掴みかかろうとするも、寸前でバチッと電流が走った事ではじかれた。
「お忘れでしょうが、今一度説明します。我々教会はこの戦争の調停者として、審判を司る神の代理人として来ています。神の名の元に片方の肩を持つことなく公平性を保つ事が義務づけられています。仮に我々が片方へ肩持ちしようものなら、即座に神罰がくだされるでしょう」
「だ、だが……奴等は卑怯にも」
「戦場の監視統括からの報告によりますと、ゼーゼマン公爵軍がルール違反を犯した場面はありません。むしろ、ルール違反なのは兵士300人の上限で3000人も連れてきたあなた方ですよ。あれは先方からハンデに丁度良いっと認めたから特例で容認したものですからね」
「ぐぅぅ……ならば金を払おう!!払うから奴等をルール違反として」
「……お前は何を言っているんだ?そんなあからさまな賄賂は受け取れません。ですが、寄付金であるなら受け取れます。寄付金は戦争前に両陣営からいただいておりますからね。
もっとも、ゼーゼマン公爵家の寄付金は王家の10倍。心情的にみれば公爵家に肩を持ちたい気分ですよ。あくまで思うだけで調停そのものは公平にこなしますけど」
「ぐぬぬ……」
教会への直談はまさに暖簾に腕押しであった。
公爵軍の穴を探るも、全てルール内に収まる戦術ばかり。
多少グレーの部分はあっても、王国軍には人数制限オーバーというあからさまな黒があるせいで相殺的にセーフ扱いとされてしまうあり様だ。
「ええーい!!我々は王国軍!!!いわば王家の代理だ!!!貴様等王家に逆らうというのか!!」
もう埒が明かないとばかりに、ツヴァインは伝家の宝刀ともいうべき王家の威光を振りかざした。
さすがの教会も王家から睨まれるような真似はしない。
即座にひれ伏し、敵側を糾弾する流れとなる……っと思いきや
「我々教会はどの国にも属さない中立組織。ましてや今の我々の立場は審判を司る神の代理人。勝敗が付くまでは例え王が土下座しようとも、厳正な審判を下させてもらいます」
担当者は平然と突っぱねた。
その返答にツヴァインは切れた。腰に差していた剣を抜き放つ。
「きっさまぁぁぁぁぁぁ!!!王国への謀反人として今すぐs」
ズガァァァァァァァァァァァン!!!!!
激しい閃光と轟音。
ツヴァインの頭上高く振り上げた剣めがけて落ちてきた雷は、ツヴァインの身体を焼き尽くし……
からーん……
剣が乾いた音を立てながら地面へと落ちた。
ツヴァインの身体はわずかな灰となって風に吹かれて消えてゆき、その場には剣と衣服だけが残された。
親友であり、戦友でもあったツヴァインの死……
あまりにも突然の死にアインズの心に動揺が走る。
これはどう判断すべきかっと悩むうちに担当者から声をかけられた。
「まだ何かお話があるなら聞きましょう」
まるで養豚場の豚をみるかのような……
神の代理人たる我々に仇名すなら人を屠畜のごとく、感情を一切動かす事なく排除してしまうその佇まいに気圧されたアインズは何も言う事ができず……
従者共々無言で引き下がるしかなかった。
こうして、アインズ達が王国陣営へと戻った時にはすでに日が暮れ始めていた。
暗闇の中では満足に戦えないからと攻めていた王国軍が全員本陣まで帰還するも、その数は驚くほどに少ない。
確認を取らせれば、帰還できた兵は30人程度。30人居た指揮官に至ってはたったの2名しか帰還できなかった。つまり、王国軍は開戦からわずか半日で開戦前の⑨⑨%の戦力を失ってしまった計算となる。
逆に公爵軍はどう多く見繕っても1割程度の被害しか出していない。
要塞も未だに攻略できておらず、もはやどうあがいても敗退確定としか謂わんばかりの戦況だ。
その様はまさしく
「どうしてこうなった!?」
この一言に尽きるであろう。
指揮官の死因の⑨割が味方からグサーッ!!されるような内情なんだから当然ともいえる……
といっても、これは神(読者)視点だからこそ言える事であって当事者じゃまずわからんな( ・ω・)マッタクヤレヤレダゼ




