⑨3.ここで我々が貴族たる姿を魅せつけてやろうではないか(SIDE:アイン父ことアインズ) ※ 1度目の害虫貴族駆除回(その1)
アインの父だからアインズです。
どこぞの異形の魔導王ではないので安心してください。
っつーか、あのお方が出てきたら一方的に蹂躙される未来しかみえねーよwwwww
戦いは数である。
ある著名な戦術家が説いた戦術通りに王国軍は兵を3000人も集めた。
ルールでは300人までと定められてるが、知った事か……だ。
律儀にルールを守る必要などない。
敵は300人なのだから、10倍の3000人で一気呵成に攻め込めば簡単に勝てる……
そうもくろんで王国軍は開戦と同時に全部隊、100人で構成させた30部隊を攻め込ませるも……
ある隊は逃げる敵を追いかけてたら横の茂みから飛び出して来た伏兵にやられた。
ある隊は草の輪や落とし穴で足止めされた所に次々と石を投げつけられた。
ある隊は敵がまいた毒か何かでくしゃみや鼻水が止まらなくなったところを突撃された。
ある隊は味方を敵と誤認して同志討ちを行った。
ある隊は何か壺のような物が飛来して着弾と同時に文字通り吹っ飛んだ。
ある隊は巨大な肉団子としか言いようのないナニカが転がってきてそのまま押しつぶされた。
ある隊は大将たるハイド本人が一人で突っ込んできて、蹂躙された。
先ほどから各隊の敗戦報告が次々と舞い込んできていた。
しかも、ご丁寧に指揮官を任せていた者は全員討ち死にだ。
子息を指揮官にしていた者も居たようで、討ち死にの報告を聞いて泣き崩れる貴族もいる。
激怒して護衛を呼ぶも、彼等は本陣に帰って来ていない。
「殺せ!!息子を守れぬ護衛なぞ拷問の末に極刑だ!!なんとしてでも連れてこい!!!」
「は、はい!!」
戦争中に態々味方を極刑にする命令を出すなど、馬鹿としか言いようがない。
「まだ戦争は続いているというのに、愚かだな……」
そんな貴族をクズ王太子の取り巻きであるアインの父……アインズはゴミのようにみていた。
だが、隣にいたツヴァイの父。ツヴァインは心配そうに問いかける。
「しかしアインズ。敵は武器に毒を塗るという人道にも劣るような手段を躊躇なく使うせいで想定外の被害を出しているが、大丈夫なのか?」
「ツヴァインよ、問題ない。この戦争は大将を打ち取るか捕縛すれば勝ちだ。3000人をたったの300人で止めれるわけがない。例え半分に減らされようとも1500人の兵が敵本陣に襲い掛かるのだ。落ちるのは必然であろう。
卑怯な手段も勝った後に糾弾する材料となるのだからむしろ都合がいい。なら、我らがやる事は一つ。動ぜず勝利報告が来るのを待つだけだ」
「そうであったな。気弱になってすまない」
「別に構わんさ。俺とお前の仲だろ。今後もいろいろと頼りにさせてもらうさ」
「ははは。そういってもらえるなら、ここは奮発して良い酒を奢らねばならんな。勝利の前祝いとして祝杯しようではない」
「それでは遠慮なくご馳走になろうではないか」
「で、伝令……第8隊が敵本陣にたどり着きました!!そして……」
「ほぅ、第8隊が一番乗りか。これは褒美を取らせるべきだな」
ツヴァインの従者から注がれたワインを飲む直前に伝令が来たため、従者がむっとするもアインズとツヴァインは慌てず逆に従者をなだめた。
貴族たるもの、多少の無礼も寛大な心で許してこそと思ってそのまま吉報を聞くも……
「……全滅しました。後続として続いた第3、5、9、13、18、26、30と共に全滅です」
「「はぁ?」」
吉報ではなく凶報に耳を疑った。
「どういうことだ!!」
「そ、それが……敵本陣に要塞が築かれておりまして、近づけばその瞬間に城壁から矢や石が雨あられ。決死の覚悟で城門へとたどり着いても固く閉ざされた門を破ることができず……」
ガシャーン!!!
「御託は言い!!要塞がなんだ!!!門が破れないなら破るまで戦え!!!そう伝えろ!!!!」
「わ、わかりました」
怒りのあまり投げつけたワイングラスで負傷したのか。伝令は額から血を流しながら走り去る。
「くそっ、本陣に要塞を築くとは……奴は戦争をなんだと思ってる!!」
思ってるも何も、ハイドは『戦争だからこそだ!!』としか返さないだろう。
さらにいえば、ルール違反は犯してないのだから責められる謂われもない。
だが、そんなことに気付かないアインズは憤る。
「抗議だ……こんなものルール違反だ!!抗議にいくぞ!!」
完全ブーメランとなってる事にすら気付かないアインズはツヴァインと共に戦争の調停役を務める教会本部へ足を運ぶも……
「ルール違反ではありませんね」
無碍に扱われるだけであった。
前書きでは不吉な事言っちゃったけど、現実は御覧のあり様。
今後も王国軍が一方的に蹂躙される予定調和な未来をお楽しみくださいませwwww




