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⑨0.デルフリよ……なぜだ……(SIDE:トビアス)

なんでだろぉ~♪((乂(^^*)三(*^^)乂))なんでだろぉ~♪

 デルフリは改めて語る必要がないほど愚かだった。


 その原因はたぶんおそらく、両親の短所。

 ハイジの考え知らずな直情とトビアスの諦め癖といった短所を濃厚に受け継いでしまったのだろう。

 その逆でクラーラはハイジの前向きさとトビアスの慎重さという長所を濃厚に受け継いでいた。


 育った環境も王宮という温室と辺境という過酷な地。さらにクラーラは生まれながらの奇病というハンデ持ち。


 培われてきた経験がまるで違う。

 そのため、差が出たのは環境という可能性はあるも……


 だからといって、あそこまでクズに育つとは思えない。

 もはや生まれながらのクズとしか言いようのないデルフリ。


 ハイジがデルフリに関しては何も言及しなかったのは、態々言葉にする必要ないと思ってたのだろう。

 ツーカーともいえる長い付き合いだ。デルフリを排除する事に反対はしないだろうが、最後のチャンスを与えるとわかってたからこそ何も言わなかったのだろう。


(そう、デルフリがああなったのは余にも責任がある。8年間も正気を失って乱心し、以後も下手に国内のパワーバランスを乱さぬようあえて愚王を演じていたせいで、王としても親としてもしっかり向き合う事が出来なかったからこそ、ああなった可能性もある。なら、革命後に今一度しっかりと向き合い更生を促すチャンスぐらいは与えてもよいはず)



 そのため、トビアスはなんとかデルフリが生きていける道を模索した。

 その手段こそが、教会地下での拷問だ。


 あの拷問は世間からもう十分罰は受けたと印象付けさせるためだった。

 処刑するのは可哀想だと思われるよう、あえてアーデルの気が済むまでやらせた。


 結果としてデルフリは五体満足で生きられない身体となったが、それでも生きている。

 生きているなら、償うチャンスはある。


 “今は反省してても、あのクズの事ですからねぇ。喉元過ぎれば……となれば、諦めてください”


 マイヤーからの進言に反対はしなかった。

 王としても親としても接してなお改心できないというなら、あれは本当に生まれながらのクズ。


 国のためにも処刑すべき。



 そう決意を固めつつ、トビアスは頃合いとみて口を開く。




「諸君達の意見はわかった。決定は国王たる余が下すが問題ないか?」


 お飾りであっても、王の声はざわめく会議室によく響いたようだ。

 喧噪とした場がぴたりと静まる。


「王の決定であれば、我々は従います」


 議長代理のマイヤーが答えれば、皆も追従するように頷く。



 世間一般だとトビアスはデルフリを甘やかす愚王とされている。


 だから周囲も王は開戦へと踏み切ると思ってるのだろう。

 開戦派の貴族は勝利を確信しているし、反対派は苦虫をかみしめるかのような表情もあれば、全てを諦めきったかのような顔で成り行きを見守っている。

 どうやら反対派は王国の終焉を感じ取っている者もいるのだろう。

 その想いは実に的を射ていた。


 なにせ王自身が王国の終焉。王国に害をなす貴族達を道連れにしての終焉を企んでるのだ。


 反対派には巻き添えにしてすまないっと心の中で一言詫びを居れつつトビアスは宣言する。





「余の決定。それは……」




 開戦






 そう宣言しようとした……直後













 トビアスにとって想定外の……





 ある意味では最悪な出来事が起きてしまう。








 それは神の悪戯か、もしくは神の導きか……




 脈絡もなくバンッと突如開かれた扉から現れたのは……


 血走った目を限界まで見開くという、誰がみても正気とは思えない変貌をしたデルフリであった。


 その姿にトビアスは驚いた。

 デルフリにはロッテンが特注に取り寄せた鎮静剤を打ち込んでるのだ。最低でも一ヵ月は寝込んでてもおかしくなかったはず。

 仮に目が覚めてもデルフリの手足は壊死寸前。切断を検討される程であり、満足に動かせるわけがない。


 なのに現実は御覧のあり様。五体満足どころか、出入り口を警備していたはずの衛兵達を蹴散らせる程の身体にまで回復……いや、強化されていた。


 一体何があったのかとトビアスが思惑をめぐらせてるうちにデルフリは宣言してしまった。



「戦争するぞ……俺をコケにした奴らを皆殺しにする!!反対する奴はいるか!!?」


 トビアスが宣言するはずの開戦宣言をデルフリが行ってしまったのだ。


「「「「「反対なんてございません!!全てはデルフリ王太子様の望みのままに!!!!」」」」


「よく言った!!ならば即座に準備しろ!!!」


「ははぁぁぁ!!!!」


 場はデルフリが支配してしまった。

 開戦派は急ぎ戦争準備に入り、反対派は用が済んだとばかりに退出する。


 表向きでは彼等も戦争に協力するようだが、裏ではこの事態をどう乗り切るかを考えているのだろう。

 マイヤーもこの流れをどうするのかっと視線で問いかけられるも、トビアスは固まったまま動かない。




「デルフリよ……なぜだ……なぜお主が宣言する」






 あまりにも想定外過ぎたせいで、トビアスは固まったまましばらく動けず……







 マイヤーからの斜め45度チョップで硬直が解かれた時には、デルフリが総大将としてゼーゼマン公爵家に宣戦布告する手筈が整えられた後であった。

クズが再ログインしました。

クズを再び処刑しますか?  ニアはい  いいえ


かしこまいりました。

次は第一章を超えるざまぁをご用意しましょう

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いつでもどこでも想定外は起こる、世の中は不条理に満ちているのです。 それを人はこう言うのです。「どうして、こうなった~♪どうして、こうなった~♪」 もしかして何かに目覚めた?!……若返る事の出来る師…
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