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72.その前に聞きたい。あれはなんだ?

そんなもんこっちが聞きたいわ!!ヽ(`Д´#)ノ.クワッ

「はぁぁ……これから今後の事について話し合いたかったのだけど、ああなったら仕方ない。あの二人はあのまま気が済むまでやらせておきましょうか」


 常人では全く解読できない、ポージングを駆使した『肉体言語』で語り始める二人を見守っていたというか、見守るだけしか出来なかったロッテンは苦虫を100匹ほど追加で噛みつぶしながら部屋を出る。


 部屋前ではパンイチの爽やかな筋肉マッチョに耐性を持たなかった者達が屍となってるが、気にしないどころか好都合と思い込む。


 彼等……主に教会所属の守衛達にはハイドが力づくで拷問室へと乱入されたという証言をしてもらう必要があるのだ。

 ハイドに意識をぶっ飛ばされたという事実を証言できるなら手間がはぶけるというもの。


 別の意味で大問題が発生してしまった中での数少ないメリットだ。

 ロッテンはもうそう思わなければやってられない心境なのである。


「ロッテンお疲れさん。今後についてだが……その前に聞きたい。あれはなんだ?」


 そんな中、運よく気絶を免れたペーターがロッテンに話しかけてきた。

 その口調はクズ達のそばで控えている時と全く違うも、これは彼の素の口調である事を知ってるので気にせず応えたいところだが……


「あれとは?」


 質問内容が漫然としすぎて、意図が汲み取れなかったので聞き返した。

 その際にはくだらん質問だったら張り倒すっとばかりに殺気を込めるも、ペーターは軽く受け流しながら答える。


「皇子の強化術だ。アーデルのはアムル家に代々伝わる身体強化術。肉体そのものを変化させる『Mまっする()Bぼまー()Sすちーる()Bぼでぃー()』なのはわかるが、皇子のはちょっと違うよな?

 帝国の皇族には初代皇帝が乱世だった南大陸を一つに平定してみせたという圧倒的な力。『脱げば脱ぐほど強くなる』という性質を持つ『裸忍者殺法(裸〇活殺拳)』を代々受け継がせていると聞いてるが、あれは外見まで変わるものじゃないだろ。だが、あれはどうみても……」


 ペーターが説明する通り、帝国の皇族に伝わってる『裸忍者殺法(裸〇活殺拳)』は閃光を発する事はあれど、姿が変わるようなモノでない。

 王国には実際の使い手。皇族直系の血を引く元第四皇女であるブリギッテ王妃がいるため、それなりの立場にあるものにはある程度の詳細が知られていた。


 もっとも『脱げば脱ぐほど強くなる』という性質のために使用者は周囲から変態扱いされかねないという、ブリギッテ王妃みたいな常人の神経を持つ者?にとっては忌まわしい技と評しているのだが……

 帝国は様々なところから恨まれてるため、いざという時の裸一貫で戦える技として皇族には習得を義務付けられていた。


 一部からはこれのせいで帝国が恨まれてるのではっと思われてる節はあるも、皇族が代々受け継いでいる習慣なのだ。

 並の身分の者では進言しても握り潰されるたけなので、結局はこのまま現在まで受け継がれているらしい。


 そんな脱線をはさみつつ、ロッテンはペーターの質問に答える。


「あーあれ、なんか自己流で試したら出来たそうよ」


「……はぁ!?あれ、常人では習得不可能。素質ある者でも最低10年は修行をしなければ使い物にならないという、とんでもない難易度を誇るものだろ。ちょっと操作を間違えれば逆に弱体化しかねないあれを自己流であそこまで極めたというのか!?」


「信じがたい事にね。一応最初のころは上手くいってなかったけど、3年もかからずにあれだから……

 昔は10歳のアーデルが実戦レベルで習得できてたのは異常だと思ってたのに、習得のノウハウに頼らずあそこまで使いこなしたハイドのセンスも同様に異常よね。加えて『裸忍者殺法(裸〇活殺拳)』の強化も上乗せだから純粋な戦闘力でみたら絶対アーデルを上回ってはずよ」


「それはそうだろうな。俺の目からみて、皇子は明様にアーデルよりも強い。だがそれだけに不思議だ。なんでアーデルに勝てなかったんだ?」


「単純に、アーデルとは真正面からぶつかってるからよ」


「あーあーあー……納得した。アーデルのあれ、『竜巻攪拌器(ハ〇ケーソ三キサー)』を真正面から受け止められる奴なんて、俺は叔父ぐらいしか知らんぞ。近年あれを破った事でクラーラの婚約者として認められたロンジュも真正面からの対峙を避けたって話だが……」


「おっしゃる通り、あんなもの(竜巻攪拌器)真正面から食らいたくなかったんで出掛かり直前を潰すことで攻略させてもらいました」


 自分の話題が出たということで、先ほどの『筋肉スパーク(マッスルスパーク)(仮名)』を食らって意識を飛ばした護衛仲間達を介護していたロンジュが当時の決闘内容……

 クラーラの前に立ちふさがった義姉との決闘の結末を簡潔に語る。


 彼の得物は刀……王国が存在するフーズ大陸の東の島国“倭国”から伝わった斬撃に特化された剣の使い手であり、彼はその刀を鞘に納刀した状態から瞬時に切り裂く『居合い術』と呼ばれる刀特有の技を習得している。

 その『居合い術』の中には、刀そのものを飛ばす技(〇天〇剣流 飛〇閃)があるらしく……

 ロンジュはそれでもって絶妙なタイミング、アーデルが突進する出掛かり直前に刀の柄を額へとぶち当てて昏倒させたのだ。


 アーデルにしてみれば、全力を出し切る前に勝負を決められた事に不満あっても負けは負け。

 しぶしぶであってもロンジュはクラーラの婚約者として認めてもらえたわけだ。

17歳でS級冒険者という他所だとメイン級なのにこちらではただのモブ……

っと思いきや、初登場(41話)時点ではすでに義妹ちゃんの婚約者というおいしいポジションを会得済みだったロンジュ君でした(゜∀゜)o彡゜ヤッタネ。スゴイネ。

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[良い点] もしかして「フルパワー!百パーセント中の百パーセント!!」みたいに変化するの?……ホントにニンゲン? 一昔前よりもかなり前のRPGであったな~。職業のせいで「何もつけてない」状態だとクリ…
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