6⑨.俺はいったい、何と戦っているんだ……?(SIDE:デルフリ) ※ クズ3度目のざまぁ回(その1)
そもそも、最初から戦いになってないという説ががががが
一体どれだけ打ち据えたのか……
途中でアインやツヴァイとも交代し、同じように鞭を振るわせてもアーデルの表情は変わらない。
全身ミミズ腫れだらけで服もほぼボロキレ同然。
通常であればもうとっくに絶望を通り越して絶命してもおかしくないほどの鞭を与えたというのに……
アーデルは絶望ではなく同情、デルフリ達を可哀想な者として憐れむような目でみていた。
(俺はいったい、何と戦っているんだ……?)
デルフリはアーデルに得体のしれない恐怖を感じはじめる。
アインやツヴァイと共に呆然としてしまい、しばらく3人の荒い息遣いだけが響く。
そんな中、唐突にアーデルが口を開いた。
「ふぅぅ……もう演技は終了でいいわよね。ロッテン」
「えぇ、これだけやられたらもう十分拷問を受けたって証拠になるはずよ。でも……あえて聞くけど、痛くないの?」
「痛いは痛いけど、こんなのアムル家でやってた打たれ強さを得るための訓練と比べたら……ねぇ」
「わかってたわ。あそこではトゲ付き鉄球やら火で熱した鉄棒で一時間ぐらい殴られ続けるのが標準だし、それに比べたら革製の鞭なんて拷問にもなってないっと」
「そう思ってるならトゲ付き鉄球使わせたらいいのに」
「そんな相手を殺しかねないようなもん拷問室に用意してねーし、第一このクズにそれ使わせたら手元狂わせて自分の脳天に鉄球が誤爆なオチしかみえんわ!!」
「あーよく考えたらそうよね。ごめんなさい」
アーデルは笑いながら拷問官(に扮したロッテン)に謝る。
彼女達は一体何を言っているのか……
デルフリはもちろん、アインやツヴァイもわからなかった。
だが、わからないからといって何もしないわけにはいかない。
「ア、アーデル……貴様、何を言っている!!お前は……じ、自分のたち……立場がわかってるのか?」
「もちろんわかってますよ。デルフリ王太子様かっこクズ王太子」
息が整ってないため、多少かすれ声なデルフリに対してアーデルは普段と変わりなし。
見た目は満身創痍なはずなのに、その口から紡がれる言葉は変わりない。
その様に再度得体のしれない恐怖に襲われ、怖気づきそうになる。
だが、アーデルは囚われの身だ。恐れる必要なしっとデルフリは気合を入れて叫んだ。
「ならば囚人らしく……お、大人しくして……してろ!!」
「お断りしますわ。それに囚人といってもこんな拘束……」
ここでアーデルが身じろぎをはじめる。
今まで全く身じろぎしなかったのだ。
なぜ今更っと思っていたら……すぐに答えがでた。
ガキンガキンガキンガキン……
「っとまぁ、いつでも簡単に抜け出せたのですわよ」
「なっ……なん……だと」
デルフリは絶句した。
アーデルが少し力を込めただけで、拘束していた手足の鎖が根本から引き抜かれてしまったのだ。
手足にまだ残っていた枷も紙切れのごとく引きちぎる辺りもう人間技でない。
「さてっと、じゃぁこれから私のターンでいいわよね?」
「ひ、ひぃぃぃ!!?」
つい先ほどまでアーデルを打ち据えていた鞭を拾い上げ、笑顔でにじり寄ってくるアーデルにデルフリは情けない声をあげながら後ずさった。
このままでは先ほどの拷問の仕返しがされてしまうっと判断したデルフリは土下座して必死に呼びかける。
「ア、アーデル……悪かった!俺が謝るから許してくれ!!」
「許すとは……どういう意味ですか?」
「そ、それは……いろいろとだ。だから……」
「……まぁいいでしょう。そこまでいうなら鞭打ちは勘弁してあげましてよ」
土下座が聞いたのか、アーデルは手に持っていた鞭をぽいっと投げ捨ててくれた。
それで助かったと思うも……現実は甘くない。
「鞭が嫌だというお客様はずいぶんお疲れのようだし、特別に疲労が取れるマッサージをしてあげるわ。ただし……」
ここでアーデルは一呼吸置いた。
一体何をするのかと思っていたら……
「ふんぬぅぅぅぽんぷあっぷぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」
アーデルはポージングを決めながら気合入れると同時に変態した。
HE☆N☆TA☆I☆と呼んではいけません




