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56.俺は絶対にお前の目論見通りにはならんぞ!!(SIDE:デルフリ) ※ クズ1度目のざまぁ回(裏)

今回からクズ目線でお話が進みます。

もちろん、これらは他からみたら『お前は何を言っているんだ』な戯言です、はいww

「くそっ!なぜだ!!どうしてこうなったんだ!!」


 k……王太子デルフリはベットの上でいらだっていた。

 予定を狂わされた上に顔面の治療も中途半端。ズキズキと収まる気配がない鈍痛が続くせいで全く心が晴れず、八つ当たり的に枕をガスガスと殴りつけていた。


 殴りつけながら、どうしてこうなったのか原因を探るべく過去を思い出しはじめる……




 ………………


 デルフリは物心ついたころからちやほやされて生きてきた。

 王家最後の血筋であり、他に代替えが効かない事もあってそれはそれは大事に育てられた。


 ただ、それでも不自由な面はある。


 貴族や父であるトビアス王と違い、継母となる王妃ブリギッテとその重鎮は決してデルフリを甘やかそうとしなかった。

 次期王として勉強やらマナーを押し付けてくるので、その度に父へ泣きついた


 王は王妃より偉く、王からの命令であれば王妃達も従わざるを得ない。

 それでも諦めようとせず、あの手この手を使って勉強を強要するのでいつしか王妃達に憎悪のような想いを抱くようになった。



 そんな日々を何年も過ごしていたある時期、王妃から一方的に婚約者を決められた。

 最初は条件反射的に反抗するも、相手は評判の良い絶世の令嬢だと聞かされたのだ。


 出身地がアムル辺境領という聞いたこともないような田舎な事に不安はあれど、そこまでいうなら一度ぐらいは会ってみようと思っていざ会ってみれば……




 田舎者丸出しで色気のいの字もない不気味な女。


 期待外れもいいとこだったのだ。


「いずれ王となる俺がお前みたいなド田舎ながさつで冴えない不気味な女と結婚などできるか!!わかったならさっさと帰れ!!!」


 元々こらえ性もなく、マナーを全く習ってないデルフリは取り繕う事のない正直な言葉を発し……












竜巻攪拌器(〇リケーソミキ〇ー)!!」




 ドゴン!!!








 以後の記憶はない。


 次に気付いた時は痛みで碌に身動きが取れない、全身包帯が巻かれたミイラという有様だった。

 一体何が起きたかわからずとも、辛うじてあの田舎令嬢(アーデル)によって傷つけられた事はわかった。


 たかが田舎令嬢(アーデル)が国の宝ともいえる王太子を傷つけたという事実はもはや100回殺しても足りない程の罪を犯したともいえよう。


 デルフリは即座にアーデルへと処刑命令を下す。

 今まで通りであれば、デルフリの言葉は王命でもって処理されるはずも……


 王は首を縦に振らなかった。

 どれだけアーデルの非情さを伝えても、暖簾に腕押し。なしのつぶてのごとくアーデルに処分を下さなかった。


 もしやアーデルが何か手をまわしたのか……


 その予想は周囲にいた貴族達に肯定された事でデルフリは確信した。



(なんて卑怯な奴だ……俺は絶対にお前の目論見通りにはならんぞ!!)


 なかなか傷が癒えず、ズキズキと鈍痛に襲われる中でデルフリはそう強く決心した。





 それからのデルフリはアーデルを徹底的になじった。

 自分の立場を理解させるため、時には暴力を使ってまで教え込んだ。


 もちろん、自分自身の研鑽も忘れない。


 ある程度の年齢になれば次期王としての自覚はでる。

 昔のようなわがままは通用しないっと理解できたデルフリは王となるべく教育を受け始めた。


 15歳になり、学園に入学したデルフリはより一層王としての自覚に目覚めた。学園にすら通わないアーデルと違って、真面目に学園へと通い続けた。

 時にはくじけそうになるも、側近であり唯一無二といえる忠臣のマイヤーやアーデルの義妹であるクラーラに励まされたおかげで卒業試験では歴代屈指の成績を取る事が出来たのだ。



 今の自分は王として相応しい。

 逆にアーデルは図体と態度だけはでかくなっても中身は醜悪なまま。誰がどうみても王妃として相応しくない。

 相応しいのは心優しくて献身的に支えてくれるクラーラだっと信じていた。


 だが、クラーラにどれだけ求婚しても彼女は首を縦に振らない。

 お義姉様を裏切る真似なんて出来ないっと、拒否され続けた。


(オノーレ!!アーデルか……アーデルの仕業か!!やはり奴は消えてもらわねばならない……)


 そんな憎しみを抱き続ける中、偶然ある噂を……

 クラーラが平民に嫁ぐ話を聞き……



 デルフリは公の場でアーデルの罪をさらけ出して婚約破棄からの追放を突き付ける断罪劇の開催を決めた。

 個人的には処刑したいところであるも、それはクラーラが悲しむからっと言われて追放に留めたのだ。


(望まぬ結婚を強要させる悪女に慈悲を向けるなんて、クラーラはどこまで優しいんだ)


 そうして、断罪劇の準備を優秀なマイヤーに全て任せたデルフリは当日まで明るい未来を夢見るのであった。

見方次第によっては、一応向上心はある……のかな?

ただまぁ無能な働き者ほど厄介なのはいないので……

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― 新着の感想 ―
[気になる点] どれくらい高く上がったのですか? [一言] 何とか使えるようにしようとした方たちの苦労が偲ばれます。ただ、やる気あるおバカだったばかりにこんな事になるなんて。
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