36.さて、この場合私はどう動くべきか……(SIDE:アーデル) ※ クズ2度目のざまぁ回(その1)
待たせたな!
ようやく……本当にようやくプロローグの5話の続きでっせー!⁽⁽ ⸜( ˙꒳ ˙ )⸝ ⁾⁾オエーイ
バキッ!!
「アーデル!!貴様、クラーラをどこにやった!!」
「…………はぁ?」
王太子であり、婚約者でもあるデルフリからの怒鳴り声にアーデルはつい惚けてしまった。
惚けすぎたせいで、相対するや否や振るわれた右のフックをまともに受けて倒れこんでしまったというのに、依然と惚けたままだった。
そんな態度、いつまでたっても質問に答えないアーデルの態度にイラついたようだ。
今度は倒れこんでるアーデルの胸倉を掴んで無理やり上体を起こしての往復ビンタ。
バシバシッとよく響き渡った音と同じ回数ぶんだけ襲い掛かる頬の痛みによって、惚けていた意識が戻る。
「さっさと答えろ!!クラーラをどこにやった!!!」
「……何のことでしょうか?」
「しらばっくれるな!!お前がクラーラを連れ去ったんだろ!!」
「しらばっくれるも何も、状況が全く掴めません……というか、義妹のクラーラは」
「ごまかすな!!先ほど俺の愛するクラーラを迎えに行ったらすでに会場へ向かったと聞いてるぞ!!しかも会場では俺が来る直前にお前の取り巻きが外へ連れ出したというじゃないか!!
俺とクラーラの仲に嫉妬して虐げるだけでなく、こうやって力ずくで排除するなんてさすが醜悪な姉だな」
「えっと、ちょっと待ってください。全くわけがわかりません。まず前提としてクラーラは」
「お前に意見は求めてない。俺の質問にだけ答えろ!!」
「いや、その質問に答えようとしたのだけど……」
アーデルは反論するも、今のデルフリ改めクズは頭に血が上り過ぎて全く聴く耳を持ってくれない。
それどころか、周囲の貴族達もクズに加担し始めた。
「口答えするなこの悪女が!!」
「デルフリ様に対してなんという態度を……」
ワインや料理を投げつける者も居れば、げしげしと足蹴にする者もいる。
そんな有様であっても、アーデルは平然としていた。
なにせ、アーデルはロッテンから鋼のハリセンで脳天を思いっきり……常人なら確実に頭蓋骨が粉砕する程度の一撃でぶん殴られても致命傷とならないほどに頑丈。
これといって身体を鍛えてないひ弱なお子様の暴力なんて子猫のじゃれ付き程度にしか感じない。
最初の一撃で倒れたのも不意の一撃……子猫が前触れもなく飛びついてきたことで驚いた上に、普段履きなれないヒールなためにうっかりバランスを崩してしまったものだ。
どれだけ暴力振るわれようとも、アーデルにとってはかすり傷にすらならない。
だが……
周囲からみれば、今の構図は無抵抗な令嬢に理不尽な暴力を振るう下種的な意味でのクズ達にしかみえないだろう。
周辺からとまどいの声が上がり、それを事前に詳細を知らされていたであろう者達が懇切丁寧に解説する等して印象操作を行っている。
暴力を受けながらも、アーデルは冷静にそれらの状況を確認した。
(どうやらクラーラが姿を消したのは予定調和のようね)
敵を騙すにはまず味方から理論でもって、あえてアーデルに知らせず事を進めたパターンは何度もある。
自分だけ仲間外れにされるのはシャクであるも、その度にロッテンから『何も知らない天然で接してもらった方がよさそうだったから』の一言で片付けられる。
どれだけ『意義ありっ!?』と叫んでも、『そういう台詞は論戦で勝ってから言いなさい!!』で返り討ちだからもう仕方ないっと割り切る事にしていた。
そうした流れもあって、今回の一件もこの状況へと持ち込むためにあえて知らせなかったパターンなのだと理解できた。
だから、アーデルはクラーラの行方を本当に知らない。
知らないのに、クズにとってはアーデルの態度がはぐらかしてるようにしかみえないらしい。
人の話を聞かず、思い込みで突っ走るクズは真の黒幕の思惑通り大暴走。
その様を周囲にまざまざとみせつけているわけだ。
まさに自滅。
アーデルが何かしたわけでもないのに、勝手に自滅する方向へ爆走しはじめた。
そんな状況の中、アーデルは……
(さて、この場合私はどう動くべきか……)
クズとその取り巻き連中から傍目的に壮絶なリンチを受けつつも、全く意にも介さず冷静に自分のすべき事を見極めるのであった。
クズは順調に死への階段を上っております……
クズの処刑執行まで後〇話?




